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「とんでもございません」は正しい敬語? 使い方や言い換え表現を紹介

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「とんでもございません」を正しい敬語に言い換えると?

「とんでもございません」を正しい敬語に言い換えると、次の通りです。

(1)「とんでもないことです」

「とんでもございません」を正しい敬語にした例の1つとして、「とんでもないことです」が挙げられます。

この後に、「ありがとうございます」「皆さんのおかげです」「ご指導のおかげです」「一層精進いたします」などの言葉を付け加えると、さらに好ましいでしょう。

(2)「とんでもないことでございます」

「とんでもないことでございます」も、文法的には正しい敬語といえます。

ただ、少しまわりくどく感じる人はいるかもしれません。

(3)「ありがとうございます」

感謝の気持ちを伝えたいなら、「とんでもございません」を使わなくても次のように謝辞を述べることができます。

例文

・「お褒めいただき、ありがとうございます。スタッフのみんなが支えてくれたおかげです」

「とんでもございません」を使わない方がいい場面

以上のように、「とんでもございません」は、謙遜する際の言葉として許容され、広く使われるようになりました。

とはいえ、公式な席ではやはり控えた方がいいでしょう。

なぜ控えた方がいいのか、理由とあわせて2つの場面を紹介します。

フォーマルな式などで賞賛を受ける場面

フォーマルな式などで壇上に上がって賞賛を受けるような場面では、「とんでもございません」と打ち消すのを避けた方が無難でしょう。

『敬語の指針』文中にある「相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現」のくだりに着目すると、表彰式などのシチュエーションでは、集まった賞賛を「軽く打ち消すとき」には当てはまらないからです。

また、せっかくのフォーマルな場を、謙遜だけに終わるのはもったいないからです。

謙遜することは日本の美徳かもしれませんが、これからは周囲への感謝を表現しつつ、さらなる意欲をアピールする姿勢も、グローバルスタンダードとして好感を持たれるでしょう。

多くの人が集まる場面

多くの人が集まる場面では、参加者・列席者の中に「正確な表現」にこだわる人がいる可能性があります。

実際、文化庁の「国語に関する世論調査」(平成25年)によれば、「とんでもございません」という言葉が気になる人は調査人口の4分の1ほどで、過去の調査よりも増えています。

それを考えれば、多くの人が集まる場面では使わない方が無難でしょう。

「とんでもございません」の類語・言い換え表現

謙遜の言葉である「とんでもございません」に代わる言い換えの言葉を紹介します。

褒めてくれた相手に対して、どのような気持ちを伝えたいかによっても、選ぶ言葉が変わりますね。

(1)「恐縮です」

恐縮している気持ちを表す時に使います。

例文

・「お褒めいただき、恐縮です

(2)「恐れ入ります」

「恐れ入る」とは、相手の好意などに恐縮する気持ちを意味します。(1)の「恐縮です」と同じようなニュアンスで使えます。

例文

・「そのような褒め言葉をいただき、恐れ入ります

(3)「もったいないお言葉です」

褒められたことを「もったいない」と表すことで、相手に対する敬意も表せます。

例文

・「ありがとうございます。もったいないお言葉です

(4)「温かく、励みになります」

褒められてうれしい気持ちを率直に伝える言い方です。

例文

・「お言葉温かく、励みになります

(5)「お褒めに預かり光栄です」

フォーマルな場にもぴったりです。光栄に思う気持ちを表しています。

例文

・「お褒めに預かり光栄です。さらにご期待に応えられるよう頑張りたいと存じます」

次のページでは、「とんでもございません」の英語表現を紹介します。

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