フリーターの何が悪い? 周りに何を言われても気にしなくてもいい理由
仕事で大成功を成し遂げたいとか、そんな大それた野望はないけど、なんとなくうまくやりたい。いつもの働き方を小さくアップデートする「お仕事ハック」を紹介します。
今回のお仕事ハックは「フリーターへの偏見がつらい」とのお悩みについて、コラムニストのヨダエリさんがアドバイス。
フリーターへの偏見がつらい
私は2年前に会社員をやめてフリーターになりました。今は、アルバイトをして収入を得ていて、会社員時代にストレスに感じていた無駄な規則や人間関係から解放され自分の中では楽しく生きているつもりです。でも、ことあるごとに周囲から「就職は考えないの?」「そんなんじゃ結婚相手見つからないよ」「将来が怖くないの?」と否定的な意見を言われます。このご時世、独身のフリーターは偏見を持たれても仕方ないのでしょうか?
(30代/フリーター)
新しい髪型を褒めただけでセクシャル・ハラスメントになるのなら、人の生き方に否定的な意見を言うのは、ライフ・ハラスメントではなかろうか……。そんなことを考えてしまいました。
これをしてくる人には大きく分けて2種類いると思います。あなたのことを本気で心配している人と、そうでない人です。
後者は全く気にしなくて良し! そこにあるのは「自分には絶対できないことをなぜこの人はできるの?」という疑問、好奇心、嫉妬、もしくはそれらが入り混じった感情です。無責任な立場から言っているので聞き流しましょう。
悩ましいのは前者、つまりあなたの行く末を本気で心配している人があなたの選択を否定してくる場合です。
例えば親の場合、「この子は自分が死んだ後ちゃんとやっていけるのか」「生活に困るのでは」「まじめなパートナーと出会えないのでは」などなどの心配をします。
そこにはまさに偏見も混ざっていますが、子どもを心配すればこそ危険な目に合わせたくない、つまりリスクのある選択をさせたくないわけで、親としては筋が通っています。
が。それを踏まえた上で思います。あなたはあなたの人生を生きればいいんだよ! と。
そう思う背景を話します。私は親の転勤で、11歳から15歳までをドイツで過ごしました。
多感な思春期だったことや、おそらく自分の中に潜んでいた性質なども絡み合い、ドイツでの日々は自分の人生観に大きな影響を及ぼしました。
ひとことで言うと、生き方も幸せの形もひとつではない、と知ったのです。
ドイツでは、さまざまな職業の人が自分の仕事に誇りを持っています。
例えば公衆トイレに入ると、チップを入れる皿が置かれたテーブルの横に、清掃係のおばちゃん(制服ではなく私服)が編み物をしながら座っています。私はここの主、と言わんばかり。ぶっちゃけ偉そうです。でも、そのトイレは「ここで暮らせそう……!」と思うくらいピカピカで清潔。仕事ぶりに抜かりはないのです。
他の職業の人もそうでした。自分の仕事や生き方に誇りを持ち、自分の人生を謳歌している。子ども心にそう感じました。
もちろん、大人としてその土地に暮らしてみないと分からない部分もあるでしょう。でも子どもでも、偏見がそこにあるかないか、誇りがあるかないかは空気で分かります。
そして自分も働く年齢になり。就職氷河期になんとかPR会社に入ったものの、退社してフリーランス・ライターになりました。
親は「そんなやくざな仕事」と猛反対。フリーで食べていけるようになっても「まだやってるの?」と言われ続けました。
今考えると、親の気持ちも分かるんですよね。「なんでわざわざ不安定な道に行くんだ」「何のために大学を出たんだ」と。
でも、親の考える幸せは私の望む幸せではない。だから親の望む生き方をしても私は幸せにはなれない。そう確信していたので、決意が固まった後は気持ちが揺らぐことはなかったです。
今は、親も私の生き方を認めてくれています(半分諦めたとも言う……笑)。フリーターとしてイキイキと暮らす姿を見せていれば、あなたの周囲もそのうち静かになるはず。少なくともあなたを心配して意見を言ってくる人は。
正社員になりたい人が山ほどいるこの時代に、あえて会社を辞めてフリーターになるあなたは、自分の幸せを知っている人なんだと思います。自信を持ってあなたの人生を生きてください。応援してます!
Point.
・人の生き方に否定的な意見を言ってくる人には2種類いる
・無責任に疑問や好奇心、嫉妬などから口を出してくる人のことは気にしなくて良し
・心配で口を出してくる人は、あなたがイキイキと暮らし続ければ、そのうち静かにな
・自分の望む幸せがあるのなら、周りに何を言われても揺らぐ必要はない
(文:ヨダエリ、イラスト:黒猫まな子)
※この記事は2023年08月22日に公開されたものです