【第9話】ついに離婚!?　サレ妻の旦那突撃と、解けてしまった好きの魔法

※このコラムはドラマ「あなたがしてくれなくても」9話までのネタバレを含んでいます。

新名！　放置すな！　花束返品してこい！

夫・陽一（永山瑛太）の浮気を知り、家出をしたみち（奈緒）に引き続き、楓（田中みな実）も夫・新名（岩田剛典）の浮気を知り、家出をします。しかし、血眼になって探しに来たみちの夫、陽一とは違い、新名は一切探しにくる様子がありません。それどころか連絡の一つもない。純然たる放置プレイ。

花束贈って「やり直そう」と楓に伝えた日から、全ての行動において一切やり直す気がない新名。お前の決意はそんなもんか!?　あの日の花束返品してこい！

そんな状況で楓はどんどんと精神的に追いやられ、アイデンティティである仕事でもミスが増えていきます。そして前回は、夫の浮気相手・みちの元へ喧嘩上等と乗り込んだ楓でしたが、今度は探偵業者を雇い、みちの夫・陽一のカフェまでツラを拝みにいく行動力を見せつけます。しびれる。

サレ妻の行動力・気づけばホラードラマへ

カフェに入るや否や、「美人が来た！」とばかりにオーナーがウザ絡みを始めます。ガンガン顔を覗き込みながらちょっと下心込みで話しかけてくるの最悪すぎて。

自分の店をキャバクラみたいに使うんじゃないよと。味はいいのにカフェが閑古鳥泣いてるのはこのオーナーのせいなんじゃ？

それはさておき、ここからがホラードラマ。「奥様うらやましいです……毎日こんなおいしいコーヒー飲めて。どんな方なんですか？」と楓が一点を見つめながら陽一に話しかけ始めます。

すかさず下心満載オーナーがカットイン。「ずっとそばにいて支えてくれているいい子」と返すと「ずっとそばに？　そう思ってるのはご主人だけかも。知らないうちに浮気してたりして。そう思ったことありません？　案外分からないものですよ。夫婦って他人だから」これを超真顔で浮気相手の旦那にぶっ放すメンタル。背筋が凍ります。まさに精神的ホラー。

初めて陽一がかっこいいと思えた場面

それに対する陽一の返しがかっこよかった。

「今は夫婦だから」

物語の冒頭から楓は一貫して「夫婦といっても他人」と線引きをしていて、あれだけ新名が楓に尽くしてくれていた時ですら、自分しか信じていないんですよね。だからこそ、自分の努力が裏切られず結果につながっていく夢や仕事が一番だったのかもしれません。

一方で、陽一にとってみちは「夫婦であり家族」でもある存在。「それでも裏切られたら？」という問いにも「それはそれで俺のせい」と楓の想像を超える達観した価値観で、撃退しました。

自分と同じ、サレ側である陽一にこれを言われてしまったら、もう手も足も出ませんし、自分の行動全てが恥ずかしくなってしまいます。サレ側に原因が一切ない場合はさておき、今回は心当たりがありすぎるのですから……。

しかしこの後、裏切りを知ることとなった時、陽一は「俺のせい」としてどう対処していくのか、見ものです。

メンタルが1日で2度死んだ日

みちも新名も、現状をもう一度考え直すきっかけが訪れます。みちのきっかけは後輩・華（武田玲奈）の「一人はラク！」という言葉と昇進試験の打診。当たり前に陽一と家庭を作って過ごしていく未来しか考えていなかった中で、「一人で生きる」「家庭ではなく仕事に邁進してみる」選択肢が、ふっと生まれます。

一方新名は「夫婦は足並みがそろわないことが多い。そんな時は立ち止まりなさい」という母の言葉。気持ちがそろわなくなってしまった楓に、「セックスができなかったのは、男としての愛情が戻らなかったから」と正直な気持ちを伝えます。

にしても楓にとっては、この言葉を伝えられた日とカフェ突撃が同日なんですよね。こんなん1日でメンタル2回死んでますよ。命日が1日に2度訪れるとか、楓のHPは0どころかマイナスです。誰かドラクエの如く、ふっかつのじゅもん入力してあげて……。

ズタボロすぎる中で「やっと本音聞けた」と涙目ながらも笑顔で気丈に受け止めていて、楓の健気さに泣けます。幸せになってくれ……とりあえず『GINGER』10冊応援購入するよ。

