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楽屋で噂になり、“家電芸人”に。かじがや卓哉の「運命を変えた家電」

【特集】運命の出会い

太田 冴

何気ない出会いが、自分の運命を変えることだってある。さまざまな分野で活躍する著名人・ライターの皆さんが、今までの人生において自分の運命を変えた“モノ”を紹介。それにまつわるエピソードや想いを語っていただく特集です。

取材・文:太田冴
撮影:大嶋千尋
編集:高橋千里

『アメトーーク!』をきっかけに“家電芸人”としてブレイクしたかじがや卓哉さん(38歳)。

青いTシャツを着て、iPhone片手に理路整然とその使い方を説明する姿を見たことがある人は多いのではないだろうか。

著書『スゴいiPhone』シリーズが2018、2019年に日本で一番売れたiPhone関連本となったり、自身のYouTubeチャネル『かじがや電器店』がチャンネル登録者数26万人(※2020年11月時点)を突破したりするなど、iPhone好きから機械が苦手な人にまで、幅広い人気を誇っている。

そんなかじがやさんにとって、家電との出会いはまさに“運命”。中でもかじがやさんの人生を変えた家電は何なのだろうか? その偏愛の歴史を、じっくり聞いてみた。

初めてゲットした家電は「ゲームボーイ」

——かじがやさんは『アメトーーク!』やYouTubeなどで“家電芸人”として有名ですが、いつから家電がお好きなんですか?

小学校低学年くらいの頃から、親に連れられて家電量販店に行くのが好きだったんです。その頃ちょうど地元に「コジマ」がオープンしたのもあって、“先着○○名様に家電プレゼント”みたいなイベントによく連れて行ってもらっていました。

——初めてゲットした家電は何だったんですか?

ゲーム機です。当時は小型ゲームが出始めた頃だったので、ゲームボーイを買ってもらった気がします。

——ゲームボーイ、懐かしい! iPhoneもそうですし、持ち運べるタイプの家電がお好きなんですか?

そうですね。あとは、小さい家電って、頑張れば何とか手に入りそうな価格のものが多いので。高校生の時は、さすがに20万円の大型テレビは買えないけれど、1万円の小型ゲーム機なら買えるかな、とか。

——確かに。初めて携帯電話を持ったのはいつだったんですか?

最初は「TETE」っていうPHSを持たせてもらっていたんですけど、小学校高学年から中学生くらいの頃から手頃な携帯電話が出始めて。その後はシャープが出している携帯電話が日本で最先端の技術を入れているものが多かったので、毎年シャープの携帯電話を買い替えてました。

——その頃からメーカーに着目して携帯電話を選んでいるのがすごい……。シャープの携帯にはどんな機能が付いてたんですか?

例えば、携帯電話にカメラを搭載したのってシャープが世界で初めてなんですよ。あとは、昔の着信音って単音だったんですけど、和音も使えるようになったり。シャープはそういう新しい技術をいつも一番早く取り入れていたんですよ。

——いわゆる“写メール”ってシャープが始めたんだ……! 知らなかったです。

説明書は1ページ目から全部読んじゃいます

——iPhoneを初めて買ったのはいつだったんですか?

iPhone 3Gを、日本で初めて発売されたその日に買いました。確か、2008年の6月9日だったと思うんですけど……。当時、僕は25歳でしたね。

——発売された日に!? ていうか、日にちまで覚えてるのすごい!!

間違ってたらすみません(笑)。(※編集部注:合ってました。さすが!)

iPhoneは毎年新機種が出る度に発売初日に買ってます。というか、シャープの携帯電話を買っていた時からいつも新しい機能が出る度に買い替えていたので、自分の中では特別なことをしている気はなく……。

当時、既にiPodとかiPod nanoとかがはやっていたんですが、「概念を変えるような新技術がアメリカからやって来るらしいぞ」というのを聞いていたので、早く使ってみたくて初日にゲットしました。

——当時から、購入した家電を周囲の人に見せたり使い方を教えたりしていたんですか?

全くしなかったです。良さを共有できる人がいなかったんですよ。

「これすごいんだよ」って言っても、歴史も知らなければすごさも伝わらないことが多かったので、発売日に買っても、1人でいじって、説明書を1ページ目から読んで……という感じでした。

——説明書、1ページ目から読むんですか!?

はい。iPhoneは紙の説明書がないので、ネットを見ながらっていう感じですけど、説明書がある家電は全部最初から最後までマンガみたいに読んじゃいます。

——どうして全部読むんですか?

普通に使ってたら気付かない機能ってたくさんあるんです。「このオプションを押したらこれができる」というようなことが説明書に書いてあるので、全部読んで取り入れてました。

iPhoneも一緒で、Appleのホームページには書いてあるけど、世間一般的にはあまり知られていない使い方ってたくさんあるんですよ。

ルミネの楽屋で広まった「iPhoneに詳しいやつがいるらしい」

——なるほど〜。でも、1人でiPhoneをいじっていたのに、いつから“iPhone芸人”として知られるようになったんですか?

iPhone 4が発売された頃くらいから、芸人の先輩でiPhoneを使う人が増え始めたんですよ。そしたら、みんなiPhoneの使い方がよく分かってないから、間違って電話かけちゃうんです。

——間違って電話をかける?

