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貫地谷しほりがぶつかった「30歳の壁」。30代を自分らしく生きるための「新しい価値観」とは?

【特集】30歳からの「わたし」のつくり方

ミクニシオリ

30歳、まだまだ若いです。でも、20代の頃とは考えるべきことが変わってくるのも事実。仕事面では、経験を積んできたからステップアップすべき? 健康面では、不調が多いから生活習慣を見直すべき? 金銭面では、将来を見据えてもっと貯蓄すべき? ……どれも悩ましいですよね。そう、30歳は人生の節目のひとつ。これから豊かな人生を歩んでいけるように「30歳からの『わたし』のつくり方」を一緒に考えていきましょう。今回は女優の貫地谷しほりさんにお話を聞きました。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:洞澤佐智子
編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部

カメラの前でもナチュラルで飾らない笑顔を向けてくれたのは、女優の貫地谷しほりさん。中学生時代にスカウトされて入った芸能界で、女優として着実なキャリアを積み上げてきました。

37歳になった貫地谷さんが、映画『シェアの法則』で演じたのは、ミステリアスなキャバ嬢・高柳美穂。個性豊かなメンバーが集まるシェアハウスでの暮らしを通じて、徐々に変化していく美穂というキャラクターからは「学ぶものが多かった」と話してくれました。そんな貫地谷さんも、自身のキャリアの中で「30歳を迎える時、大きな変化があった」のだそう。

誰もがぶつかる「30歳の壁」。この壁は高く、そしてとても怖いもののように見えます。貫地谷さんはなぜ、30歳という壁を乗り越えてなお、20代の頃以上の魅力を身にまとい続けているのでしょうか。

結婚を機に“家に人がいる安心感”を覚えた

――『シェアの法則』は年齢や国籍、性別などが異なる人々が集まるシェアハウスが舞台となっています。貫地谷さんはシェアハウスに対して、どのような印象を持ちましたか?

私はマイペースなタイプなので、昔は共同生活に対して「大変そうだな」という印象がありました。でも結婚を機に、家に人がいることに安心を感じるようになって、今回の舞台であるシェアハウスでの暮らしにも、心強さを感じました。

――“心強さ”というのは具体的に?

例えば、私が演じた美穂という女性も、シェアハウスで生活していながら同居人とのコミュニケーションをあまり取らず1人で生きていこうと踏ん張っている人でした。ひょんなことから、彼女はシェアハウスの人々との関わり方を変えざるを得なくなっていきます。でもそれは彼女にとって大きな転機になるんです。

私は役を演じる時、キャラクターに共感を求めることはあまりないのですが、美穂からは学べたことが多かったです。

――貫地谷さんも現在、共同生活を送られていると思うのですが……生活の中で気をつけていることはありますか?

人とのコミュニケーションは好きなので、正直あまり不自由していないです(笑)。ただ、誰しも踏み込んでほしくないボーダーラインを持っていると思っているので、その線を勝手に踏み越えないよう、気をつけて生活しています。

誰しもぶつかる「30歳の壁」。逃げることはできなかった

――大人になると、生活環境などの急な変化にはストレスを感じることもあると思うのですが、貫地谷さんはさまざまな「変化」にどう向き合っていますか?

変化って、勝手にやってくるものじゃないですか。20代の頃は、変化の壁にぶつかっても見ないフリをして、壁とは違う方向に進むようにしていました。そして30歳を迎えてからは、壁に向き合わないと全く前に進めなくなりました。

環境の変化や新しい問題に向き合うのには体力が要りますし、その瞬間はどっとストレスを感じていました。ただ、いま振り返ってみると、経験しておいてよかったと思えることも多かったと思っています。

――30歳を迎えてぶつかった壁にはどのように向き合われたのでしょうか。

私の場合は仕事でいただく役の変化が大きくて、この先も俳優という仕事と向き合っていくにはどうしたらいいのか、悩み続けていました。

若いヒロイン役が来なくなっても、まだ味のある俳優になれたという実感もなかった。ただ言えるのは、“ありのままの自分を受け入れることが大切だった”ということでしょうか。

