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「してください」は正しい敬語? 上司、目上の人への使い方

松岡友子(コミュニケーションマナーアドバイザー)

「してください」の間違った使い方

ここ数年「してください」の間違った使い方をよく耳にするようになりました。例えば、以下のような例です。

・契約書の内容をご確認してください。

・住所をご記入してください。

これを正しい言い方に直すと、それぞれ以下のようになります。

・契約書の内容を確認してください。

・住所を記入してください。

または、

・契約書の内容をご確認ください。

・住所をご記入ください。

つまり「ご」と「してください」を併用するのはこの場合間違いであり、「○○してください」のようにシンプルにお願いするのが正しい用法なのです。

「ご(お)○○してください」は基本的に誤用

なぜ「ご(お)○○してください」が、この場合間違いになるのでしょうか。

「ご(お)○○して」の原型は「ご(お)○○する」です。例えば、「ご連絡する」「お聞きする」など。これらは謙譲語、つまり自分が行う動作の敬語です。

例文に挙げた「契約書の内容を確認する」「住所を記入する」のは、全て私ではなく「相手」です。私(もしくは私たち)以外は、謙譲語の主語にはなり得ません。ですから「確認してください」「ご記入ください」というシンプルな表現にする必要があります。

シンプルだと敬意が足りないのではないかと不安になって、敬語表現を盛ることで間違えてしまわないようにしてください。

例外的に「ご(お)○○してください」が使える場面も

ですが、実は例外的に「ご(お)○○してください」が使える場面があります。

これは、第三者が関係する場面です。

例えば、お客様Aさんが来社された時、Bさんにご案内をお願いする場面では、「Bさん、A様を応接室へご案内してください」という使い方は間違いではありません。

もっと丁寧に表現すると「ご○○していただけますか」という言い方も可能です。「ご案内して」はAさんに対する敬語表現、「ください」はBさんに対する敬語表現という、二方向への敬意を表しているので、大変複雑で難しいのです。

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