「インバウンド」の正しい意味や使い方とは? わかりやすく解説
業界別「インバウンド」の正しい使い方
「インバウンド」には広い意味があることから、あらゆる業界で多種多様な使われ方をしています。
ここからは、「インバウンド」が業界によってどんな使い方をするのか、例文を交えて解説していきます。
観光業界における「インバウンド」の使い方
観光業界では、現代の日本で最も馴染み深い「外国からの観光客が日本へやってくること」という意味で「インバウンド」を使います。
外国からの観光客が増えることを「インバウンドが伸びる」と表現するなど、独特の言い回しをするケースも。
例文
・外国を訪れる中国人が増加した2015年、日本へのインバウンドも大きく伸びた。
・インバウンドのお客様に満足いただけるよう、精一杯おもてなしします。
・国外へ移動する精神的ハードルが上がることで、日本のインバウンド市場は徐々に縮小するだろう。
営業における「インバウンド」の使い方
営業分野における「インバウンド」は、「見込み客(外側の人間)が商品に興味を持って購入する(内側に入る)」といったニュアンスで使われるのが一般的です。
自分から飛び込み訪問で商品を売りつける、昔ながらの営業手法は「アウトバウンドセールス」と呼ばれ、現代では効果が減少していると言われています。
これに対し、有益な情報発信などで見込み客から信用を得て、相手側から自主的に商品を買ってもらえるよう誘導する手法を「インバウンドセールス」と呼びます。
例文
・インバウンドセールスのメリットは、顧客に不快感を与えず、商談成功の可能性が高まることだ。
・我が社もそろそろ、インバウンドセールスを導入する時が来たのかもしれない。
マーケティング業界における「インバウンド」の使い方
マーケティング業界には、「インバウンドマーケティング」という用語があります。
「インバウンドマーケティング」とは、ブログ記事や動画のようなコンテンツをWeb上に公開し、それに興味を持った見込み客にSNS等で拡散してもらうという戦略です。
営業と同様、「顧客(外側の人間)の方から商品に興味を持って、自発的に行動してもらうよう促す(内側に入る)」といったニュアンスで、「インバウンド」が使用されています。
例文
・当社でもインバウンドマーケティングを採用した結果、公式Webサイトのアクセス数が昨年の2倍に増えました。
・広告費等のコストが削減できるのは、インバウンドマーケティング最大のメリットと言えるでしょう。
IT業界における「インバウンド」の使い方
IT業界では、「インバウンド」の使い方として代表的なものが2種類あります。
通信関係の業務においては、「外部からデータを受信すること」を指して「インバウンド」と呼ぶのが一般的。
また、Webサイト運営においては、第三者がサイト内の問い合わせフォームに意見を書き込む・アンケート回答するなど、「外部の人間が何かしらのアクションを起こすこと」をまとめて「インバウンド」と呼びます。
例文
・自分のWebサイトのリンクが外部サイトに貼られた場合、そのリンクのことを「インバウンドリンク」と呼ぶ。
・特定のインバウンド通信を許可したいので、設定方法を教えてください。
医療業界における「インバウンド」の使い方
医療業界では、観光業界と同じく「外国から日本に人が来ること」を指して「インバウンド」という言葉を使います。
しかし、外国から日本へ来る目的が「観光」ではなく「医療サービスを受けること」というのが、観光業界が使うニュアンスとの大きな違いです。
外国人が医療サービスを受けるために日本を訪れることを、「医療インバウンド(医療ツーリズム)」と呼びます。
例文
・認知度の向上や受け入れ人数の増加など、日本の医療インバウンドには課題が山積みだ。
・当社では、新たに医療インバウンド事業をスタートしました。
コールセンターにおける「インバウンド」の使い方
コールセンターでは、顧客(外側)からかかってくる電話を受けることを「インバウンド」、コールセンター(内側)から顧客へかける電話を「アウトバウンド」と呼びます。
例文
・コールセンターのインバウンド業務では、お客様の話をしっかりと聞く傾聴力が求められます。
・インバウンドはアウトバウンドと比べて、顧客が明確な目的を持っているため、「顧客と企業の距離が近い」という特徴がある。