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「ご自愛ください」の正しい使い方【例文】

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「ご自愛ください」の使い方で気を付けたいことは?

さて、定型文はビジネスのやりとりを円滑にする重要な言葉ですが、最後に付け加えさえすれば事足りるというものでもありません。

「ご自愛ください」の使い方では、3つの注意したいポイントがあります。

(1)手紙とメールでは送る頻度が違う

メールに比べて、手紙を出す機会はやや限られています。同じ相手に対しては、筆まめな人でも暑中見舞いか残暑見舞い、年賀状、そして贈答のお礼など、多くても年に数回まででしょう。そのような手紙では、毎回「ご自愛ください」で締めくくられていてもさほど煩わしくは感じません。

しかし、メールの場合は、手紙よりも高い頻度でやり取りすることがほとんど。特に、業務が進行中だったり、日を空けずに会ったりする場合、いくら定型文とはいえ、メールの度に毎回付け加えるのはやり過ぎです。

相手を思いやる気配りの結び文としての役割を果たすためにも、必要な時に使うこと。

季節の変わり目や、寒さや暑さが厳しくなった時、また相手と久しぶりに会った時、長く会っていない時など、メリハリを効かせて用いましょう。

(2)儀礼的にならないように工夫する

いくら元々配慮を示す意味があるとはいえ、「それでは、ご自愛ください」と単独で使うと、かえって雑な印象を与えることがあります。

心を込めた表現である「くれぐれも」や、強い懇願の意味を表す「何とぞ」など副詞を使うことで、一層気持ちが伝わるでしょう。

また、時節を表す言葉を加えると、健康を気遣っている理由が伝わるので、より温かく感じてもらえるでしょう。

いくつか例を掲げます。

(季節のあいさつとともに)
・向暑の折、くれぐれもご自愛ください。
・まだまだ残暑が続きます。〇〇様にはご自愛専一にお願いいたします。
・朝夕めっきり冷え込むようになりましたね。どうか、ご自愛くださいませ。
・長くお目にかかれていませんが、どうぞご自愛くださいますように。

(仕事や行事のタイミングと合わせて)
・発売間近、いよいよですね。何とぞご自愛の上、ご活躍なさいますことを願っております。
・昇進され、ますますご多忙と存じますが、ご自愛の程お祈り申し上げます。
・お引っ越しのお疲れが出ませんよう、ご自愛ください。

(3)相手が体調を崩している場合は別の言い方をする

「ご自愛ください」は相手の健康を気遣う言葉ですが、すでに体調を崩している人に対してはあまりふさわしいとは言えません。

「回復」「養生」などの適切な言葉で、お見舞いの気持ちを述べる方がいいでしょう。

一日も早いご回復を願っております。
くれぐれもご養生いただきますよう念じております。

また、病気見舞いの手紙やメールでは、お詫びやお悔やみの時と同様、時節の挨拶を入れないのが決まりです。

次ページ:健康を気遣う結び文、他にはどんな言い方が?

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