賛否両論、衝撃のラストに生まれていた「真実の愛の形」
恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが、2020年10月からAmazon Prime Videoで配信がスタートした『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン1を毎週ガチ考察&展開予想! 初代バチェロレッテ・福田萌子さんが最後に選ぶ男性は一体誰? 女性が結婚相手を選ぶ際に重視するべきポイントと併せて解説します。
※このコラムには『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン1 全てのエピソードのネタバレが含まれます。
実業家・黄さん、芸術家・杉田さんの2人が残り、誰も想像し得ないラストへとストーリーが展開していった『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン1。前代未聞となった最終回に切り込みます。
ラストの地は屋久島。「神様に呼ばれないと行けない」と言われているこの島ですが、萌子さんは年4回訪れるそう。神様、めっちゃ気軽に呼ぶじゃん? 地元の友達かよ。
つまるところ、黄さんのやっていたことは取引先への接待
私が黄さんにずっと感じていた違和感の答えが出ました。そう、黄さんのやっていることって“接待”なんです。
萌子さんを落とさなくてはいけない立場上「好きだよ」とは言うものの、感情はそこにない。好きじゃないけど好きなフリをして、上っ面の聞こえが良い言葉だけを何となく並べているだけで、「どう好きなのか」といった実のある言葉は一切ぶつけていない。
目の前の上客、萌子さんにそれらしく丁重に失礼のないよう接待しているだけって感じなんですよね。黄さんも萌子さんに感情がないからなんでしょうけど。
ファイナルローズを渡す一番気持ちを伝えなきゃいけない場面でも「ここまで連れて来てくれてありがとう」だけでしたし、心からの情熱は感じられませんでした。
これは踏み込むことを恐れているからではないと思います。萌子さんも、彼が一度しか本心を出さなかったことを見抜いていました。
結果、上客萌子にご成約はいただけませんでした。彼がガチで恋していたら結末は違ったでしょうが、契約をもらう気もあまりなかったようなので、彼の筋書き通りに展開が進んだと思えば、やはりデキる男なんでしょうね。
想像で先走りすぎる萌子さんの悪い癖
萌子さんの良さの一つに物事を深く考える点がありますが、長所は時に短所にもなり得ます。今回はそれが「深く考えすぎて先に心配が立ってしまう」「そのため確実じゃないと飛び込めない」というデメリットとなってしまいました。
黄さんに元彼を重ね「付き合ったら束縛されるのでは? 元彼の二の舞になるのでは?」と突如束縛の才を見出し始め、杉ちゃんに対しては「杉ちゃんはまっすぐ気持ちを伝えてくれるけど、全力で愛してくれたはずの元彼のように突然いなくなるのではと不安」という考えばかりが先走り。
失うことを恐れていたら何もできませんし、そんな悲しい出来事も経験値として次は失わないように関係を築いていくぐらいのことを萌子さんならポジティブに言いそうなのに、恋愛に対してだけはとても完璧主義で臆病な一面が垣間見えました。
とりあえず言えることは一つ。元彼の呪縛にとらわれすぎ。
それだけ元彼とは運命的な恋をしたのだと思いますが、完全に吹っ切ってからバチェロレッテに参加してほしかった。
この時の黄さんとのパジャマデート、萌子さんは胸ボタンを開襟することで見せブラがチラ見えしており、シャツのボタンを極限まで開ける當間ローズイズムを継承してましたね(ここでそっと唇をなでる)。
野に放たれ野生にかえった2人
ファイナルローズを渡す場面はいつもと違う形式でした。森の中の開けた大地にたくさんのたいまつが煌々と燃やされ、その中に一本の道とステージが作られており、何か神聖な儀式でも始まりそうな荘厳な空間に凛と立つ萌子さん。
通常のバチェラーシリーズでは、そこに最後の候補者2人が並んで、一方にローズを渡すという流れです。
しかし今回は「お前ちょっと体育館裏来いよ」スタイルで1人ずつ呼び出され、どちらもお別れを告げられるというセレモニーとなりました。つまり誰にもローズを渡さず、結ばれないという、前代未聞のラストになったというわけです。
さよならを告げられた方は通常リムジンに乗って帰るのですが、ここは屋久島の大自然。別れの後は2人ともなぜかステージを降りて深い森の中へズンズンと向かい、野生にかえって行きました。
2人と出会いたい女性陣は屋久島の森を歩き回っていれば、野に放たれた野生の黄さん・杉田さんとエンカウントできるかもしれません。ハイスペポケモン、ゲットだぜ!
