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「ご冥福をお祈りします」はどう使う? 意味や注意点(例文付き)

松岡友子(コミュニケーションマナーアドバイザー)

類語と「ご冥福をお祈りします」との違い

これまで見てきたように、「ご冥福をお祈りいたします」は宗教や宗派によっては使用を控えた方が良い表現です。

では、他にどのような言い換え表現があるのでしょうか。

「ご愁傷様です」(故人の家族に対して)

前述の通り、悲しみに打ちひしがれている遺族にかける声掛け(あいさつ)の言葉です。

そのため、「この度はご愁傷様です」に続けて故人への思いを述べることができます。

参考記事はこちら▼

「ご愁傷様」の使い方を例文とあわせてチェック。

「お悔やみ申し上げます」(宗教に関係なく)

大切な人を失った遺族の無念さ、悔しさに寄り添う最も一般的な言葉です。

「ご冥福をお祈りします」とは違い、宗教・宗派に関係なく使うことができる言葉でしょう。

参考記事はこちら▼

「お悔やみ申し上げます」の使い方を、例文とあわせてチェック。

「謹んで哀悼の意を表します」(手紙やメールなどで)

手紙やメールなどでは、個人の死を悼むこの表現がよく用いられます。

「御霊の安らかなることをお祈り申し上げます」(弔電などで)

神道・神式の葬儀では「御霊(みたま)」という言葉がよく使われます。

弔電などで用いると良いでしょう。

「天国で安らかな眠りにつかれますよう心よりお祈り申し上げます」

キリスト教における「死」は神のもとへ召されることであり、決して嘆き悲しむものではないとされています。

「眠り」という言葉で天国での故人の平安を祈りましょう。

手紙やメールで伝える場合の注意点

手紙やメールなどでは、相手の悲しみを思いやるあまり「お嘆きがどんなに深いことか」というような言葉を繰り返すより、遺族を励ます気持ちを言葉に込めた方が良いのではないでしょうか。

以下、例文です。

《例文》

・「さぞお力落としのことと存じますが、どうぞ皆さまに後のお障りがありませんように」

・「悲しいお知らせで、お慰めの言葉もございません。ご家族様の皆さまには、一日も早くお心が癒えますよう、心よりお祈りいたしております」

・「誠に思いがけないことで、皆さまのお嘆きのほどいかばかりかとご拝察申し上げます。一日も早く立ち直られますよう、お祈りいたします」

・「この度は突然のことで驚いておりますが、どうぞお力落としのないようにくれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます」

故人や遺族の心に寄り添った声掛けが大切

以上のように、厳密に言うと、故人の葬儀がどの宗派で行われるのかが確認できないのであれば、「ご冥福をお祈りします」は使わない方が良いのかもしれません。

ですが、どのような宗教であろうとも、実際の遺族にとって愛する人を亡くした悲しさや、それを慰める人たちの思いは同じであると思います。

人生を重ねると、人との悲しい別れの場面に遭遇することが多くなります。

故人との生前の縁に感謝し、大切な存在を失った人の心に寄り添った声を掛けられるようになりたいものです。

(松岡友子)

※画像はイメージです

※この記事は2020年10月27日に公開されたものです

松岡友子(コミュニケーションマナーアドバイザー)

マニエール・トモ代表。コミュニケーションマナーアドバイザー®。
駒沢女子大学・戸板女子短期大学 非常勤講師。
早稲田大学卒業後、ANA国際線客室乗務員およびチーフパーサーとして乗務。
退職後、エアラインスクール講師などを経て2007年より研修講師として活躍する。
日本語教師、NLPプラクティショナーやTAカウンセラー、ハラスメント防止コンサルタントなどの資格を活かし、ビジネスマナーからセルフマネジメントまで幅広く研修、講演を行う。
現在、横浜市立大学大学院にて女性学を研究中。

著書『誰とでも仲良くなれる敬語の使い方』(明日香出版社)

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