お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

思いと想いの違いとは? 意味や使い分けを解説

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「思い」と「想い」の微妙な意味の違いを知っていますか? 大きな意味の違いはなくても、使い分けることで細かな気持ちを伝えられます。今回はライティングコーチの前田めぐるさんに、「思い」「想い」の意味の違いや使い分け、類語を例文と共に解説してもらいます。

私たちは、1日に何度「おもい」という言葉を使っているでしょうか? かなり高い頻度で使う言葉でしょうが、漢字では一般的には「思い」で済ませることがほとんどでしょう。

「思い」「想い」の他にも、「念い」「憶い」「懐い」があり、全て「おもい」と読みます。

自分の中にあるのは、どの「おもい」でしょうか? 今、まさに問いに答えようとしている瞬間にも、「おもい」が浮かんでいるはずです。

「思い」と「想い」の意味

「思い」と「想い」、それぞれの意味に違いはあるのでしょうか? 意味と使い方を見ていきましょう。

「思い」と「想い」に大きな意味の違いはない

広辞苑で「おもい」の意味を調べると、「思い・念い・想い」が1つにまとめて書かれており、区別されていません。

つまり、「思い」と「想い」の意味に大きな違いはないと考えられます。また、一般的に「思い」の方が広範囲に使われていることも確かです。

「思い」と「想い」の使い分けで細かな気持ちのニュアンスが伝わる

「思い」と「想い」に大きな意味の違いはなくても、使い分けることでより細やかなニュアンスを伝えられるなら、それに越したことはありませんよね。

そこで、漢和辞典で「思」と「想」の意味を調べてみましょう。

【思】シ・おもう・おもい
(1)あたまをはたらかせて、あれこれと考える。おもう。[例]思考。思慮。深思熟慮。
(2)そのことばかり考える。いとしくおもう。[例]思慕。相思。
(3)ものがなしいおもい。かなしみ。[例]秋思。旅思。

【想】ソ・ショウ・ソウ・おも-う・おも-い
(1)思いめぐらす。心の中にえがく。おもう。おもい。[例]想起。想像。予想。
(2)まとまった考え。アイデア。[例]感想
(『例解新漢和辞典』三省堂)

同じような意味の漢字を使い分けたい時には、その漢字がどんな熟語に使われているかを見ると参考になります。

上記を踏まえると、「思い」と「想い」にはそれぞれ以下のような意味があると考えられます。

「思い」=「頭を働かせる」「慕う」「悲しい」

頭を使って何かを考えている時、「思い」を使います。「思考」「思慮」などの言葉に至る思考の働きです。

また「思慕」「相思」の言葉から分かるように、家族や恋人など大事な人のことを考える時にも「思い」を使います。恋心、愛情、思慕、気遣いなど、相手によりその思いはさまざまです。

そして「秋思」「旅思」の言葉を構成するように、秋などもの悲しい季節、旅先でのホームシックなど、何となく寂しいおもいを抱く時にも「思い」を使います。

「想い」=「空想する」「心に浮かべる」「アイディアを巡らせる」

「想起」「想像」「予想」などの言葉から分かるように、何かについてイメージを描く時に、「想い」を使えます。

例えば、その対象が人である場合、特別な親しみをもって「相手をおもう」というニュアンスで使うこともできます。

また、クリエイティブなことで想像力を使ってアイディアを広げる時にも「想い」を使えます。

次ページ:「思い」と「想い」はどう使い分ける?

SHARE