結論、バチェロレッテは萌子さん主催のドラクエ
皆さんはもうお気付きでしょうか。萌子さんの頻出ワード「経験値」。
「良いことも悪いことも経験値になる」「離婚したことも一つの経験値」「感情的に苦しかったとしても、もっと経験値が上がる」といったフレーズで男性参加者を叱咤激励していた萌子さん。
そう、参加していた男性たちはバチェロレッテではなく、萌子さん主催のドラクエの旅に参加していたのです。
ここでさまざまなミッションをクリアし、経験値を積んだ男性陣はレベルを上げて帰っていったことでしょう。
だから萌子さんが誰とも結ばれないとか、そんなことは全く問題ないのです。だってこの冒険はレベル上げが目的ですから。パパラパッパッパ〜♪(レベルが上がる音)
結末の賛否両論は「誰を主役として見るか」で違う
冗談はさておき、「誰も選ばない」というこの結末には賛否両論あるかと思います。これは誰を主役として見ていたか、で賛否が分かれるのでしょう。
「バチェロレッテの物語」として見ていた方は、物語の趣旨と違う形で完結したわけですから「誰も選ばないなんて、何を見せられていたんだ!」と怒りが噴出するのも納得です。
しかし「福田萌子の物語」として見ていた方は、「この人数から人生で唯一の運命の人を見つけるなんて難しいよね。自分に正直でまっすぐな強い人だ」と萌子さんの答えに納得できるわけです。
見ていたのはエンタメとしての“短期の物語”か、福田萌子個人の人生という“長期的な物語の一部”なのか。
スタジオトークの擁護派と批判派の意見それぞれを聞いていても、この主語が違うことがよく分かるかと思います。
これは見方の違いですから、両者の感情の溝の埋め方や落とし所はないと思います。それぞれ違う物語を見ていたわけですからね。シンデレラとかぐや姫の結末はどうやっても交差しません。
ただ、集まってくれた男性陣にこの結果を否定された時、萌子さんが「私の人生を決めるのは私!」と怒っていたのは少し違うかな、とも感じました。
萌子さんの人生としては間違っていないし、その結論でいいと思います。
でも、あくまで男性陣は『バチェロレッテ』という企画に集まったわけですから、「ここまで参加してくれてありがとう。そして企画から逸れてしまったことについてはごめんなさい」というワンクッションがあれば、あの主張ももう少し通るのになぁとちょっと残念でした。
第二の主役・杉ちゃん
そしてこの物語は杉田陽平という一人の男性の成長ストーリーでもありました。
最初は萌子さんに話しかけることすらできなかった消極的な彼が、最後はフラれてもなお自分の気持ちを伝えに行けるまでになったんですから。
心をさらけ出したアフターファイナルローズの告白は涙なしには見られません。台湾デートで「愛は花びら」と表現した彼。ラストではあふれ出る想いを伝えながら「受け取ってほしい」と萌子さんの手にそっと花びらを握らせるのです。
結果想いは通じませんでしたが、彼の存在自体が「真実の愛」を体現しているようでした。
杉ちゃんとはお風呂という何てことない日常的な場所でも楽しめていた萌子さん。お金をかけた娯楽はムードや遊びなど金銭分の対価が発生し、ブーストがかかるので、そこそこの相手でも楽しめるんですよ。
でもね、お風呂のような何もないところから生み出した楽しみが共有できるって、関係としては本物だと思うんですよね。それが恋人としてか友人かはさておき。
この人を好きになれたら……という葛藤
「この人を好きになれたら幸せになれるのは分かっているのに……」という人と、好きになろうと何度もデートを重ねたもののやっぱり無理だった。こういった経験、特に婚活をしている女性にとってはよくあることなんです。
「男性として見られないのにどうしてここまで残したのか?」という意見もあるかと思いますが、相手の魅力は十分理解している中でどうにか自分の感情を追いつかせることができたら……という前向きな気持ちがあってのことだと思います。
だから男性陣はこの点を責めないでほしい……。
真実の愛を「育てる」のも一つの選択肢
「杉ちゃんと試しに付き合ってみようかとも考えたけど、不誠実だからやめた」と言っていた萌子さん。愛情いっぱいに接してくれる杉ちゃんが大好きだけど、恋愛としては違う、とも。
でもね、試しに付き合ったっていいと思うんです。だって最初から完璧な形の真実の愛を見つけるなんていうのは至難の業なんですから。スタートから完璧を求めるのではなく、片鱗を見つけてそれを真実の愛に育てていく、というのもまた一つの方法です。
「もう少し一緒にいたい。お別れしたくない」と泣いていたその涙が答えであり、杉ちゃんが言っていた「コップからあふれ出た真実の愛」である“水”なのではないでしょうか。
これは友人としてだけの愛だったかもしれませんし、もしかしたら恋人としての愛へ昇華してゆけるものだったかもしれません。
でも確かに、そこに一つの真実の愛は生まれていたと思います。
もちろん番組上伝えきれなかった本心もあるはずですので、決め付けてしまうことはできません。ですが、少なくとも放送された中から筆者が読み解いた結論はこれでした。
途方もなく萌子さんだよね
杉ちゃんの名言「途方もなく萌子さんだよね」。結論はこれに尽きると思います。
萌子さんらしい結末で、彼女の性格らしい決断。周囲に流されず意思を貫き、自分の人生を作り上げていく彼女の姿はやっぱり令和のヒロインだったなぁと思います。
おまけに今回のエンドのおかげで良いこともありましたよ。新たな有望人材が2人も確保できたわけです。
Amazonさん! 黄さんと杉ちゃんが主役のバチェラー4、5の制作、お願いします!!!!
2人ともこの後めちゃくちゃモテ期来るだろうけど、それまでフリーでいてーー!
(やまとなでし子)
※この記事は2020年11月03日に公開されたものです