「運びとなりました」という表現は、ビジネスシーンで上司に報告する際などで主に使われる言葉です。
どのような場面で使用するのが適切なのか、正確には知らないという人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、使い方や注意点、類義語を解説します。正しい意味を理解し、ビジネスシーンで好印象をゲットしましょう。
■「運びとなりました」とは?
まずは「運びとなりました」の意味や「運びになりました」との違いについて説明します。
◇「進展や決定・結末」を報告する際の表現
「運びとなりました」は、^「決定しました」「決まりました」を丁寧にやわらかく表現した言葉^です。
「運ぶ」と聞くと「物を運ぶ」という意味に捉えがちですが、「その方向へ推し進める」「物事がうまく進む」という意味もあります。
「運び」に「~となりました」という言葉を付けることで、^「物事が進行し、ある段階に至った」ことを報告する際に使います。^
また、「運びとなりました」という言葉には「意外性」も含まれています。「当初、意図していた計画や結果とは少し違って」というニュアンスを持つ言葉でもあります。
◇「運びとなりました」と「運びになりました」の違い
「運びとなりました」と「運びになりました」は、同じ意味として使うことができます。
どちらも「進展や決定、結末」を報告する際に使って良い表現ですが、^一般的には「運びとなりました」の方がかしこまった印象を与えるため、ビジネスシーンなどオフィシャルな場面で使われることが多い^でしょう。
一方の^「運びになりました」は話し言葉で使われることが多い表現^です。
■「運びとなりました」を使うシーンは?(例文付き)
「運びとなりました」という言葉は、改まった印象、丁寧な印象を与える言葉でもあるため、大きな出来事や重要な決定事項の報告の際に用いられます。
どのようなシーンで使える言葉か見ていきましょう。
◇退職の報告をする時
「運びとなりました」が比較的よく使われるのが、退職の報告をする時です。
☆例文
*・○月○日をもちまして、退職する^運びとなりました。^
・私事ではございますが、○月末日付にて退職する^運びとなりました。^
・このたび、○月末日付で退職する^運びとなりました。^*
退職の報告をする際は、日付を一緒に報告するのが一般的な言い回しです。
ビジネスシーンでは、^「辞めることになりました」というよりも「退職する運びとなりました」と伝える方が心象も良いでしょう。^
退職の報告としてテンプレート的な言い回しなので、覚えておいて損はありません。
◇結婚の報告をする時
職場では、上司など社内の人に結婚の報告をすることもあります。
そんな時にも「運びとなりました」という言葉は使用可能です。
☆例文
*・このたび、○月○日に結婚する^運びとなりました^。
・私事ではございますが、このたびご縁があり、結婚する^運びとなりました。^*
^「私事ではございますが」という言葉を付けることで、より丁寧な言い回しになります。^
「運びとなりました」は、結婚式の招待状などでもよく使われるフレーズです。
◇転職・転勤を報告する時
退職の報告と同じように、転職や転勤が決まった時にも使えます。
私情の決定事項を伝える時は、上司や取引先など、誰に対して使っても問題ない言葉でしょう。
☆例文
*・このたび、○○支社へ転勤(異動)する^運びとなりました。^
・○日付で退職し、転職する^運びとなりました。^*
なお、普段あまりコミュニケーションを取らない上司や取引先に対して「運びとなりました」という言葉を使う際は、^「内容」に注意が必要^です。
私事の報告であれば問題ありませんが、プロジェクトなどの進行や調整を伝える際に使うと、「勝手に判断・決定した」という印象を与えてしまう可能性もあるからです。
◇会社の設立や移転を報告する時
オフィスの移転や会社を設立することを報告する際にも使えます。
ビジネスシーンでは、会社の周年パーティーなどの催し物、会議の日程変更を報告する際などにも使われます。
☆例文
*・このたび、○○市にオフィスを移転する^運びとなりました。^
・皆さまのご尽力により、このたび会社を設立する^運びとなりました。^*
◇サービスや業務が終了する時
「運びとなりました」は、個人的なことから会社のことまで、決定や進捗を報告する際に使える言葉ですが、ネガティブな報告をする際にも使われます。
^悪い知らせに対して使われる場合は、「希望とは異なる結末ではあるが」というニュアンスも含まれています。^
☆例文
*・誠に勝手ながら、○月末をもちましてサービスを終了する^運びとなりました。^
・新プロジェクト進行により、現在の業務は一時中断する^運びとなりました。^*
■「運びとなりました」を使う際の注意点
「運びとなりました」を使う場面を間違えると、大げさに伝わってしまったり、押し付けているように伝わってしまったりすることもあります。
そのため、^ちょっとしたことを伝える時には向いていない言葉^だともいえるでしょう。
ここからは、「運びとなりました」を使う際の注意点を確認していきます。
◇重要な決定事項の時にのみ使う
^「運びとなりました」は、重要な決定事項を伝える時に使いましょう。^
ビジネスの場では、プロジェクトの進行報告や会議の日程変更、退職や転勤など、大きな事柄でのみ使う方が無難です。
「決まりました」と言うと一方的な印象を与えますが、「運びになりました」という言い回しなら、やわらかい印象になりますよ。
◇「勝手に決定した」と誤解を与えないように使う
日頃からコミュニケーションを取れていない上司や目上の人に対しては、他の言葉で伝えた方が良い場合もあります。
「運びとなりました」と言い切ることで、^「勝手に決定した」と誤解を与える可能性があるから^です。
また「運びとなりました」には「予定通りの結果や進行状況ではなくなった」というニュアンスも含まれるため、内容によっては誤解を生んでしまう場合もあるでしょう。
■「運びとなりました」の類義語と使い分け
「運びとなりました」と似ている言葉を知っておくと、報告する際にも便利です。
また、それぞれの類語は微妙にニュアンスも違うため、報告内容や相手によって使い分けることができれば、ビジネスシーンで困ることもないでしょう。
◇「決定されました」
「決定されました」は「運びとなりました」と同じ意味を持つ言葉ですが、より断定的な印象を与える言い回しになります。
強い表現であるため、使うタイミングには注意が必要でしょう。
^「100%決定事項であり、変更は認められない」といったニュアンスも含まれる^ので、誤解を生みたくない場合はあえて使われる表現です。
◇「変更されました」
「運びとなりました」には、「多少予定とは違うが、物事は進んでいる」というニュアンスが含まれます。
「変更されました」は「変更が決定されたこと」がより強調されるため、内容によっては使い分けが必要です。
^「変更が確定したこと」を伝えたい時、変更点を強調して伝えたい時には、「変更されました」と言う方が分かりやすい場合もあります。^
◇「~となりました」
「~となりました」は日常的にもよく使われる言葉です。
^相手も予想していたであろう、そこまで意外ではないことを報告する際に使います。^
「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、来月に予定していた全国部長会議は、オンラインでの開催となりました」など、予定変更の際などに使われることが多いでしょう。
◇「~の次第です」
「~の次第」は「なりゆきや経緯を表す言葉」です。
「これがこうなったため、こういう結果になった」と目上の人に伝えたい時など、^状態が変化したことを伝える際に使えます。^
「~となりました」という言い回しよりもオフィシャルな場面に向いている表現です。
□「運びとなりました」の意味を理解してビジネスシーンで活用しよう
いかがでしたか?
「運びとなりました」は、物事が進行し、ある段階に至ったことを報告する際に使われる言葉です。
冠婚葬祭や退職、転勤など、個人的な報告の場合でも用いることができます。
重要な決定事項をやわらかく丁寧な印象で伝えられる言葉なので、ぜひ上手に使いこなしてみてください。
(まる)
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