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「とんでもございません」は間違い? 正しい敬語表現と使い方・例文

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「とんでもございません」は誤用なのか?

ここでは「とんでもございません」が文法的に間違った表現なのか、日常生活で使用してはいけないのかどうかを解説します。

「とんでもございません」は伝統的用法ではない

「とんでもない」は、「とんでも」に打消しの助動詞「ない」が付いたものでもなく、あくまで6文字でひと続きの言葉です。

「もったいない」「切ない」「みっともない」が分割できないように、「とんでもない」も「とんでも」と「ない」に分けることはできません。

また、「とんでも+ある」に分けられるものでもなく、そもそも「とんでも」という単語はありません。

したがって、「とんでもございません」は、本来ひと続きの言葉である「とんでもない」を誤って2つに分けて丁寧な敬語表現に変換したものであり、成り立ちから考えると文法的に正しいとは言い難いのです。

普段のビジネスシーンでは問題なく使える

前述した通り、本来であれば文法的には正しいとは言いにくいのですが、昨今では日常的な場面で使うには問題がないと許容されるようになっています。冒頭でも書いたように、第六版以降の『広辞苑』にも、“「とんでもございません」の形でも使う”と載っています。

また、2007年に発表された「敬語の指針」(文化審議会答申)でも次のように容認されています。

「とんでもございません」(「とんでもありません」)は、相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり、現在では、こうした状況で使うことは問題がないと考えられる
(「敬語の指針」【29】解説1より)

この解説にある「軽く打ち消すとき」の想定に個人差はあるかもしれませんが、次のような日常的な会話では「とんでもございません」と答えて差し支えないでしょう。

なお、「とんでもございません」だけだと、まれに「褒めたことがいけなかったのかな?」「気に障ったかな?」と勘違いする人もいるので、下記例文のように後に一言付け加えるといいでしょう。

取引先の部長から褒められて謙遜する場合

A部長「担当の○○から、Bさんはできる人だと聞いていますよ」
Bさん「とんでもございません。まだまだ至らないことばかりです」

上司から感謝された場合

A部長「この間は、○○さんを手伝ってくれてありがとう。助かったと感謝していたよ」
Bさん「とんでもございません。お安い御用です」

「とんでもございません」を正しく言い換えると?

「とんでもございません」を正しく言い換えると、次の通りです。

・「とんでもないです」
・「とんでもないことです」

この後に、「ありがとうございます」「皆さんのおかげです」「ご指導のおかげです」「一層精進いたします」などの言葉を付け加えると、さらに好ましいでしょう。

ちなみに、「とんでもないことでございます」も文法的には正しいのですが、まわりくどく感じられます。

また、「とんでもございません」を使わなくても、次のように謝辞を述べることができます。

例文

・お褒めいただき、ありがとうございます。スタッフのみんなが支えてくれたおかげです。

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