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「職場で生きづらさを感じる」LGBTQ+当事者は、非当事者の約1.5倍に

#おしごとニュース

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求人検索エンジン「Indeed (インディード)」の日本法人Indeed Japanは、全国のLGBTQ+当事者1,000名を対象に、意識調査を実施しました。

同社では4月20日より、ダイバーシティのある働き方を推進するプロジェクト「Indeed Rainbow Voice 2023」をスタート。同取り組みにあたって、LGBTQ+コミュニティの人たちの仕事探しや職場において直面している困難や課題、職場に求めることなどを明らかにするため、今回の調査を実施しています。

「職場で生きづらさを感じる」LGBTQ+当事者は約4割で、非当事者の約1.5倍

全国の20~50代の人々を対象に、現在または直近の職場について尋ねたところ、LGBTQ+当事者の約4割(39.1%)、非当事者(シスジェンダーかつヘテロセクシュアル)の26.8%が「職場で生きづらさを感じる」と回答し、LGBTQ+当事者が非当事者の約1.5倍の結果となりました。

LGBTQ+当事者は非当事者よりも、職場において困難を抱えている可能性が高いことが示されました。

LGBTQ+当事者の3人に1人が「不安やストレス、嫌な思いを経験」

「LGBTQ+当事者であることがきっかけで、仕事探しや職場において不安やストレス、嫌な思いをした経験」について尋ねたところ、3人に1人以上(33.5%)が経験したことがあると回答。

また、仕事探しや職場において感じた不安やストレスなどに対し、どのような対策をしたかという問いに対しては、35.5%が「誰にも言わず/何もしなかった(自分の心のなかにとどめた)」と回答しました。

64.5%は何らかの対策をしており、最も多かったのは「公的・民間の窓口など社外の人や組織に相談した」12.5%で、他にもLGBTQ+コミュニティや友人などへの相談も上位となりました。

一方で、全体の約5人に1人(21.5%)が「転職/退職(転職活動の開始を含む)」を選択した経験があることも明らかとなりました。

働くLGBTQ+当事者の7割以上が「職場でカミングアウト」していない

現在の職場において、同僚や上司に対してカミングアウト(自身の性自認や性的指向を誰かに打ち明けること)をしているかを尋ねたところ、有職のLGBTQ+当事者の7割以上(75.8%)が「カミングアウトをしていない」と回答しました。

この結果より、企業(職場)からは、LGBTQ+当事者の存在が「見えづらい」状況が考えられます。そのため、企業(職場)においてLGBTQ+当事者がいる前提での環境づくりやコミュニケーションが進みにくいことで、LGBTQ+当事者が職場で感じる不安や生きづらさにつながっているという可能性も考えられます。

LGBTQ+当事者の3割以上が「やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」

LGBTQ+当事者の3割以上(31.5%)が「当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」と回答しました。

「やりたい仕事に就くことを諦めたことのある」約8割が「応募前」に諦めた経験

LGBTQ+当事者であることで、仕事に就くことを諦めた経験のある人のうち、約8割(78.1%)が「仕事に応募する前に諦めた」と回答しました。

やりたい仕事に就くことを諦めたLGBTQ+当事者は、仕事に応募する前の段階で何らかの障壁に直面している可能性があることが明らかになりました。

「諦めた」理由1位は「多様な性のあり方について理解のない発言」

「LGBTQ+当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めた理由」は、1位が「男性らしさ・女性らしさの決めつけなど、多様な性のあり方について理解のない発言をされた」17.1%、次いで「求人を調べているとき、採用企業にLGBTQ+に対する制度があるかわからなかった」「勤務中の髪型、化粧、服装(制服着用など)などの要件が希望と合わなかった」が共に13.1%という結果でした。

LGBTQ+当事者が「やりたい仕事に就くことを諦めた理由」

・1位「男性らしさ・女性らしさの決めつけなど、多様な性のあり方について理解のない発言をされた」17.1%
・2位「求人を調べているとき、採用企業にLGBTQ+に対する制度があるかわからなかった」13.1%
・2位「勤務中の髪型、化粧、服装(制服着用など)などの要件が希望と合わなかった」13.1%
・4位「志望している業界やその企業について、古典的な価値観のまま・多様性が担保されていなかった」11.4%
・5位「求人を調べているとき、採用企業がLGBTQ+フレンドリー(LGBTQ+を理解し寄り添い、支援する企業)かわからなかった」10.9%
・5位「求人を調べているとき、採用企業の従業員にアライ(LGBTQ+を理解し寄り添い、支援する人)がいるかどうかわからなかった」10.9%

企業における多様な性に対する理解が低いことや、LGBTQ+当事者に向けた制度の有無がわからないこと、働く上での要件などが、LGBTQ+当事者がやりたい仕事に就くことの妨げになっている可能性が明らかになりました。

4人に1人が「当事者であることで、やりたい仕事を続けることを諦めたことがある」

さらに「LGBTQ+当事者であることで、やりたい仕事を続けることを諦めた経験」について尋ねたところ、約4人に1人(24.4%)が、経験があると回答しました。

「やりたい仕事を続けることを諦めた」理由1位は「見た目の性別で決めつけた発言や扱い」

「LGBTQ+当事者であることで、やりたい仕事を続けることを諦めた理由」は、1位「見た目の性別決めつけた発言や扱いをされた」(15.7%)、2位「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいた」(14.2%)、3位「LGBTQ+当事者の社員/事例がなく、制度や環境について会社に希望・意見を伝えづらい」(13.1%)という結果でした。

