周囲に「手のひら返し」をする人がいて、困っていませんか?
例えば、親身に接していたのに急に冷たくにあしらわれるようになったり、それまで低評価だったのに急に高評価に転じたり、昨日と今日では言っていることがまるで逆だったりする人のそばにいると、混乱してしまいますよね。
今回は、そんな手のひら返しをする人の特徴や心理、手のひら返しする人への対策を紹介していきます。
■「手のひら返し」とは? 意味や語源を解説
まずは「手のひら返し」の意味や語源を確認しましょう。
◇意味は「言葉や態度が急変する」
辞書で「手のひらを返す」と調べると、以下のように記載されています。
手(て)の平(ひら)を返(かえ)・す
言葉や態度などが、それまでとがらりと変わる。手の裏を返す。「昨日と今日とでは―・して言うことが違う」
(『デジタル大辞泉』小学館)
辞書にもあるように、それまで取っていた態度をがらりと変え、正反対の対応を取ることに対して「手のひら返し」と使います。
多くの場合、その場の都合や気分で急に態度を変えるとか、一貫性がないといったネガティブな意味合いが込められる言葉です。
◇語源は「手のひらを裏返すこと」
「手のひらを返す」の語源は、手のひらを裏返して手の甲を見せるほど簡単に事態が変わることからきているとする説があります。
■「手のひら返し」の類語・言い換え表現
「手のひら返し」の類語や言い換え表現としては、以下があります。
*・「掌(たなごころ・しょう)を反す」
・「手の裏を返す」*
■手のひら返しをしやすい人の特徴
手のひら返しをする人には、日常的にコロコロと意見や態度が変わる人もいれば、ある時を境に別人のようになる人もいます。突然のことに、驚いてしまう場合もあるでしょう。
では、どんな特徴のある人が手のひら返しをする傾向にあるのかご紹介します。
◇(1)気分にムラが多い
気分にムラが多い人は、自分の機嫌によって言うことや態度が変わりやすい傾向にあります。
また、このタイプは感情的になりやすく、思い込みが激しくなりがちでもあります。ささいなことをきっかけに、手のひらを返す場合があるでしょう。
◇(2)打算的に考える
利害や損得を重視する打算的な人は、自己中心的になりがちです。自分にとって得と判断するものだけを大事にする傾向があるので、「これは損」「これは得」と判断した瞬間に手のひらを返すことも。
また、自分の味方とは親密に関わりますが、敵と見なすと攻撃的に接する場合もあります。立場や関係性の変わり目に、手のひら返しが起こりやすいでしょう。
◇(3)人の意見に流されやすい
「誰からも好かれたい」「誰にも嫌われたくない」と思っている人は、人の意見に流されやすく、八方美人になりがちです。
誰からも悪く思われないように振る舞おうとして、その場しのぎの受け答えをしやすい傾向があります。
よって、言動に一貫性がなくなり、結果的に手のひら返しになることがあります。
◇(4)我慢し過ぎる
普段は一貫性がある人が、ある時を境に真逆の態度を取るようになることがあります。
この場合は、それまでに少しずつ我慢をためていて、ついに我慢の限界を超えて爆発した結果、手のひらを返すことになってしまうのです。
■手のひら返しをしてしまう心理
「人の気持ちを想像できない人」と思われがちな、手のひら返しをする人。
では、どうして手のひらを返すようなことをしてしまうのでしょうか? その心理に迫ります。
◇(1)被害者意識が強い
プライドを傷つけられたとか、自分を否定されたとか、「自分は被害者だ」という受けとめ方をしやすい人は感情的になりやすい傾向があります。
「自分は嫌な目に遭わされた」と思っている状態では、周囲を思いやる心の余裕をなくしてしまいがちです。
その結果、自分の感情をコントロールできずに感情のまま振る舞ってしまい、それが手のひら返しにつながる場合もあるでしょう。
◇(2)人を信じられない
手のひら返しをする人は、何かの理由で人間不信があって、恐れが強い状態にある場合も。
自分を守るためには、打算的になったり、権力のある人に媚びたりしなければならないと思っている可能性があるでしょう。
◇(3)自分に正直
良く言えば「自分に正直」、悪く言えば「自分のことしか考えられない」から手のひら返しをしてしまうのです。周囲からは「信念がない」とも思われがちでしょう。
しかし、見方を変えれば、素直に「良いものは良い」と受け入れることができ、変化に柔軟な面もあるといえます。
◇(4)自分に自信がない
自分に自信がないために、発言や決断が右往左往する場合もあるでしょう。
このタイプはプレッシャーに弱く、一度決まったことを後から変えようとしたり、結論を先延ばししたりすることが多いです。その結果、悪意なく周囲を振り回してしまうことになります。
▶次のページでは、手のひら返しをする人への対処法を解説します。
■手のひら返しする人への対処法
手のひら返しに困ると、「手のひら返しをする人自身が変わってくれたらいいのに」と思うこともあるでしょう。しかし、他人を変えることはとても難しいもの。
では、上手に付き合っていくにはどのような対策を取ったらいいのでしょうか。3つご紹介します。
◇(1)相手の発言の記録を残す
後から「そんなことは言っていない」などと手のひらを返されることが多いなら、発言の記録を残しましょう。手のひら返しをする人が、「いつ」「どこで」「何を言ったか」を明示できるようにしておくと、反論がしやすくなります。
ただし、相手を徹底的に打ちのめすようなことをしてしまっては、状況が悪化することも……。相手の逃げ道を用意しつつ、前向きな交渉を心掛けるようにしましょう。
◇(2)相手を理解して行動を予測する
相手がどんな時に、なぜ手のひら返しをするのかを理解しようとしてみましょう。相手を理解できれば、「ここで手のひら返しされる場合がある」と予測がしやすくなるでしょう。
そして、予測があればダメージを減らす準備もしやすくなります。
自分自身の危機管理能力を鍛える機会と思って、相手を理解することに取り組んでみましょう。
◇(3)相手にとって魅力的な人でいる
あなたが、相手から「この人だけは味方につけておきたい」と思われる人になれば、手のひら返しで裏切られることはなくなるでしょう。そのためには、自分が魅力的な人でいることも重要です。
例えば、自分の意志をしっかり持っていて、客観的に反対意見を言うこともでき、自分に誤りがあれば素直に謝罪できる人には、周囲から人望が集まるでしょう。
また、人の良いところを評価して伝える人には、多くの人が「自分の良いところも見てほしい」と思うでしょう。
そんな魅力的な人なら、あえて敵に回したいとは思わないので、手のひら返しの予防にもなります。
■手のひら返しをする人に振り回されないために
私たちは「相手のせいで嫌な気持ちにさせられた」と思うと、相手に振り回されてしまいます。
また、「相手に変わってもらおう」とすると、思い通りにならないストレスをためることになりかねません。
振り回されない自分でいるためには、まずは自分が変えられることについて取り組んでいきましょう。
自分のあり方ならば、自分次第で整えていくことができるでしょう。
(大塚統子)
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