ガラケーって、着信履歴をクリックしたら何時ごろ誰からの着信なのかっていう情報が出てくるようになっていたじゃないですか。

でも、iPhoneだと着信履歴をタップしたらそのまま電話がかかっちゃうので、みんな電話をかけるつもりないのにかけちゃって、焦ってホームボタンを押すわけです。

ホームボタンを押しても電話が切れないんで、かけ続けていることにも気付かない。そういう、今では当たり前のことを知らない時代だったんです。

——それで、かじがやさんが教えていたわけなんですね。

吉本の芸人って、ルミネの楽屋とかで一緒に過ごすことが多いので「なんかiPhoneに詳しいやつがいるらしいぞ」っていう情報が広まって、「俺にも使い方教えて」って声を掛けられることが増えていきました。

——『アメトーーク!』に出演されたのも、それがきっかけだったんですか?

iPhone 6を買うためにApple Store銀座に10日間並んだんですけど、それがたまたま誰かに知られたみたいで、半年後に『アメトーーク!』に出ることになりました。

単に好きで発売日に買いたくて並んでただけなんで、まさか『アメトーーク!』に出られるなんて思ってもみなかったです(笑)。

——すごい。まさに“運命を変えた”瞬間だったわけですね。

iPhoneには本当に運命を変えてもらったと思ってます。プライベートでも、iPhoneを通じてたくさんの先輩方とのつながりができましたし。

芸人の先輩方って、よく一緒にいるメンバーのグループみたいなものがあるので、縦横のつながりってあんまりなかったりするんですよ。でもiPhoneがあるおかげで、定期的に「機種変更するから教えてほしい」って連絡をいただくので、かなり幅広い先輩方と知り合えました。

——iPhoneつながりで、一番仲が良い先輩ってどなたなんですか?

今田耕司さんには本当に良くしていただいてますね。「新しいiPhone買おうか迷ってるんだけど、どう思う?」って聞かれたりします。

やっぱりiPhoneって特別だなぁと思うのが、毎年新しい機種が出るところなんですよ。普通だったら1回きりの会話で終わっちゃうのに、iPhoneのおかげで定期的に連絡を取ることになるので、関係性が続いていくんです。

——なるほど、コミュニケーションツールの1つになってるんですね。

「15年間の家電量販店勤務」がYouTubeに生きている

——かじがやさん、家電量販店でアルバイトをされていたこともあるんですよね。それはやっぱり家電が好きだったから、なんですか?

いや、単純に時給が高かったからですね(笑)。未経験で時給1,500円くらいもらえたので、良いバイトだったんです。18歳から35歳くらいまで、芸人の活動と並行しながら働いてたんですけど、結果的に家電の勉強になったので良かったですね。

——当時はどういった領域を担当されてたんですか?

ずっとインターネット回線を販売してました。働き始めた時はまだインターネットをつないだことない人がたくさんいる時代だったので、インターネットの解説をしながらパソコンと一緒に売ったりしてました。

——なるほど〜。かじがやさんのYouTubeを見ていても、初心者にもすごく分かりやすい解説が多いなぁと思っていたんですが、家電量販店での販売経験が生きているんですね。

まさにそうです。やっぱり毎日何十人、何百人と接客をしていると、お客様の知識レベルが大体どのくらいだなっていうのが感覚で分かるんです。

YouTubeの視聴者も同じで、必要に迫られて初めて見に来ただけで、いつも情報収集しているわけではない人がほとんど。そういう人にも分かりやすいように説明をしてますね。

運命の出会いを引き寄せるには“情報収集”が大事

——最近買って良かったと思う家電って何ですか?

エンバーの「Temperature Control Mug」っていう温調マグカップです。マグカップの中にバッテリーとコンピューターが付いていて、指定した温度で保ってくれるんです。

電源ケーブルがつながったコースターに置いておいたら無制限に保温してくれるし、コースターを外しても1時間半くらいは持ちます。自宅で作業することも多いので、かなり重宝してますね。

——ずっと保温してくれるなんて、すごい! 今は在宅勤務してる人が多いから、良さそうですね。女性におすすめの家電はありますか?

美容的な詳しいことはよく分からないんですが、パナソニックの「スチーマー ナノケア」は僕が使ってもすごく良かったです。

僕は朝に顔がむくむタイプなんですけど、朝早い仕事の前夜に使うとむくみが減る感じがしました。サウナに行った時みたいな感じの汗が出るので、すっきりしますよ。

——女優さんがみんな使ってるやつだ。私も使ってみようかな……! 最後に、かじがやさんにとってのiPhoneのように“運命を変える出会い”を引き寄せる秘訣って、ありますか?

やっぱり、情報収集じゃないでしょうか。iPhoneに出会ったのも積極的に情報収集していたからですし、自分の好きなものに関してはただ好きでいるだけじゃなくて、情報収集しておくと良いことがあるなぁ、と。

あとは、“ちゃんと知る”というのも大事だと思います。深く知ると、そのもの・ことの良さがよりいっそう分かるようになるから、他の人にも語れるようになりますよ。好きなものがあるなら、ちゃんと知って、深掘りすると良いと思います!

——好きだからこそできること、ですもんね。かじがやさんがiPhoneと出会えた理由が分かった気がしました! ありがとうございました!

※この記事は2021年02月22日に公開されたものです

太田 冴

ライター/平成元年生まれ。舞台、韓国ドラマ、俳優、アイドルグループ、コスメなどを幅広く愛する雑食オタク。ジェンダー・ダイバーシティマネジメント・メンタルヘルスなどの社会問題にも関心あり。30歳で大学院に入学し、学び直しをしました。

●note:https://note.com/sae8320

●Twitter:https://twitter.com/sae8320

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