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「くださりました」「くださいました」の違いとは。どっちが正しいかを解説

にほんご倶楽部

「くださりました」「くださいました」に違いはあるのでしょうか? また、どちらの方が正しい言葉遣いなのでしょうか? 言葉の意味や由来を交えつつ、どちらを使う方がいいのかについて解説します。

ビジネスシーンだけでなく日常生活でも使用することが多い「くださりました」「くださいました」というフレーズ。この2つは一文字違いであり「どちらが正しい言葉遣いなのか」と考えたことがある方も多いのではないでしょうか?

この記事では、この2つの言葉の違いや正しい使い方などを解説。類似表現も紹介するので参考にしてください。

「くださりました」「くださいました」の違い

まずは「くださりました」と「くださいました」の意味と違いを確認していきましょう。

言葉の意味と由来は?

「くださりました」「くださいました」は「与える」「くれる」の尊敬語である「くださる」が語源となっています。

ではここで「くださる」の意味を確認しておきましょう。

下さる(くださる) の意味
[動ラ五(四)]《動詞「くだされる」(下一)の五段化》
1 「与える」「くれる」の尊敬語。お与えになる。くだされる。「祝電を―・った」
2 (補助動詞)「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、その動作の主が恩恵を与える意を、恩恵を受ける者の立場から敬意を込めて表す。「お話し―・る」「ご理解―・る」「助けて―・る」

出典:(『デジタル大辞泉』小学館)

元々「くださる」という言葉は「くだされる」というフレーズが変化したもの。これに過去形の「ました」が組み合わさったことにより、「くださりました」「くださいました」となりました。

言葉の意味に違いはない

実はこの2つには意味の違いがなく、全く同じ意味を持つフレーズ。どちらも相手が自分に対して「何かをしてくれた」「何かをくれた」という時に使用する、丁寧な言い方です。

「くださいました」は、「くださりました」の「り」がイ音便化したことによってできた言葉で、より近代的な印象を与えますね。

この2つの違いは「すみません」と「すいません」の違いと似たようなものととらえて問題ないでしょう。

「くださりました」も「くださいました」もどちらも正しい

ではこの2つを比べた際には、どちらが正しいのでしょうか。

実は、どちらも正しいものといえます。

この後説明しますが、「くださりました」「くださいました」の元になるのは「くださる」という単語。そのため厳密に言えば、その連用形である「くださり」を使用した「くださりました」が正しいです。

しかし発音しにくいことから「くださいました」を使うことが増え、現代語では「くださいました」を使うことが一般的になりました。とはいえ「くださりました」も間違った言葉とは認識されません。

そのため現代用語では、「くださりました」「くださいました」共に、正しい用語といえるのです。

なぜ「くださいました」と使うことが増えたのか

「くださいました」は音便形の言葉です。

音便形とは、言葉と言葉の続きが発音しやすいよう変化することを指します。前述した通り、「くださりました」イ音便化された形が「くださいました」となります。

つまり「くださりました」では発音しにくく、発音しやすくするために「くださいました」に変化しその結果、現代では発音しやすい「くださいました」の使用が増えているのです。

「くださいました」と「いただきました」の違い

似ている言葉として挙げられるのが「いただきました」ではないでしょうか。みなさんも使用する際にどのような違いがあるのかと、悩んだことがあるかと思います。

どちらも相手から「何かをもらった」「してもらった」という時に使うことに大きな違いはありません。

主語が相手か自分かによって使い分ける

しかしここで注意したいのは「くださいました」の元となる「くださる」は尊敬語、「いただきました」の元となる「いただく」は謙譲語であるという点です。

そのため、文章の主語によってどちらを使うか、変える必要があります。

主語が相手の場合は「くださいました」、主語が自分や自分の身内の場合は「いただきました」を使用するようにしましょう。

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