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【File46】手抜きを手抜きと思っていなかった話

#イタい恋ログ

菊乃

今振り返れば「イタいな、自分!」と思うけれど、あの時は全力だった恋愛。そんな“イタい恋の思い出”は誰にでもあるものですよね。今では恋の達人である恋愛コラムニストに過去のイタい恋を振り返ってもらい、そこから得た教訓を紹介してもらう連載です。今回は菊乃さんのイタい恋。

恋愛婚活コンサルタントなんて仕事をしております菊乃と申します。私の今の仕事を知っている昔からの知人、友人は「アンタが恋愛コンサル? は?」という反応をします。そんな私のイタい話をどうぞ。

「出会いが無い」「いい男がいない」「草食系男子ばっかり」と思っていた20代半ば

今なら20代という年齢が女性にとってボーナスステージだということは分かりますが、私は20代の頃「女」にカテゴライズされることもありませんでした

毎年クリスマスに彼氏がいない友達と女子会をして「来年は彼氏と過ごそうね」と誓っていたのです。

時代の先をいってジェンダーレスを取り入れていたわけでもなく、単に美意識が低すぎの手抜き女子だったのです。起床時間は家を出る30分前。この30分の中でしっかり朝食も食べ、夏ならシャワーまで浴びておりました。

自称普通女子のガサツルーティン

バチャッと化粧水をつけ、BBクリームをざっと塗り、眉尻を描き足し……スキンケアを含めて3分未満で済ませたメイクを「ナチュラルメイク」と思っていました。どちらかというとBBクリームさえ塗らない完全ノーメイクの日の方が多かったです。

家にドライヤーはなく、髪の毛は自然乾燥。髪の毛は当然、ごわつきうねるのですが、「くせ毛だから仕方がない。直毛の人はいいな」と思っていました。

その頃は職場の近くに家を借り、自転車通勤。自転車のかごに入れやすい布製トートバックが通勤用バッグです。中身は仕事の資料、寒い時に羽織るカーディガン、読みかけの本、財布……全て入れっぱなしでした。家に帰ってからは缶ビールを飲みながら焼きそばを作って、それを「自炊している」と思っている日々。

それでも自分の事は「普通」と思っていました。真面目に学校を卒業して、就職して真面目に働いているし、たまに女性向け雑誌も読むので何が流行っているとか知識はある。手抜きだった割に、化粧水などは今より高いモノも平気で買っており「高いものを使っているからちゃんとしている」とさえ思っていました。

それで自分の私生活に変化が見られないのは環境のせいだと信じていたのです。

独身消防士が来るバーベキューに誘われる

環境のせいにしつつも、このままじゃいけないとはどこかで思っていました。「出会いが無い」と言い合っている仲間の一人から「バーベキューやるけど来ない? 消防士の知り合いが独身の同僚連れて来るよ」と言われたのです。

私はもちろん、喜んで行くことにしました。

そのバーベキューはわりと盛り上がり、消防士さんたちと連絡先交換をしました。彼らも「男だけで出会いが無い」と言っておりました。

その中で1~2歳年下の消防士からまた会おうと誘われたのです

消防士さんとは毎日メッセージを送り合っていました。お相手がシフト休みということもあり、日程がなかなか合わなかったのですが、やっとデートの日程が決まり、有楽町でランチをして映画を見ることに。

この頃には「毎日メッセージが来るし、彼は私に夢中なのだろう」と大きく勘違いしておりました。「誘われたし、タイプじゃないけどとりあえず会ってみよう。でも、あまり期待を持たせちゃ悪いかな」と、告白もされていないのに調子に乗っていたのです。

今なら分かる。運が良かっただけなのです。あれがオシャレなお店での合コンだったら私は誰からも誘われなかったと思うのですが、バーベキューだったのでスニーカー、トートバック、手抜きメイクでも浮くことが無かったのです。

当時、自分を普通と思っていた私は、運にも出会いにも誘ってくれた知人にも感謝することもありませんでした。

有楽町デートに挑む装備がない

デートの日が迫ってきた頃、「そういえば有楽町のデートって何を着ていくの?」と気がつきました。

「デート コーディネイト」で検索して出てくる服装はどれも私が普段着ないものばかり。結局、スカートは持っていなかったため、ショートパンツで行くことに。サンダルはかろうじて持っていましたが、それ以上にバッグが無い。

気がついたときはデートの前々日ぐらいで時間もあまり無く、慌てて仕事帰りに近くのショッピングセンターでお出かけ用の小ぶりのバッグを購入しました。

デート当日、朝起きて準備をしますが、着替えてから脚のムダ毛が目に入ります。慌てて風呂場で剃りました。普段はやらないアイメイクもやった方がいい気がしてやってみても、時間をかけてもきれいになっている感じはない。

そんなことをしている間に時間はどんどん無くなります。新品のバッグを持って家を出ました。いつもの楽な靴なら5分で到着する駅も、履き慣れないサンダルでは足が痛くて早く歩けません。電車も間に合わず、集合時間に遅れそう。

消防士さんに連絡しようと、電車に乗ってバッグから携帯電話を出しました。

デートに向かう電車の中で頭真っ白に

バッグを空けて、そこに財布が入っていないことに気がつきました。何でも入れっぱなしの、いつものトートバッグに財布は入れっぱなしです。新品のバッグには鍵とSuicaと携帯電話しか入っていません。

私が20代だった2000年代は、Suicaで決済できる飲食店や映画館は都内にもほとんどありませんでした。

しかし、待ち合わせに5分ぐらい遅れそうな時間でしたので、家に引き返したら大幅に遅刻します。もう頭が真っ白でした。

遅れていったのに財布を忘れた私を消防士さんはどう思ったのでしょう……。映画もランチもご馳走してくれました。

解散後に、ご馳走になったお礼のメッセージを送ったのですが、消防士さんからメッセージは送られてきませんでした。あんなに毎日メッセージをくれたのに、向こうの方から関係を断たれたのです。

イタい恋から得た教訓「彼氏が欲しいなら1人の男性と3回会える服装は準備しておこう」

この一件で、自分の事は「普通」と思っている割に、実際は「普通」のことが何もできていないのだとようやく気がつきました。そこから、メイクや服装をちょっとずつ見直していき、朝も早く起きてお化粧するようになりました。

「いざとなったらちゃんとすれば大丈夫」ということはなく、「ちゃんとする」の基準が低い女がいざ男性と会う日だけちゃんとできるかといったら無理なのです。

そんな風に変わる努力を続けてみたら、次第に男性からの扱い方が変わっていき、同僚男性が荷物を運んでくれるようになったりしました。さらには、男性から告白されたりすることも……。

結局、出会いが無いのは環境のせいではなく自分のせいでした。

あなたのクローゼットには1人の男性と2~3回デートできるぐらいの装備がそろっていますか? 彼氏が欲しいなら、「彼氏ができたらおしゃれしよう」じゃなく、いつデートの予定が入ってもいい状態にしておきましょうね。

(文・菊乃、イラスト・菜々子)

※この記事は2022年04月17日に公開されたものです

菊乃

恋愛婚活コンサルタント。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」(すばる舎)、「7日間でとびきり愛される方法」(かんき出版)他。

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