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今、やりたいことを選択する。30歳で縁もゆかりもない島へ移住を決意したワケ

#ここで生きていく

マイナビウーマン編集部

30歳、まだまだ若いです。でも、20代の頃とは考えるべきことが変わってくるのも事実。仕事面では、経験を積んできたからステップアップすべき? 健康面では、不調が多いから生活習慣を見直すべき? 金銭面では、将来を見据えてもっと貯蓄すべき? ……どれも悩ましいですよね。そう、30歳は人生の節目のひとつ。これから豊かな人生を歩んでいけるように「30歳からの『わたし』のつくり方」を一緒に考えていきましょう。

がむしゃらに頑張っていた20代。でも、なんだか10代の頃に憧れていた自分と、今本当になりたい自分は違うのかも……。ふと立ち止まって、「このままここで生きて良いのかな?」と考えたことがある人も多いかもしれません。

今年31歳を迎えるゆんさんもその一人。台湾で生まれ育った彼女は、台湾の高校を卒業した後、日本の美術大学へ進学。そのまま日本で就職し、現在はデザイナーとして都内で働くキャリアウーマンです。そんな彼女は30歳を期に、島への移住を決めました。

生まれ育った国とは違う場所で、働き・暮らすというのは簡単なことではありません。そんな彼女は、なぜ日本を選び、なぜ今、島に移住するのでしょうか?

自信のない自分を変えたくて来日した18歳

――ゆんさんは、高校卒業後に来日したそうですが、なぜ日本に来ようと思ったのですか?

当時、デザインを学ぶ高校に通っていたのですが、日本の美術大学と姉妹校だった関係で、留学を希望する生徒向けに、無料で日本語の授業を受けられるプログラムがあったんです。元々日本の文化が好きだったので、せっかくならやってみようと思い、2年くらい学んでいる内に、日本に行ってみたいと思うようになりました。

――行ってみたいと思ったとはいえ、18歳で来日する勇気がすごいです!

その時は、あまり深く考えずに「行ってみたい」という気持ちだけで来たんです(笑)。でも日本に来て10年経った今、改めて振り返ってみると、環境を変えることで、落ち込みやすくて自信のない自分を変えたい、という気持ちもあったのかなと思いますね。

――大学卒業後は、なぜ日本で就職しようと思ったのですか?

せっかくだから……と思って(笑)。あとは、大学が京都だったので、東京にも住んでみたいな~くらいの軽い気持ちでした。台湾に帰ることは考えていなかったですね。

――なるほど。では、何年後かに台湾に帰ろうと考えていたのですか?

いや、考えてなかったです。未来のことを考えられないタイプ(笑)。飽きたらいつか帰ろうくらいの感じでしたね。

ネガティブなきっかけが「移住の夢を後押ししてくれた」

――そんなゆんさんは、11月からは島に移住されるそうですね。島への移住とは思い切った決断ですが、きっかけはあったのですか?

新型コロナウイルスがまん延したタイミングで、仕事がフルリモートに切り替わり、家で過ごす時間が増えたことで、ぼんやりと広い場所に住みたい、と思うようになりました。以前から、自然の多い場所に住んでみたいという気持ちはありましたが、なかなかきっかけがなく……。

そんなタイミングで、人間関係で悩むことがあり、心が疲弊しちゃって。その状況から逃げだしたい、というネガティブな思いで、島に行ってみることにしたんです。

――そうなのですね。どの島に行くかはどうやって決めたんですか?

ネットで【島 ゲストハウス ヘルパー】と検索したところ、11月から移住予定の島にあるゲストハウスにたどり着きました。そこの宿主のnoteに「つらいときはいつでも電話して」と書いてあるのを読んで、電話で話を聞いてもらって……。そんなこともあり、そのゲストハウスでヘルパーとして1カ月働くことを決めました。

ヘルパーとして働く畑で取れたたまねぎ(本人提供)

最初は、ネガティブな理由でしたが、結果的に元々移住してみたいという気持ちを後押ししてくれるきっかけになりました。

――自然の多い場所といっても、島以外にもたくさんあると思いますが、なぜ島を選んだのですか?

契約した今でも、ここまで田舎じゃなくてもよかったんじゃ……と思うこともあるのですが、島に知り合いが出来たことが大きかったです。アートが好きなので、瀬戸内海の直島なども検討したのですが、知り合いがいないので、移住するのは難しいかなと。

ヘルパーとして働いた1カ月で、島に住む同世代の方や、移住をお手伝いしてくれる自治会の方などと知り合えたことで、この島にしようと思えました! あとは家賃がすごく安い……。

――知り合いがいるだけで安心できますもんね。ちなみに家賃はおいくらなんですか?

平屋の一軒家で2万円です。しかも島には不動産屋がないので、仲介手数料や敷金礼金もかかりません。なので、家賃と引っ越し費用だけで引っ越せるので、初期費用はそこまで必要ありません。この家賃の安さは大きな決め手でしたね。

島の港から見える景色(本人提供)

――そんなに安いんですね! 移住に合わせて準備したことはありますか?

30歳にして、運転免許を取りました! 今のところは車を買う予定はないのですが、なにかと運転できた方が便利だと聞き、重い腰を上げて取りに行きました。

――車がなくても暮らせるものなのですね! 色んなきっかけがあったとはいえ、移住することには悩みませんでしたか?

悩みました。趣味が美術館巡りなので、展示に行けなくなってしまうことは一番の悩みどころでした。でも、3カ月に1回くらい東京に行けばいいか、と思うように(笑)。

――たしかに娯楽は少なそう。他には不安はありませんでしたか?

う~ん、食べ物のことくらいですかね。島にはコンビニや個人商店がないので、急に夜中に冷麺食べたいとか、お寿司食べたい、とかができないのが不安です(笑)。

もちろん、友達と会えなくて寂しい気持ちはありますが、3カ月に1回東京に行くタイミングで会えるならいいかな、と思えるようになりました。

「生きたい」という気持ちを最優先に暮らしたい

――ちなみに島に移住してからはどんなことをする予定なんですか?

移住を期に会社を辞めて無職になるのですが、移住直後から3カ月ほど台湾に帰る予定なので、いったんはフリーランスでデザイナーの仕事を続けながら生活するつもりです。

台湾から戻ってきた後は、フィリピンに語学留学に行きたいと思っていて、そのあとは年齢的にもギリギリ間に合うので、ワーキングホリデーにも挑戦してみたい。来年のことはまだ分からないですね(笑)。

なので、暮らす目的というよりは、拠点を安くすることを目的に、島に移住するイメージに近いかも。留学・ワーホリを終えて日本に戻ってきたら、東京のソーシャルアパートメントと島の2拠点生活も楽しそうだなと考えています。

――すごい行動力! ゆんさんは今まで、日本への移住や島への移住、そしてこれからの留学など、さまざまな選択をしてきていますが、大きな決断する際に大切にしていることがあれば教えてください。

自分がやりたいこと、楽しそうなことを選択することですかね。落ち込みやすい性格だからこそ「生きたい」という気持ちを大切にしています。とはいえ、後先考えるのが苦手なのでよくないとは思いますが(笑)。

今考えれば、島で暮らす経験もなかなかできることではないと思うので、楽しみたいと思います!

(取材・文:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2023年10月07日に公開されたものです

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