【第一回】不倫をしたらどうなるの?
10代や20代前半の頃はドラマや漫画の中の話だった「不倫」が、年を重ねるにつれて身近なところで話を聞く機会があったり、友人が不倫していたりと、本当にあるんだ! と実感することが増えていきませんか? でも、実際に不倫をしたらどうなるのか……その行く末までを聞いた事がある人は少ないかもしれません。今回は弁護士の濵門俊也先生に、不倫について気になる事柄をインタビュー。全3回でお届けします。
10代や20代はじめの頃は他人事だった「不倫」が、年を重ねていくと身近なところで話を聞いたり、友人が既婚者と交際していたり……本当に起こるのだと実感する女性は多いと思います。
「友達の夫が不倫していた」「独身と思って付き合っていた人が実は既婚者だった」など、求めていなくてもその立場になる可能性は誰でも持っているもの。もし不倫に巻き込まれてしまったらどうすればいいか、法律の専門家である弁護士に聞いてみました。
今回お話を伺ったのは、東京都中央区に事務所を構える弁護士の濵門俊也さん。不倫や離婚などの男女問題について数多くの案件を扱い、法律の解釈で不倫はどんな考え方がされているのか、また実際に問題が起こったときはどんな流れになるのか、いろいろなケースをお聞きしました。
弁護士として、不倫にまつわるあんなことやこんなことについて、実務に基づいたご意見をご紹介します。
そもそも不倫は法律で禁止されているもの?
先生、どうぞよろしくお願いいたします! そもそも不倫とは、法律で禁止されているものでしょうか。
禁止はされていないんです。
そういう条文の文言は無いのですよね?
はい。
では、なぜ不倫は「したらダメ」と言われているのでしょうか。
日本の婚姻制度は一夫一婦制をとっていることから、婚姻中、配偶者以外の第三者と性交に及ぶことは法律的に違法だと言われています。刑法では重婚という罪もあります。一夫一婦制の観点から、不倫は不貞行為という評価を受けることになります。
不貞行為とは、具体的にどういったものが当てはまるでしょうか?
民法の770条一項一号に、不貞行為が離婚の原因として規定されています。不貞行為の核心部分は「性交渉を伴うもの、もしくはそれに準ずるもの」とされています。
肉体関係を持ったらアウトということになるのでしょうか。
そうですね。不貞行為に当たるということですね。
では、性交まではいっていない、プラトニックで手をつないだだけ、キスをしただけの場合は、不貞行為には当らないのですか?
それは恋人関係だからセーフとか、そういう議論がされると思うのですけど、プラトニックである限りは不貞行為には当たらないと考えられます。
肉体関係があるかないかが不貞行為の分かれ目なのですね。
それが核心部分ではありますね。ただ、それに準ずるものも含みます。
準ずるもの……。私は、ラブホテルにふたりで行った事実を認めている段階で不貞行為があったと認識しているのですが、いかがでしょうか。
それだけでは足りないですね。そういうところに入っていたらそれしかやることないだろって思うかもしれませんけれど、訴訟になると皆さん「入っただけです」と言い切りますね。不倫の裁判においては結構あるあるです。
法律における「不倫の証拠」について
肉体関係の証明がすごく難しいなと感じるのですが。
そうですね。相当マニアでない限り、そういった行為中に自撮りする人なんていないんですよ。証拠があるかないかで言われたら、ある事件なんてほとんど無いです。
うーん。
先ほどの、その施設に入った行動を捉えて、そういうことに及んでいたのだと言うことはもちろんあります。社会通念とか経験則とか、常識的な判断で、最終的には裁判所は事実を認定してくれますけどね。
ラブホテルみたいなところに行って、三時間何もしないとは考えられない、と。
そこまではっきりは言えないけれど、蓋然性は高いですよねと。
LINEで「ホテル行って楽しかったね。またセックスしたいね」みたいなやり取りがあれば、これは確実な証拠になるのですよね?
確実とは言えませんが、それを推認させる証拠ではあります。
証拠として採用はできますか?
証拠として採用できるかどうかを証拠能力といいますが、それは自由心証主義のもと、どんな証拠でも基本的には認められます。証拠能力は無制限なのですね。例えば先ほどのLINEのやり取りですけど、そういうことを具体的に書いていたとするじゃないですか。でも、相手方は必ずこう言うのですね、「これは妄想です」と。
は!?
「妄想」って言うんです。これもあるあるです。