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「動画日記」がきっかけ。VanessaがSNSから夢をつかんだ方法

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マイナビウーマンのコア読者は“28歳”の働く未婚女性。今後のキャリア、これからどうしよう。結婚、出産は? 30歳を目前にして一番悩みが深まる年齢。そんな28歳の女性たちに向けて、さまざまな人生を歩む28人にインタビュー。取材を通していろんな「人生の選択肢」を届ける特集です。

取材・文:ameri、撮影:洞澤佐智子、編集:坂内綾/マイナビウーマン編集部

「なんだこれは。グサグサと刺さってくるぞ……」と私の感性をえぐってきたのが、『自尊心削られながら個性を出せって、どんな罰ゲームだよ?』という本。

共感の嵐なのはもちろんのこと、著者であるVanessaさんの動画を観ているかのようにサクサク読めた。これって本当に書籍かな、と思うほど。

動画というのは、Twitter上に不定期でアップしている、日々起こったことに対して自分の心の内をブワッと話した「動画日記」のこと。投稿を始めてすぐ、「うわ、わかる〜!」「私の思っていることをどうしてこんなに代弁してくれるの!?」と話題になった。

そんなVanessaさんは、いち美容師からメイクアップアーティストという夢をかなえ、今や自らが持つ「個性」を仕事にしている。まさにこの時代を表しているかのような、“SNS発”で。

彼女は、これまでに誰に影響を受け、どんな選択をしてきたのだろうか。そして、これからどんな選択をしていこうと考えているのか。Vanessaさんの人生観を深掘りしてきた。

「動画日記」は自分用の記録からはじまった

独特のワードチョイスとセンスで、次々と夢をつかみ取ってきたVanessaさん。成功への階段を上り始めたのはいつからだったのだろう。

「本当にただの一般人なんですよ。小中高と何の変哲もなく生きてきました。さて進学どうする? というタイミングで、大学か専門学校かで悩んで。正直、将来のことといっても“英語を使った何かがしたい”というくらいしか考えていなかったので、家族会議の結果、『とりあえず国家資格を取ろう』ということで美容師の専門学校に進みました」

しかし、専門学校はこれまで生きてきた環境と違いすぎて、戸惑うことばかりだったのだそう。

「専門学校は学歴も住んでいる地域も違う人が集まる場。そもそもの前提である“普通”が違うんですよね。だから、そこで初めて『折り合いがつかない』という感覚を知りました。技術を学ぶよりも、人間関係の方がつらかった」

国家資格を取るという目標のために淡々と通い、無事卒業。その後、美容室に就職した。
「入社した美容室の研修に、1グループだけカット以外にメイクも学べるチームがあり、元々メイクに興味があったので、そこに入って詰め込みで学びました。でもやっぱりメインは美容室。メイクの仕事って全然こないんですよ」

朝から晩まで続く業務。そして、分かってはいたが“メイク”の仕事は閑古鳥。その状況にどんどん疲弊していってしまったという。そんなタイミングで、彼女に企業から1本の連絡があった。

「動画日記ではメイクをしているところもアップしていたんですが、それを見た企業のプロデューサーの方から直接『メイクの仕事をやりませんか?』ってメールがきたんです。これまでもTwitterで『ライブ配信をやりませんか?』『うちに所属しませんか?』っていう話をもらってはいたけれど、『私は一般人だから』というスタンスだったので全て断っていて」

でも、その仕事は速攻でやりたい! と答えたのだという。

「自分のやりたいメイクの仕事であれば、話は違うじゃないですか! すぐに『やっていいんですか!?』って返事をしました」

その時すでに、Vanessaさんは「動画日記」によってTwitter上の有名人だった。

「最初は、Snapchatで公開してウケがよかったものをまとめてTwitter上に置いておこうってくらいの用途だったんですよ(笑)。ありがたいことに、それがいつの間にか注目してもらえるようになって。ただ、いかんせん早口なので、聞き取れねえなって思って字幕をつけたのが今の形の始まりです」

「動画日記」は、実はバズらせようとして始めたコンテンツではなかった。だが、彼女を夢へと引き上げたのは確実に動画だ。そう考えると、人生って本当に何があるか分からないと思わされる。

上へ上へと目指していく“推し”の考え方が指標

節々から個性が光っているVanessaさん。自分の意思をしっかりと持ち、それを言葉にできているのだ。「本当に23歳なの……?」とびっくりしてしまう。誰かに影響を受けることはあるのだろうか。

「ありますよ! 細かい影響とかも合わせたら、数百人はいます。友達のこういう言い方がいいなとか、家族の話し方が愉快だなとか(笑)。あとは、とにかく“推し”です。この人の考え方がいいって思うのは、やっぱり推しが多いんですよ」

VanessaさんのSNSを見たことがある人ならご存知だろう、彼女の“推し”への愛を。推しというのは、星野源さん、羽生結弦さん、アカペラグループ・Pentatonixのメンバーだ。

