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負けちゃダメ。独身者を悩ませる「シングルハラスメント」への対処法

小日向るり子

セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント……。

現代はさまざまハラスメントが社会問題となっています。

今回は、独身者を傷つける「シングルハラスメント」について、その言動からハラスメントをする人の心理、さらには受けた際の対処法までをご紹介していきたいと思います。

シングルハラスメントって何?

シングルハラスメントとは「独身の人の価値観や生き方を傷つけるような言動」をさします。これは男性から女性に対してだけでなく、女性から男性、あるいは同性間でも該当する概念です。

シングルハラスメントにあたる言動

では、実際にシングルハラスメントにあたる言動にはどのようなものがあるでしょうか。ありがちな言動を以下にあげてみたいと思います。

(1)「結婚っていいものだよ」「結婚したほうがいいよ」

「結婚することはいいことだ」という価値観を相手にも共有させようとします。

(2)「だから結婚できないんだよ」

仕事の不備やミスを注意する際などに、結婚というプライベートなことを引き合いに出してきます。職場以外でも「あなたは片付けもできないから結婚できないのよ!」など家庭内でも起こりえます。

(3)「子ども産むなら早いほうがいいよ」「出産にはタイムリミットがあるよね」

女性に対してだけ起こるハラスメント発言です。出産が婚姻関係の延長線にあるという社会的規範がある日本では、この発言もシングルハラスメントに該当します。

(4)「ひとりだと病気したときが怖いよね」「ひとりだと老後が不安だよね」

独身者の不安を煽る発言です。発言者は人生の不安解消の最大ツールが「結婚すること」だと信じているのです。

(5)「なんで結婚しないの?」

この言葉自体がハラスメントに該当するかは会話の流れや相手の言い方にも関係してきますが、概して発言する側が「結婚=いいもの」「既婚者=勝ち組」といった価値観のもとで発言していると、受け取る側が不快を感じてハラスメントとなります。

(6)「次はあなたの番だね」

友人の結婚式や結婚による退職者の送別会などでかけられることが多い言葉です。

(7)「独身は気楽でいいよね」「今の生活って余裕あるでしょ」

社会的、経済的責任は結婚をしなくても負うものですが、そうした責任のすべては既婚者だけが負っていると勘違いしている人によくみられる発言です。

(8)結婚してこそ一人前だよ

実年齢も経済的な自立、精神的な成熟度も関係なく、結婚しなければ一人前の大人とはいえないという価値観です。

シングルハラスメントをする人の心理とは?

シングルハラスメントをする人の根底にあるのは「結婚=幸せ」という価値観です。これは自分自身が結婚して幸せであるか否かに関わらず盲目的にそう思いこんでいる場合と、実際に自分が結婚して幸せを感じているためそれを味わってほしいという善意からくる場合があります。前者は年代が上の世代に多く、後者は同世代の同性の友人に多い考え方です。

また、シングルハラスメントをする側は圧倒的に既婚者が多いのですが、その理由は人間の一般心理として「過去を否定したくない」という心理があるからです。過去という変えられないものに絶望すると、未来に希望を持って生きることが困難になります。人は本能的にこの真理を知っているため、結婚生活が実際にどんなものであっても「結婚した自分」を否定したくはないのです。老人が「昔はよかった」と言うのもこの心理です。

シングルハラスメントされたときの対処法とは?

 

シングルハラスメントを受けた際は、自分の性格、相手の性格、自分との関係性や言われる頻度によってさまざまな対処法がありますが、大きくわけると「言い返す」か「無視する(心の中で処理する)」になります。今回はそれぞれについてご説明します。

言い返す

もっとも角が立たない言い返し方は、相手の言うことを肯定する返しです。

たとえば

・独身は気楽でいいよね→はい、とっても気楽ですよ!
・結婚してこそ一人前だよ→それなら私って永遠の半人前かも。面倒みてくださいね

など。認められたら相手はそれ以上言えなくなります。

もちろん「その発言はハラスメントですよ」「もう言わないでください」などハッキリ言える関係性であれば言うに越したことはないですが、上司や仕事の取引先など難しい場合も多いですよね。相手の価値観と真っ向から対立するより笑って認めてしまうと意外とスッキリしますよ。

心の中で処理する

前述しましたが、人は過去を否定したくない生き物です。結婚生活がどんな不幸であろうと、既婚者は結婚を勧めてくるのが一般心理。ここだけ抑えておけば、言われた側が幸せの押し売りをされているという概念は消えます。

そしてもうひとつ。言っているほうに悪気はなく、むしろ善意の場合もあるということを理解してあげましょう。「あのお店のケーキすごくおいしいよ」と「結婚っていいものだよ」は同じ感覚だということです。

人は変えられない。自分の受け止め方を変え、自分の価値観をしっかり持つことが大切!

シングルハラスメントは価値観の押し付けです。ただ、相手は善意の場合もあるため、正面から抵抗したり相手の価値観を変えようとがんばると自身の疲弊につながるだけです。まずは自分の中の「結婚」の価値観をしっかりと固めましょう。そうすると、相手の価値観もただの事象であり、否定も肯定もするものではないと受け止めることができるようになります。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

 

※この記事は2022年08月29日に公開されたものです

小日向るり子 (心理カウンセラー)

心理カウンセラー
フィールマインド 代表カウンセラー
正社員をしながらボランティアの電話相談員をしていました。「どんな電話も切らない」理念の中で恋愛、自死、癖、愚痴、いろいろな話を聴かせて頂きました。資格取得後はハラスメント相談員を経て現職。相談件数は2200件を超えます。悩みに大小はありません。

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