
Keyword.02「片思い」
好評につき連載継続決定! 今注目の若手俳優・木津つばさのエッセイ連載。毎週1つ編集部から与えられるキーワード(お題)に沿って、自身のルーツや想いを綴ります。キーワードから紐解かれる“木津つばさ”とは?
はじめに
「一方的に恋い慕うこと」
大人になればなるほど、今までは一方からしか見えていなかったことがさまざまな角度から見えるようになるものだ。
結果ではなく、その過程にこそ意味があることに気付いたり、「今、少し大人になったな」と感じたりすることがある。
自分自身が経験した「恋」の数なんてたかが知れているくらいだが、幼い頃の自分は「恋」という感情に振り回されていたのだろうと思うし、「好き」という感情に180%で向き合っていたのだとも思う。
あの頃は傷つくことが怖くなかった。
しかし、人は大人になるにつれてずるくなる。
できれば傷つきたくない。
できれば同じ気持ちがいい。
できれば、できれば、できれば、と。
片想いの相手を振り向かせる術なんてものは、とうの昔にどこかへ置いてきてしまった。
そんな御託(ごたく)を並べても意味がない。
だからこそ、好きな時に「好き」を知る。
愛した時に「愛」を知る。
好きは隙だらけ。
用心深い恋もいいけど、せっかく片思いをするくらいなら、あの頃みたいに本気で180%の気持ちを出せたらいいのに、と。
おわりに
こんなことを偉そうに述べていますが、僕は今、全く恋とは無縁ですのであしからず。
(文:木津つばさ、撮影:Yuto Fukada)
※この記事は2020年11月22日に公開されたものです