この春ドラマ化! 漫画『王様に捧ぐ薬指』作者・わたなべ志穂先生インタビュー
2023年4月18日(火)夜10時からTBS系にてスタートするドラマ『王様に捧ぐ薬指』。原作は小学館『プチコミック』で連載されていた漫画ですが、マイナビウーマン読者にも連載当時からのファンは多いのではないでしょうか。今回は『王様に捧ぐ薬指』原作者のわたなべ志穂先生にインタビュー! 連載当時の思いや、ドラマに期待することなどを伺いました。
取材・文:瑞姫
撮影:洞澤佐智子
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部
累計発行部数200万部を記録した、わたなべ志穂先生の原作を元にした新火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS)が、2023年4月18日(火)夜10時から放送スタートします。
主人公は誰もが認める絶世の美女であるホテルブライダル課勤務の綾華(橋本環奈)。彼女に目をつけたイケメン支配人・東郷(山田涼介)が、理想の夫婦を演じることでホテルの利益を上げようと綾華に偽装結婚を持ちかける、ウソから始まった夫婦の物語です。
連載終了から約6年の時を経てドラマ化となった原作はどのような発想から生まれたのかーまた、主演を演じる二人について思うこととは? 原作とドラマそれぞれの魅力も含め、お話しいただきました。
コメディ要素が詰まった「綾華×東郷のかけあい」のヒント
ー『王様に捧ぐ薬指』はどのような発想から生まれたのでしょうか。本作品のテーマを教えてください。
私がウエディングの会場でアルバイトをしていたのがきっかけです。そこから当時連載していた『プチコミック』(小学館)の雑誌的に、“王様”的な俺様タイプのキャラクターがいた方がいいだろうと考えました。
あとは、私の身近に美女がいたのですが、その人の高飛車な態度を見てきてすごく面白いなと思ったので、全てをドッキングさせた感じです。
ーわたなべ先生の実体験も入っているんですね。
そうですね。私の場合、作品には割と実体験が多いと思います。ウエディングのアルバイトでは、食事の配膳や両家親族の誘導、来賓の方にお渡しする品物の管理まで任されていたので、流れは分かるかなと思って。いろいろなパターンの結婚式も見てきたので、それもネタになるかなと思いました。
ー『王様に捧ぐ薬指』は綾華と東郷のテンポの良いかけあいが魅力のひとつかと思いますが、二人の姿を描く際に気をつけていることはありますか?
緩急にはすごく気をつけています。ギャグの部分とシリアスな部分はきちんと差が出るようにしていますね。多分あのかけあいって、普段の自分が人としゃべる時と似ている気がするので、それにちょっと拍車をかけた感じにしてあるというか……。普段からの私のテンションそのままという感じですね(笑)。
ーギャクの部分の、お互いにズバズバ言い合う場面があるからこそ、シリアスなシーンがすごく活きていますよね。
編集さんの力もあるんですよ。「ここで二人がこういう気持ちになるんだったら、こういうことをしましょう」と提案してくれたりするんです。作家がその点において見落としがちなところがあるので、そこはサポートしてもらっています。
『王様に捧ぐ薬指』一番の見どころ
ー本作の制作過程で苦労した点はどこですか?
私自身が恋の気持ちを描くのがすごく苦手なんです。二人が恋人になるまでを描くことが苦手なんですよね。早く両思いにしたいところなのですが、それまで一つひとつ段階を踏んでいくというのが毎回すごく苦労しました。
どこで好きになって、どこで恋に落ちて、というのを考えるのが面倒くさいなと(笑)。毎回「分からないよ〜!」と言いながら5巻ぐらいまでは描いていたと思います。
ーすごく意外です(笑)。では、逆に楽しかったのはどんなところですか?
