お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

挫折は“立ち止まる理由”にはならない。Direct Tech執行役員・横田彩夏さんの素顔

#リーダーの素顔

ミクニシオリ

経営者やいわゆる「リーダー」って、どうしても私たちとは違う世界の人……と思ってしまいがち。でも、リーダーたちも毎日寝て、起きて、ご飯を食べて……そして仕事をしている普通の人。そんなリーダーの素顔を探るべく、「子どもの頃はどんな子だった?」「毎日どれくらい働いている?」「やっぱりタワマン住みですか?」など、素朴な疑問をぶつけます。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:大嶋千尋
編集:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部

アジアNO.1のPR会社・ベクトルグループでP2C事業を担う「Direct Tech」の女性役員、横田彩夏さん。転職後1年で部長、2年で執行役員にスピード出世した若手リーダーです。

学生時代から培った「PR力」と、挫折しても歩みを止めないたゆまぬ精神で、20代からキャリア街道を爆進する横田さん。学生時代にはミスコングランプリを受賞しており、華やかな経歴も注目されがちな彼女ですが、その芯には「体験への強い思い」や「成功につなげるルーティン」など、地道に積み上げてきた努力がありました。

横田彩夏さん

1993生まれ、東京都出身。在学中、ニューヨークに拠点を持つ服飾美術大学「Parsons School of Design」にてファッションデザインの技術を学んだ後、アパレルのキャリアをスタート。前職にてパワーインフルエンサーをディレクターに迎えた P2C事業の運営に包括的に携わり、2020年8月に株式会社Direct Techにジョイン。P2Cアパレルブランド「Boka nii」の立ち上げに従事。2022年4月より、執行役員としてP2Cブランド事業のグロースを包括的にマネジメントしている。

女子校時代は、アフィリエイトとバイトで留学費用を貯金

Q.1 幼少期はどんな性格でしたか?

幼い頃から興味があることに熱中しやすく、外の世界が気になって幼稚園から脱走したこともありました。特に絵を描くことに熱中していて、1日に5〜6時間は紙に向かい、気づけば最も長く続く趣味に。読書も好きで、小学校の時のクリスマスには、サンタさんにギリシャ神話の全巻セットをねだり、親にも少し驚かれたようです。

Q.2 どのようなご家庭で育ちましたか?

銀行勤めの母と、やさしい祖母との3人暮らしでした。祖母と過ごす時間も長かったので、初めて買ったCDは美空ひばりさん。渋い趣味ですよね(笑)。

母は帰りが遅いことも多かったですが、その分気の向くままに、自身の興味関心を深めることができました。夜は母が必ず読み聞かせをしてくれて、物語の先を想像しながら眠りにつくことが毎日の楽しみでした。

Q.3 思春期は学校でどんな存在でしたか?

「堅実にして質素」が校訓だった中高一貫の女子校では、周囲の友人から“自由人”、“尖っている”などと言われていました。自覚はあまりなかったのですが、振り返ってみれば変な子だったのでしょうね。美術ではない授業の最中にも画材を広げて絵を描いていて、先生に怒られたこともありました。

Q.4 学生時代にバイトはしていましたか?

中高時代はバイト禁止だったのですが、当時流行していたブログで、PV数を伸ばすことに熱中していました。購入品やコスメをブログにアップしていただけだったのですが、人気が出てきてPR案件を受けるように。ブログはその後のキャリアにも少しつながっていて、大学時代には、留学のノウハウをまとめたブログを立ち上げ、アフィリエイトで稼いでいました。

Q.5 学生時代に注力したことはなんですか?

大学ではミスコンに参加し、グランプリを受賞しました。SNSを伸ばしたりネット票を稼いだりするのが地味に大変で、ミスコン参加中はバイトとの両立で日々手一杯でした。

ミスコンも大変でしたが、大学生活の中で最も努力したのは、留学でしたね。中学校の語学研修でハワイに行ったことをきっかけに、アメリカでファッションを学びたいという気持ちが徐々に大きくなっていき、大学では1年間、ニューヨークのファッションスクールに通いました。留学費用も自分で貯めたので、3年生まではバイトにもかなりの時間を割いていました。

留学先で「人生の挫折」を経験。けれど、やることは変わらない

Q.6 留学先で苦労したことはなんでしたか?

スクールでは、一人前に服が作れるようになることをゴールに、毎日服づくりをしていました。洋裁については初めて学ぶことばかりですし、語学の壁にぶつかることも多く、毎日授業を録音して、学校が終わってからはステイ先で何度も録音を聴き返しながら、宿題をこなしていました。

そんなある日、1カ月かけて作ったドレスを提出したら、講師が激怒……。私は、ポリエステルでドレスを作っていたのですが、課題は「コットンで服を作る」だったんです。自分の語学力不足のせいで、1カ月の努力が無駄になってしまった時は、人生で初めて挫折を味わいました。

しかし、挫折したからといってやることが変わるわけではないので、数日で立ち直ったように記憶しています。成長するためには努力と勉強、作業を繰り返すしかないと思っているので、人生を通してそのルーティンをこなし続けています。

Q.7 就職先はどのように決めましたか?