LGBTQ+当事者が「やりたい仕事を続けることを諦めた理由」

・1位「見た目の性別で決めつけた発言や扱いをされた」15.7%
・2位「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいた」14.2%
・3位「LGBTQ+当事者の社員/事例がなく、制度や環境について会社に希望・意見を伝えづらい」13.4%
・4位「性自認や性的指向に関連するハラスメントを防止する取り組みがなかった」12.7%
・5位「本当はもっと長く働きたくても、長く同じ職場で働けない」11.2%

仕事を諦めないために求めること1位は「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいない」

LGBTQ+当事者がやりたい仕事を諦めないために、企業や職場に求めることを尋ねたところ、1位「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいない」(24.7%)、2位「カミングアウトしない人も、職場の居心地がよい」(23.8%)、3位「カミングアウトしない人も、職場での人間関係を深められる」(20.1%)でした。

LGBTQ+当事者がやりたい仕事を諦めないために企業や職場に求めること

・1位「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいない」24.7%
・2位「カミングアウトしない人も、職場の居心地がよい」23.8%
・3位「カミングアウトしない人も、職場での人間関係を深められる」20.1%
・4位「仕事の幅・選択肢が増えて、仕事内容にも満足できる仕事・職場がみつかる」19.0%
・5位「制度としても、文化としても、自由な服装やファッションが認められている」18.8%

安心して働くために求めること1位は「特定のジェンダー観に縛られずに働ける職場」

また、今よりもっと違和感や生きづらさを感じず安心して働くために、企業や職場に求めることを尋ねたところ、1位「誰もが自由な服装や髪型・言葉遣いなど、特定のジェンダー観に縛られずに働ける職場」(21.1%)、2位「カミングアウトしなくても不利がないような制度や従業員の意識がある職場」(19.9%)、3位「自分を理解してくれ、今後の仕事・キャリアの相談に乗ってくれる人(LGBTQ+かを問わず)がいる職場」(15.4%)でした。

今よりもっと違和感や生きづらさを感じず安心して働くために企業や職場に求めること

・1位「誰もが自由な服装や髪型・言葉遣いなど、特定のジェンダー観に縛られずに働ける職場」21.1%
・2位「カミングアウトしなくても不利がないような制度や従業員の意識がある職場」19.9%
・3位「自分を理解してくれ、今後の仕事・キャリアの相談に乗ってくれる人(LGBTQ+かを問わず)がいる職場」15.4%
・4位「自由にカミングアウトできる職場環境」15.3%
・5位「LGBTQ+の存在を想定した言動などコミュニケーションがあたりまえな職場」13.7%
・5位「同性パートナーを法律上の異性婚夫婦と同等に扱う社内制度が導入されている職場」13.7%

LGBTQ+当事者が、やりたい仕事を諦めず、また生きづらさを感じずに働くために企業や職場に求めることは、多様な性のあり方に対する理解や意識の浸透、そしてカミングアウトの有無に関わらず働きやすい制度や環境であることがわかりました。

仕事探しまたは仕事をしているときに感じた不安やストレス、嫌な思い

・面接でカミングアウトしたところはすべて不採用。カミングアウトしなかったところはすぐに採用された。差別されているんだなと思った。
・就活で面接のお願いのために電話をしたときに、こちらからカミングアウトした途端「うちの会社はそういうのはいらないから」と笑って言われて電話を切られた。その後は、そのことがトラウマになって就活できなくなった。
・面接で髪を丸坊主の手前まで短くしないと採用しないと言われた。
・女性の制服が強制されるところでは、自分自身の違和感を感じて、働きづらいと感じた。
・異性の恋人を前提として、恋人の有無を聞かれたり、社内のバーベキューパーティーに恋人を呼ぶように言われる。
・「店員さん」や「○○さん」って呼ばず、「お姉さん」と声をかけられたのが思いのほか苦しかった。

企業(職場)への意見や求めること

・企業としてだけではなく、社会貢献として、勤務している社員やその家族、取引先の関係者が勤務時間外であっても、多様性における配慮に欠けた言動をしないように、定期的に社内外で講習などを行なってほしい。
・「LGBTQ+という特別な人たちがいる」のではなく、「人には人の数だけ性がある」ということを理解する。会社を挙げてSNSなど一般の人からも目につくところでLGBTQ+コミュニティを支援していることを発信してほしい。
・LGBTQ+の人たちが世の中に沢山いること自体が当たり前の事だと、全ての人が思える社会づくり。自分の価値観も、他人の価値観も、受け入れられるべきものだと、企業や会社の人ひとりひとりが何度も発信していってほしい。

調査概要

・調査主体:Indeed Japan
・調査対象:全国の20~50代 30,643名、うちLGBTQ+当事者※1,000名                        ※総人口から無職(専業主婦・主夫や学生を含む)かつ(今後の)就労の意志のない人を除いた人
※シスジェンダーかつ非ヘテロセクシャル(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、パンセクシャル、アロマンティック・アセクシャルなど、性的指向においてクエスチョニングのいずれか)、トランスジェンダー、エックスジェンダー、クエスチョニングにて均等割付を実施。
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2023年3月17日~3月27日

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※この記事は2023年05月06日に公開されたものです

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