東郷の母・静が登場するところですね。キャラクターのダークサイドを描くのが好きなので、ようやく私の本領発揮! と思っていました(笑)。
ー本作で一番お気に入りのシーンを教えてください。
東郷が過去のことを語って、綾華が“小さい頃の東郷を抱きしめてあげたかったな”と思うシーンがあるんですけど(単行本3巻収録・第12話)、あそこは二人の一番ネックだった部分を解消できた部分なので、我ながらいいシーンを描いたなと思います。
ーわたなべ先生が思う、本作の見どころを教えてください。
最初は仲が悪かった東郷と綾華が愛を重ねて、静という強敵に立ち向かい、二人で困難を乗り切るというところです。東郷の愛は歪んでいたと思うんですが、綾華によってきちんと愛を得られたことによって、二人の愛がよりしっかりとしたものになったと思います。
ー本作の中で一番共感するキャラクターは誰ですか?
特に共感して描いてはいなかったのですが、静の気持ちもすごく分かるんです。私はちょうどこの漫画の最終巻を描いている時に母になったのですが、それがきっかけで曖昧だった部分がすごくくっきりとしてきて。
親として「我が子を追い求めていたんだろうな」「私も静だったら狂うだろうな」と。歪んだ愛なんですけどね。
原作とドラマ化の違った魅力
ードラマ化のお話を耳にした際の率直な感想を教えてください。
今!? と思ったのは正直なところです(笑)。
ー(笑)。連載終了から約6年の時を経てのドラマ化ですもんね。綾華と東郷のキャスティングに関してはどう思われましたか?
予想外のキャスティングでしたが、千年に一度の美女である環奈ちゃんと、ビジュアルと演技が元々すごく好きだった山田くんなら、画面的には完璧だなと思いました。こんなありがたいお話を私が蹴ったら叱られる! と思って、ありがたくお願いしました。
元々誰がいいとかは正直全くなく、ドラマのイメージに合った人で、きちんと演技ができる人であれば良いというのはお伝えしていたんです。お二人の過去の作品を見てきて、演技力は大丈夫だと思っていたので、お任せできるなと。
ードラマは原作と設定などが変わっている部分もありますが、実際に撮影を見学していかがでしたか?
原作よりもコミカルなところが強調されているのですが、環奈ちゃんと山田くんならこの方がいいだろうなと実際に見て思いました。原作はシリアスな部分も多々あるのですが、ドラマは和気あいあいとしたラブコメディになっております!
ー原作とドラマ、それぞれの魅力があるということですね。橋本さんや山田さんと何かお話はされましたか?
環奈ちゃんとは「よろしくお願いします」とご挨拶させていただいたのと、お互いにTwitterアカウントをフォローしあっているのでそのお話をしたり。
山田くんはエアロバイクを漕いでいらしたのですが「好き勝手にやらせていただいています!」と言われたので、「どうぞ、どうぞ!」と(笑)。
山田くんはコミカルな役が多いですが、Sっけが強いタイプだと思うので、東郷としてそれを前面に出してほしいですね。
ーでは最後に『王様に捧ぐ薬指』の原作を読んでいた方、これからドラマを見る方にメッセージをお願いします。
ドラマではコミカルなかけあいをくり広げている二人が、どうやって本当の夫婦になっていくのか、恋に落ちる瞬間も原作とは違うかもしれないので、その違いも含め楽しんでいただけたらいいなと思います。環奈ちゃんの綾華、山田くんの東郷としての『王様に捧ぐ薬指』を私も一から楽しもうと思います。
ーありがとうございました。
Information
火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBSテレビ)
愛は一切ナシの“メリット婚”から始まる超打算的シンデレラストーリー!
大好きな家族を守るべく結婚を選んだ“ド貧乏シンデレラ”羽田綾華(橋本環奈)と、業績不振の結婚式場を立て直すため、好きでもない女との結婚を選んだ“ツンデレ御曹司”新田東郷(山田涼介)がくり広げる胸キュンラブコメディ。愛がないのに結婚を決めた男女の、超打算的なシンデレラストーリーが幕を開ける!
2023年4月18日(火)スタート
毎週火曜22:00~22:57(初回は15分拡大)
原作:『王様に捧ぐ薬指』わたなべ志穂(小学館)
出演:橋本環奈、山田涼介、松嶋菜々子 他
脚本:倉光泰子、関久代
演出:坪井敏雄、泉正英、宮崎萌加
プロデューサー:橋本梓、勝野逸未
制作:TBSスパークル、TBS
※この記事は2023年04月17日に公開されたものです