留学でファッションを学んだものの、職業としてデザイナーを選ぶべきか悩んでしまい、就活は迷走していました。さまざまな企業のOBに話を聞くうちに、どの業界でどんな仕事をしたとしても、任されることの大枠はあまり変わらないと考えるようになり、最終的にはインターン先の会社に就職することを決めました。就職先は「C Channel株式会社」というキャスティングやPRを得意とするベンチャー企業。手を挙げればなんでもやらせてくれる空気があり、裁量権が大きかったのがメリットでしたね。

Q.8 リーダー職を目指したきっかけはなんでしたか?

もともとリーダー職を目指していたわけではありませんでした。「C Channel」では留学経験を活かして海外事業部に配属され、1年でEC事業部に転籍。EC事業部でP2Cブランドの立ち上げに従事した経験を買われ、当時の上司に誘われてDirect Techに入社しました。

上司と同じ環境で働けるなら、と転職し、新しいコスメブランドやアパレルブランドの立ち上げをこなしていくうちに、いつの間にかリーダー職に。成長するために必要なものを取りに行くことを繰り返していく日々の中で、役職は勝手についてきました。

Q.9 就任してから一番大変だったことはなんですか?

経営者として「ズームアウト」の視点を持つまでには、苦労しましたね。もともとオタク気質で、視野が狭くなりやすいことは長所であり短所でもありました。けれど、仕事のスケールが広がっていくこと自体は楽しかったですし、貴重な経験を積ませてもらっている自覚があったので、日々を楽しみながら徐々に学んでいますが……毎日が充実しているからこそ、すぐに時間が過ぎていくような感覚もあり、焦りも感じます。

けれど、時間は平等に有限です。少ない時間の中でどうしたらもっと成長できるか、もっと考える時間を確保できるかを考えて、最近会社の近くに引っ越しました。

Q.10 毎日のタイムスケジュールを教えてください。

実働時間は、毎日10時間程度です。経営者の中ではホワイトな方かもしれませんね。チームメンバーの仲がいいので、ランチはみんなで食べることが多いです。仕事が終わったら、お酒を飲みながら本を読んだり、情報収集に時間を使うことが多いです。今でも絵を描くのが好きなので、瞑想も兼ねて絵筆を握る日も。

仲間である社員とともに「感動体験を世界に」

Q.11 休日は何をしていますか?

新しい体験をすることを大切にしているので、アートに触れたり、図書館に行ったり、ゴルフに行ったり……色々ですね。休日も、チームメンバーと過ごすことも多いです。新しい体験に前のめりな子や、情報が早い子が多いので、誰かしらが新しいスポットを見つけてきて、みんなで遊びに行きます。サウナに旅行、展示会など、いい意味でなんでも楽しんでいます。

Q.12 どんなところに住んでいますか?

会社からすぐ近くのデザイナーズマンションで、コンクリート打ちっぱなしの、無機質な部屋です。もともとは韓国風の女性らしい部屋や、白基調のインテリアも好きなのですが、家に帰っても仕事のことを考えることが多いので、雑念が入りづらいよう趣味とは全く違う部屋を選びました。いつかは、好きなものに囲まれたかわいい部屋にも住んでみたいんですけどね。

Q.13 社員とはどんな関係ですか?

上下関係というよりは、いい意味で支え合う同志のような関係です。ちなみに、社員からも「横田さんは変わっている」と指摘されることが多いです(笑)。トレンドを追いかけるのも私たちの仕事の一つなので、私も社内では日によってはかなりカジュアルな格好をしているので、親近感はあるのかな?

Q.14 将来の夢を教えてください。

仕事と自己成長が何よりも好きなので、お仕事は死ぬまで続けたいです。でも、夢を語るとしたら、感動体験を世界に提供していきたいです。ITやメタバース、AIが進歩していく世の中で、体験や経験こそが人間を人間たらしめていくと思っています。今後、体験は世界中でもっと価値が高くなっていくと思います。

Direct Techでは、誰かの経験や体験を、コスメやアパレルといったモノ、イベントや発信に落とし込みます。その経験の価値や感動がもっと伝わるよう、尽力していきます。それと同時に、私自身も限りある時間の中で、より多くのことを体験し、濃い人生を送っていきたいですね。

※この記事は2023年08月31日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

この著者の記事一覧 

SHARE