「推しは私にとって指標なので。彼らは、楽しいこと、自分がもっと上手になりたいと思うこと、人に見てほしいことをどんどん突き詰めていって、一人前になり、さらに上にいきたいと考える人たち。だから、彼らの姿勢や考え方から得るものは多いんです」

「因数分解し言語化すること」が支持を集める理由

Vanessaさんは「動画日記」をきっかけに注目され、グングン人気を集めている。彼女が投稿する動画は、なんだか友達と会話しているような気持ちになるから不思議だ。

こうやって多くの人から支持される理由を、彼女は自分でどう考えているのだろう。

「“言語化しているから”だと思っています。情報が溢れていて、これだけ文字が画面上に蔓延している社会だと、自分で考えて、まとめて、文字に起こすのがなかなか難しいと思うんです。きっと、それを代わりに言葉にしてくれてる、って感じなんでしょうね。

皆さんもありませんか? お腹が減った深夜に、大食い動画を観て代わりに食ってもらった気分になって満足して眠れた、という経験。多分それと似ているんだと思います」

確かに、これほどまでに彼女の動画に共感するのは、誰もが一度は感じたことのあるモヤモヤした気持ちを言葉にしてくれているからなのだろう。

「私は因数分解していく人間なんですよ。何かにムカつくと思ったら、どうしてムカついて、どこに引っかかって、何が不愉快なのかを細かく考えるんです。

たとえば、『きめえんだよお前』って言われてすごく嫌だったとき。数多の言葉がある中で『きめえ』で片付けられたことが嫌なのか、何か反論したくても『きめえ』はあまりにも抽象的で論破できないことが嫌なのか、言い逃げされて負けた気分になるのが嫌なのか。

自分としては普通に分析して言語化し、それを動画日記という形にしていただけなんですが、同じように因数分解して考える人が案外少なかったみたいで。だからこそ、ニーズがあったんだと思います」

自分と対話し、進む道を見つけてほしい

SNSをきっかけに、自身の個性を武器に、夢をかなえて来たVanessaさん。これからやりたいことについては考えているのだろうか。

「どうしようかな。ざっくりとメイクをやりたいっていうのはあるんですけど、自分をモデルにしてやりたいのか、人を使ってやりたいのかについてまだ迷っていて。ちょうど分岐点にいて模索しているタイミングです。

周りにも相談するんですが、血を分けた家族だからこその意見や、家族よりも密な時間を過ごしてきた友達だからこその意見もあり。判断材料が多すぎて今すっごい迷っているんですよ。材料の中で泳いでいる気分です(笑)」

23歳のVanessaさんが分岐点に立ち、今後について悩んでいるのと同じように、マイナビウーマンのコア読者層である28歳の女性たちも、これからのことを考えて悩んでいる。進む道に迷ったときにどうすべきか、アドバイスをお願いしてみた。

「たかが23の女が何言っているんだと思われそうですけど(笑)、まずは自分と対話する時間を設けることが大切かなと思います。

考えるときには『どこへ行ってもどうにでもなる』っていうことを念頭に置くことで、選択しやすくなるはずです。希望を実現する方法は目を凝らせばいくらでもあるもの。私もやってしまいがちですけど、できない理由を探すのは簡単なんです」

言い訳を探すのではなく、自分と向き合い、どうしたら希望の道に進めるかの方法を探すことが重要なのだ。そして、彼女が伝えてくれたアドバイスはもう一つ。

「妥協点と譲れない部分をピックアップして、分析して答えを見つける。出した答えにしばらく身を置いてみて、違うと思ったら他の道を目指していくといいと思います」

——他にも行けるんだっていう逃げ道があるって考えたら、もう少し足を踏み出しやすくなると思わない?

これは、『自尊心削られながら個性を出せって、どんな罰ゲームだよ?』の中に出てくる一節。そして、私が勇気をもらった言葉だ。Vanessaさんが発する言葉は、どれも説得力と意思の強さが光っている。

そんなSNSから夢を掴んだシンデレラガールは、溢れるセンスと推しへの愛を持ち合わせた23歳の女の子だった。なんだか彼女の話を聞いていたら、気持ちの因数分解を始めてみたくなった。自分の気持ちを分析することで、おのずと進みたい道も見えてくるはずだから。

INFORMATION

『自尊心削られながら個性を出せって、どんな罰ゲームだよ?』

結局、己の身ひとつでバチクソ戦うしかない−−。没個性を強いられる傍ら、「個性を出せ!」「発信せよ!」と責め立てる難解な現代社会をどう生きていくのか。Twitterフォロワー数・33万人のVanessaさんが、悩み抜いて導き出した「人生を豊かにする方法」をパワーワード多めに綴った初のエッセイ。(出版社:KADOKAWA)

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2016年より執筆をはじめ、主に美容・恋愛・ウエディングについて書いています。美容とコーヒーとチョコレートをこよなく愛するフリーライター。コスメと触れ合うこと、旅行、カフェ巡りが趣味です。百貨店のコスメフロアによく出没する特徴あり。

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