悩みの渦中にいる自分にとっては、ありのままでいるのは難しいことだった。だけど、その時に自分が持っているものや、今立っている場所を振り返ってみるのが大切だと思います。

――自身のありのままを受け入れるのは、誰にとっても難しいことだと思います。

たしかにその通りで、誰もが自分を取り繕っていたいものですよね。だけど、自分の考えや価値観を持つことがコツだったと思います。世の中の色々な問題をジャッジする物差しがあってはじめて、今の自分がどこにいるのかが分かると思います。

――今の貫地谷さんは、ありのままの自分を受け入れることはできましたか。

そうですね。いわゆるアラサー真っ只中の頃に、マネージャーからこう言われたんです。「30歳を過ぎると、髪の毛の癖が年々ひどくなるように、人間の癖は強くなっていく。個性はにじみ出てきてしまうものなんだよ」と。

それで、早めにありのままの自分でいることを許せるようになった方がラクなんだな、と思うようになったんです。にじみ出てきた自分を嫌いだな、嫌だなと思わず、そういうものなのだと、ナチュラルに受け取ってみる感じですね。

若くあろうとし続けるのではなく、美しくあり続けたい

――自身の内面に向き合うためには、改めて内省する時間を持つべきなのでしょうか。

変化や転換のタイミングがやってきた時、強制的に内省するしかない時も来るので、改めて時間を設ける必要はないと思います。人間って矛盾を抱えている生き物なので、考える時は大変かもしれませんが、私の場合はここ数年、自分の中に矛盾があってもいいじゃないかという新しい価値観を持つようになりました。

変化はいつも望んでやってくるわけではないですが、ネガティブなことばかりではないと思っています。新しく見える景色もありますし、変わってみたら意外と生きやすかった、なんてこともあると思いますよ。

――私たちは無意識に、変化することに対して恐怖や不安を感じているのかもしれませんね。

日本という国は良くも悪くも規律が厳しいので、みんな正しくあろうと頑張っているのでしょうね。だけど、自分で決めて変わってみると、意外と生きやすくなると思います。

30歳になる前に不安を感じるのも、世間にある「若さという価値」から自身が変化してしまうことが不安だからではないでしょうか。私にも、20代ブランドが終わってしまうことに対する焦りがありました。

でも、それって世間の価値観だから。自分はどうしたいのかと考えた時、私の場合は「若くあろうとし続けるのではなく、美しくあり続けたい」と感じました。

――貫地谷さんにとっての「30歳以降の美しさ」とはなんですか?

感覚的な話なのですが、なにかの見た目や外見に限らず、今の自分が美しいと思うものを大切にできたらいいと思います。若さという価値観で見ていると、周りと比べて痛い女になっていないか、なんて気になっちゃうもの。自分の価値観で判断した美しさを信じることが、30歳以降の女性にとって大切なものになっていくと思っています。

『シェアの法則』

東京の一軒家で暮らす春山夫妻。自宅を改装して始めたシェアハウスには、年齢も職業も国籍もバラバラの個性的な面々がおり、彼らは互いに協力し合い、時には衝突しながらも、共同生活を営んでいる。管理人である妻の喜代子はふとした事故をきっかけに入院することに。そこで、しばらくの間、夫の秀夫が妻の代わりを務めることになるが、社交的な喜代子とは対照的に、人づきあいが嫌いで誰とも打ち解けようとしない秀夫は、住民からも疎まれ、息子の隆志に対しても厳しく接してしまう。

そんな中、キャバクラで働いている美穂が勤務先でトラブルを起こし呼び出されることに。自分の価値観でのみ物事を見てきた男が、さまざまな境遇の人たちと関わる事によって、少しずつ相手を『思いやる』ことを学んでいく物語。

2023年10月14日より、新宿 K’s cinema、10月21日より横浜シネマ・ジャック&ベティ ほか全国順次ロードショー!

キャスト:小野武彦 貫地谷しほり 浅香航大 鷲尾真知子 宮崎美子 ほか
監督:久万真路
脚本:岩瀬顕子
企画:日穏-bion-
製作:ジャパンコンシェルジュ
後援:豊島区
配給:GACHINKO Film
Ⓒ2022 ジャパンコンシェルジュ

※この記事は2023年10月13日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

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