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ラポールとは? 意味や使い方&形成する方法

浅野寿和(心理カウンセラー)

ラポールを形成する方法

では、ラポールを形成するにはどうしたら良いのでしょうか。ラポールを形成するための心理テクニックを5つご紹介します。

(1)キャリブレーション

「キャリブレーション」とは、しぐさや表情・雰囲気・姿勢など、言葉以外の情報から相手の心理状態を探るテクニックです。

相手の細かい情報をヒントにしてコミュニケーションを取ることで、相手が「こちらの心情を察してもらえた」「受け入れてもらえた」と感じ、ラポールの形成に近づきます。

キャリブレーションのやり方

まずは、「相手は今こう考えているのでは」という先入観を捨てましょう。その上で、相手の顔色や表情・しぐさなどを注意深く観察します。

例えば、相手が「大丈夫です」と言っていても、声のトーンや様子、表情などから本当は体調が悪いのでは? と気づけることがありますね。

また、こちらの発言に対して、相手が「承知しました」と答えていても、どこか納得していない様子が伝わってくることもあるでしょう。

ただし、キャリブレーションは誰にでもフィットする方法ではありません。特に初対面の人にはあまり効果を発揮しない傾向にあります。

しかし、一度でも面識がある人ならば、前回の印象と比較して声を掛けてみるのも良いでしょう。

(2)ペーシング

「ペーシング」とは、相手の話すスピードやトーンなど、相手と「ペース」を合わせるコミュニケーションスキルの一つ。

人は好意を感じる相手といると、無意識的にその行動を似せようとする心理が働くと考えられています。

ペーシングを行うことにより、相手は無意識に「自分と似ている」という感覚を覚え、より安心感を抱きやすくなります。こうしたことも、ラポール形成に役立つでしょう。

ペーシングのやり方

ペーシングをする時は、まず視線や視線の高さを合わせることから実践してみましょう。続いて、声のトーンや会話のテンポ、話す時のテンションをなるべく相手に合わせてみてください。

難しく考えずに、相手を真似することから始めてみましょう。

(3)ミラーリング

ミラーリングは、相手のしぐさや表情など、視覚情報を真似するペーシングスキルの一つです。

(2)で解説したペーシングと併せて活用すると、より相手に安心感や信頼感を与えられ、ラポールの形成に近づくことができるでしょう。

ミラーリングのやり方

例えば、相手が首を傾けていたら、さりげなく自分も合わせて傾けます。また、相手が特に目立った行動をしていない時も続けていきます。例えば、呼吸のタイミングや姿勢、手の位置、細かくなると、まばたきのペースなども合わせていきます。

ただし、不自然に相手の行動を真似ると相手に気づかれてしまい逆効果になることもありますので、その点は注意しましょう。

(4)マッチング

マッチングは、相手の声の大きさや、話し方などの聴覚情報を合わせるテクニックです。

こちらもペーシングスキルの一つで、ミラーリング等と併せて活用するとより効果的。相手の警戒心を解くことにつながるでしょう。

マッチングのやり方

例えば、相手の話すテンポに合わせてこちらも話すようにする、相手と声のトーンを合わせる、声の大きさも合わせるなどです。

相手に同調することがポイントです。

(5)バックトラッキング

これは「オウム返し」と言われている方法です。相手が会話の中で使った言葉をそのまま返すというテクニックです。

相手が使った言葉をさりげなく繰り返すと、相手は「この人は自分の話を聞いてくれている」と感じられます。

こうすることで信頼感が増し、ラポールを形成するきっかけになります。

バックトラッキングのやり方

バックトラッキングのポイントは、相手が使った言葉をそのまま返すこと。ですが、一言一句、同じ言葉を返す必要はありません。

例えば、相手が「やっぱり職場では信頼関係がないと困りますよね」と話したとしたら、「そうですよね。信頼関係がないと困りますよね」と返すイメージです。

ただし、少しでもニュアンス(相手の意図)の違う言葉を返してしまうと、逆効果となります。

相手に興味を持って話を聞き、言葉だけでなく、背景にある出来事、意図、感情などまで汲み取っておくことがポイントです。

次ページ:ラポールを形成する時の注意点

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