最悪すぎる陽一の告白

マンション更新のタイミングで、家の購入を検討し出した陽一とみち。

その過程で、将来の家族計画の食い違いが発覚。そこから、陽一が「実は子どもが欲しくなかった」こと、「それを伝えたら、みちが自分から離れていくから黙っていた」ことを告白します。

自分のことしか考えていない、最悪すぎる発言に、みちは絶望します。「みちが子どもを望む気持ち」を知りながら、「自分の元から離れてほしくないという自らの欲」を優先して、回答をうやむやにしてきた陽一。

みちとの付き合い方の全てがここに凝縮されていました。みちのことを少しでも思いやっていたならこうはなっていません。

その後取り繕うように、「子どものこと？　作ってもいいよ」と、紙切れよりもペラすぎるその場しのぎの言葉を放ち、みちから見限られます。

全てを解決していた、好きの魔法

マンション購入も、「不倫バレして嫁に家買った話」を陽一がカフェオーナーから聞いて、感化されたことがきっかけ。みちの意思や考えとしっかり向き合うことをせず、思いつきのように行動しているように見え、全ての行動がうわべで取り繕う感じで浅いんですよね。

でも今までこれを解決していたのは、みちの「好き」という気持ちがあったから。側から見るとどんなひどいことでも、「みちの好き」で全て解決してきました。

むしろみちはよくここまで耐えました。いや、好きだから耐えているという自覚もなかったのでしょうが。

みちは今まで陽一に全て合わせ続けてきた人生を捨て、自分の仕事、気持ち、出産の選択肢まで気持ちをぶつけて向き合える相手と結ばれてほしい！　まぁ、新名なんですけど。

子供が欲しい、キャリア応援してくれる、気持ちが惹かれ合う同士、ベストでしかない。新名！　あとは君の行動次第だ！　頼む！

新名、拉致・誘拐未遂で現行犯逮捕

現業での出勤最終日を迎えた新名。後輩の計らいで、みちと新名は終業後に一緒にラーメンを食べることに。お互いが、それぞれの夫婦関係が順調にいっていると勘違いしたまま、いつも通りの当たり障りのない会話を進めます。

「みち！　もう旦那との状況相談しちゃえよ！　そうすれば二人の関係が急展開するのに！」ともどかしさを感じつつ、うっかり沼に落ちることはなく最後に別れを告げます。

と、思いきや新名が引き返し、突如みちの手を取りバス停に向かい、バスに連れ込もうとするのです。え???　なに??　拉致??　誘拐!!?　どこに向かおうとしたの??　もしかしてプラネタリウムどうしてもリベンジしたかった？

オリオンの奇行に困惑しながら、この場面は終わり、新名は楓に、みちは陽一に離婚を切り出します。みちが新名への好意を持っていなかったら、警察に突き出されてますけど、新名パイセン毎度衝動的すぎるのよ。落ち着いて！

バスに乗らなかった後、二人の間に何があったのでしょうか。次回明かされるであろう、この真相が一番気になります。

離婚を告げた先に待つものは

楓は離婚を素直に受け入れます。「心を壊してまで一緒にいることに、何の意味があるのかな」という編集長（MEGUMI）の言葉もありましたが、この決断がきっと新名の母が言っていた「家の中でも外でも、その人らしくいてくれたらいい」になるのでしょう。

一方、陽一にとって離婚は青天の霹靂。新名の存在はまだ知りません。みちはそれを素直に告白するのでしょうか？

話はそれますが、新名が買ってきてくれるビール、プレミアム系の一番高いやつなんですよね。こういうところがまじで新名。愛する人にお金も時間も惜しまない。どうか二人で結ばれて毎日ビール煽ってくれ！

楓とはいつもワイン飲んでますけど、新名は本当はお酒何派なんですかね？　ビール好きだけど、楓に合わせてワインにしていたのか、はたまたみちに合わせてビールにしていたのか、酒ならなんでもOKなのか？　そこにも彼の性格由来のものが隠れている気がします。

いよいよ新名・みちが結ばれるエンドに進んでいくのか？　それを望む1視聴者としては、ますます次回が待ちきれません！

（やまとなでし子）

※この記事は2023年06月15日に公開されたものです