元気いっぱいだったはずの私がウツで2年寝込んだ日
恋愛、結婚、出産、キャリア……30歳を目の前にした女性に降りかかる悩み。「30歳」ってどうして節目に感じるんだろう? 「普通の人生」を送るには、「普通の大人」になるには30歳で何か変わらなくちゃだめなの? そもそも令和の今、「普通の人生」「普通の大人」って何? 30歳を目前にした悩める女性を応援する特集です。今回はトイアンナさんに「30歳からのキャリア」について語ってもらいました。
こんにちは、トイアンナです。
女性の厄年って、ほとんどが30代で来るって知っていましたか?
厄年というとスピリチュアルに思えますが、もともとは体調を崩しやすい時期を指しています。つまり、30歳になってから女性のキャリアは、大きく体調の影響を受けるわけです。
これは私が、30歳になってすぐに倒れ、2年寝込んだお話です。
30歳になってすぐ倒れ2年寝込んだ
私はもともと、バリバリ働くタイプです。1日15時間労働しているのが一番幸せ。この原稿を書いている間も、「仕事って……楽しい!」と快感にむせび泣いています。怖いわ。
楽しい30歳、働き続けられると信じていた
で、ワーカホリックだったからこそ、自分は働き続けられると信じていました。ウツになるのはパワハラなり、セクハラなりで仕事が楽しめない状況に追い込まれている人だけだと。楽しく働いている人間は、倒れることなんて無いと思っていたのです。
ところが、ワーカホリックは前のめりに倒れました。
ある日目覚めたら、体が動きません。ピクリとも動かないので、助けを呼ぶ電話すらかないませんでした。
「まさか」で体調を崩すのが30歳
しばらくもがいて、お手洗いにだけ行けました。人間としての尊厳はギリギリ守られたものの、それから薬を飲みはじめて2年。何とか復帰できたものの、未だに8時間以上の労働をすると、反動で3日寝込みます。
「まさか、自分が倒れるなんて」の“まさか”がやってくるのが、30歳になるってことですか。厄払いのお守りを買いながら、神社で反省しました。
転職は30歳までにしておくべき? 迷った時の考え方
だから、勢いが必要な変化は、「30歳より前にやっておいた方がいいかもね」とは思います。
たとえば20代で転職に失敗しようが、ウツになろうが30代で挽回できる可能性が高いです。ですが、30歳になってから転職し、失敗してウツで2年寝込んだら32歳です。30代から管理職コースに乗る人が多い中、30歳以降の2年はインパクトが大きくなります。
30歳で自分を置いて出世する同期を許せるか
転職先がうまくいかなくて出戻りした場合、外資系企業なら出戻りでも順当に出世できますが、JTC(伝統的な日系企業)だとそうはいきません。
同期が自分より先に出世していくのを見ながら「こんなはずじゃなかった」と嫉妬にかられるくらいなら、20代で失敗しておけばよかった、と考える方は多いはず。
ただ、30代になってから転職しても「退路を準備」できていた人は困っていません。たとえば「何かあったら戻っておいで」と言われた状態で円満退職できていたり、転職先で潰れても別の転職先にコネを持っていたり。
このあたりの「リスクを回避する賢さ」が伴うのも30代と言えます。30代からの転職だからって、諦めないでくださいね。
30歳を超えても「悩むなら、やったほうがいい」
やみくもに「チャレンジするなら20代の方が楽」ではあります。
でも、いつだって今が人生で一番若いタイミングです。
もしこれを読んでいるあなたが38歳なら、38歳が最速なのは変わりません。悩んだら、早めにやっておくこと。やらない後悔の方が、もっと大きくなりますから。
30代になったら管理職にならないといけないのか
そして30歳は「自分が出世したいか、したくないか」がハッキリする年齢でもあります。
正直、これまで働いてきたけど手を動かすのが好きなだけで、出世には興味ないわ……。と、いう人も出てきますし、「出世したいけれど、自分は向いていなかった」と諦めがつく時期でもあります。
管理職になるのは別の種族になるようなもの
正社員だと「よいアシスタント」が数年修行して、管理職になる……。というのが典型的なキャリアパスですが、アシスタント職と管理職は、転職と同じくらいの別種族。人間がエルフになるくらい、出世って変化があるものです。
それを「30代になったから」で済ませていいかというと、ぜんっぜん、違います。エルフに向いていればなればいいと思いますが、「人類のままでいたい」「人類の方が向いている」っていうグループもいていいじゃないですか。
現場のスペシャリストも楽しい
また、現場のスペシャリストでいるのも楽しいものです。手慣れれば現場でも労働時間は減ってきますし、給与アップも交渉できます。「無くてはならない現場の人」になってしまうのも、キャリアとして十分アリです。
特に、ワークライフバランスを重視する人が増えた昨今「出世したい人はすればいいけれど……自分は違うかな」と決断したって、いいわけです。
出世 or ゆるふわキャリアとイチかゼロかに縛られず、どちらも手に入れられる新しいキャリアを模索しながらスペシャリストを目指してみましょう。
30歳でフリーランスを目指すのは遅すぎるのか問題
そして、30歳といえば「そもそも、会社に所属するだけが人生なんだっけ?」と思えてくる時期でもあります。
自分のキャリアがどう推移するかが大体見えてくるわけで、このまま会社が見せてくれるレールの上を歩くのか、それとも自分の道を歩むのか……決断するなら30歳くらいがちょうどいい時期です。
まずは月5万円の収入を目指す
フリーランスを「目指す」のはとても良いことなので、まずは空き時間で月5万円の収入を目指してみましょう。年60万円稼げれば、まとまった副収入となります。その上で「これ以上、自分の力で働きたいか・あくまで副収入に抑えたいか」を決断するといいでしょう。
絶対にやってはいけないのが「いきなり準備もせず、会社を辞める」ことです。会社を辞めていいのは、収入を獲得するツテができてから。私のように2年ウツでぶっ倒れても何とかなるような、保険にも入っておきましょう。
30歳という帰路を、どう生き延びる?
さまざまな限界と、チャンスが相まみえる30歳。けれど冒頭に述べたように、体を壊しやすい時期がこれから控えています。あなたが健やかに、楽しく働いていけるよう「決断は早めに、そして退路を作ってから」キャリアを描いていってください。
(文・トイアンナ、イラスト・フルカワチヒロ)
※この記事は2022年03月19日に公開されたものです