集団心理とは? 意味と具体例を心理学で解説
集団心理のメリット・デメリット
集団心理は良いように働くこともあれば、悪い結果を生み出してしまうこともあります。
ここでは、集団心理のメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。
集団心理のメリット
集団心理のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか? 1つずつ見ていきましょう。
(1)善意の活動が当然になる
模範的な行動や困っている人への支援活動など、善意の活動が「みんながすること」になれば、それが当たり前になりやすいでしょう。
例えば、大きな災害が起きた時、大規模に募金やボランティア活動が呼び掛けられ、協力した人もいるのではないでしょうか。
(2)1人ではできないことにチャレンジできる
1人だと「恥ずかしい」「怖い」「不安」と思うようなことも、集団でなら実行しやすくなるでしょう。
例えば、ビジネスでチームを作って取り組むと「チームのために」と1人の時以上の力が出せるとか。一対一のお見合いは気後れするけれど、お見合いパーティ形式の婚活なら参加しやすいなど。
このように、集団心理が働くと1人ではできないことに挑戦できるようになり、さまざまなメリットを生み出す可能性があります。
(3)感動を分かち合える
同じ思いを持つ仲間が集まると、共感し合うことが多いでしょう。特に、喜びや感動を分かち合えると、幸せな気持ちになります。
例えば、スポーツチームが優勝した場面で、お互いを知らないファン同士が喜びを分かち合うなど。
集団心理のデメリット
逆に、集団心理にはデメリットもあります。1つずつ紹介していきます。
(1)いじめなどにつながることがある
集団になることで、冷静な判断がしにくくなったり、感情的な言動をしやすくなったり、無責任で大胆な行動を取ったりする可能性があります。
その結果、いじめなど悪い事例につながってしまうことも。いじめは、集団心理が悪い方向に働く代表的な事例の1つです。
(2)迷惑行為につながる可能性がある
集団で熱狂や混乱をした場合、理性の歯止めが利かなくなり、衝動的に危険な行動をして、ルール違反や迷惑行為になることがあります。
例えば、デモ行進の暴徒化や大規模イベントでの迷惑行為、災害発生時のパニックなどがそれに当たります。
(3)思考が極端になる
客観的に考えれば「おかしい」と疑うことでも、特定の集団の中にいるとそれが普通で、疑問に思わないことがあります。
例えば、悪質な商法に引き込まれるとか、極端な思想を信じるなど。
集団心理に飲み込まれて、思考が極端になってしまうこともあるでしょう。
集団心理はコントロールできる?
集団になると、1人の時とは異なる特殊な心理状態になります。まずは、紹介したような集団心理の特性を理解しておきましょう。
全ての人は他人に対して影響を与えています。人から影響を受ける側の立場で行動すればコントロールされる側になり、集団心理を増幅する役割を担うでしょう。
逆に、「自分は人に影響を与えている」という自覚を持ち、「どんな影響を与えたいか?」で自分の言動を選択することもできます。人に影響を与える存在として行動したならば、時には集団心理をコントロールすることも可能でしょう。
お互いを肯定し合う、モチベーションを高め合うなど、ポジティブな方向で影響を与え合うことを意図すると、集団心理のメリットが生かせるでしょう。
集団は1人の集まり
自分1人であれば冷静に判断し責任を持つことが、集団になると大胆になったり他人に流されやすくなったりします。集団心理が悪い方向に働くと、極端な行動や衝動的な行動をしてしまうこともあります。
しかし、集団も元は1人の集まり。1人ひとりが「自分が持っている影響力をどう使うか?」を考えて行動することで、集団のあり方を決めていくこともできるのではないでしょうか。
(大塚統子)
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※この記事は2021年06月23日に公開されたものです