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お節介とは? お節介を焼く人の特徴・心理と対処法

笹氣健治(心理カウンセラー)

自分を直すには? お節介な性格の改善方法

ここまで、周囲の人がお節介だった場合について考えてきましたが、反対に、自分がお節介な性格かもしれないと思った場合、どうやって改めればいいのかも併せて考えてみたいと思います。

一般に、お節介をやめる方法として、次のようなことが言われています。

・他人のことは気にしないようにする

・何か言いたくなっても我慢する

・ウザがられていないかどうか相手の態度や表情を観察する

・相手のためではなく、自己満足でやっていることを自戒する

・自分の意見やアドバイスが正しいとは限らないと肝に銘じる

確かに、これらを常に意識し続けることができれば、お節介はやめられるでしょう。

しかし残念ながら、実際の場面では、これらはあまり役に立ちません。なぜなら、人がお節介をする時、こういったことはすっかり頭から抜け落ちているからです。

ダイエットをしようとして食事制限していたのに気づいたら食べている、なんてことがあると思いますが、それと同じで、自分の欲求はなかなか抑えられないのです。

今まで無意識にやってしまっていることは、やめようと思ってもなかなか難しいでしょう。

それでも、少し効果が期待できる取り組みを3つご紹介したいと思います。

(1)お節介な自分を肯定する

先ほど紹介した一般的な「お節介をやめる方法」は、いずれもお節介する自分はダメだと否定的にとらえています。

人は否定されると、反発心が湧いてきて素直になれず、かえって逆効果になることがあります。

そこで、否定するのではなく、いったんお節介する自分を肯定してみましょう。

そのためにまず、「お節介をすることで私は何を得ようとしているのだろうか?」と考えてみます。

考えられるだけ考えたら、開き直るように自分の気持ちを肯定しましょう。例えば、次のような感じです。

・私は、他人にアドバイスをして優越感を得たいんだ

・私は、他人にアドバイスをして自分の有能さを示したいんだ

・私は、他人にアドバイスをする自分を承認されたいんだ

・私は、その人が困っていることを解決してあげたいんだ

・私は、その人に失敗してほしくないんだ

・私は、その人にうまくやってほしいんだ

このようにして自分の気持ちを改めて見直してみると、「利己的な部分も確かにあるが、他人のことを思いやる善意の気持ちも確実にあるのだ」という点に気づけるのではないかと思います。

でも、残念ながら、今はその善意の気持ちが少し空回りして、相手にとってプラスの態度にはなっていないと気づくこともできるかもしれません。

すると、今足りないのは、相手にプラスとなるような態度だという点にも気づけるでしょう。

つまり、自分が持っている善意の気持ちを生かしながら、相手にプラスとなる態度を身につければ良いだけなのです。

このようにして、自分をいったん肯定してから、もう一度、一般的な「お節介をやめる方法」を見てみると、今度は、すとんと腹に落ちるのではないかと思います。

(2)お節介ではなくお世話をする

お節介をやめる簡単な方法として、お節介をお世話に変えてしまう、という手があります。

始めの部分で説明した通り、求められてするのが「お世話」、求められていないのにするのが「お節介」ですので、お節介をお世話に変えるには、相手から求めてもらうようにすればいいわけです。

どうすればいいかと言うと、ひとこと相手に確認を取ればいいだけです。

「アドバイスしていいですか?」「お手伝いしましょうか?」といったように確認して、相手が「ぜひお願いします」と言われればやってあげて、「いいえ結構です」と言われればやらない。これでお節介はなくなります。

ただし、断りづらい雰囲気を醸し出さないように注意する必要があります。

私はやってもやらなくてもどちらでもいいんだけどね、というスタンスで相手に聞けば、たいていは正直に要・不要の回答をしてくれます。

常にこのような態度を取っていると、やがてこちらから聞かなくても、相手の方から「アドバイスお願いできますか?」「手伝ってほしいことがあるんですけど」と声をかけられるようになっていくこともあり得ます。

(3)自分がやるべきことを見つける

お節介をするのは、基本的に、暇な時です。

自分の仕事が立て込んでいる時は、他人のことを構っている余裕はありませんので、必然的にお節介はしなくなります。

つまり、忙しくなれば、お節介もしなくなるはずです。

そこで、お節介をやめるには、常に忙しい状況に自分の身を置くのも1つの方法です。

そのためにも、仕事では始業から終業までの間、目いっぱい作業を入れてしまいましょう。

手が空いたらすぐ「何か仕事はありませんか?」と上司に聞きに行く。社内の関係部門に「何かお手伝いすることはありませんか?」と顔を出す。

このように積極的に自ら動いて仕事をもらうようにしていると、社内での評価も上がるかもしれませんし、毎日が充実してきますので、お節介もやめられて一石二鳥となります。

「他人に迷惑に思われながらお節介を続けて暇な日々を過ごすか、お節介をやめて積極的に充実した日々を過ごすか、決めるのは自分」

このように考えたら、とりあえずお節介はやめようという気にはなると思いますが、いかがでしょうか?

参考記事はこちら▼

仕事でやりたいことを見つけるコツを、心理カウンセラーの高見綾さんが解説します。

お節介な人のことで悩む必要はない!

お節介な人が身近にいる一番の問題は、こちらがストレスを抱えてしまうことです。

どんな意図があったとしても、その人なりによかれと思ってやっていることなので、その善意だけ受け止め、自分に役立つ部分は活用し、そうでない部分はスルーして、ストレスをためこまないようにしましょう。一生お付き合いするわけでもないでしょうから、うまく受け流せばいいだけのことです。

また、自分がお節介かもしれないと悩んだ時は、客観視が重要です。なぜお節介をしたくなるのか、その気持ちと向き合い、相手にとっても心地良い「お世話」に変えていけるといいですね。

(笹氣健治)

※この記事は2020年01月13日に公開されたものです

笹氣健治(心理カウンセラー) (心理カウンセラー)

メンタルトレーナー・心理カウンセラー
1967年生まれ。国際基督教大学を卒業後、NTT(東京支社)に入社。その後、地元の仙台に戻り、スポーツクラブ「グラン・スポール」の経営に携わる。企業を経営する上で人間心理を理解する必要性を痛感して心理カウンセリングを学び、現在は、ストレスやコミュニケーション問題の解消をテーマにした講演やカウンセリング、目標達成のためのメンタルトレーニングを行っている。『「やる気」のある自分に出会える本』(スリーエーネットワーク)、『仕事の悩みを引きずらない技術』(PHP研究所)など、著書19冊。

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