職場で無視される原因とは? 相手別の対処法
職場で無視されるとき、どうしたらいいのでしょうか? 気にしないわけにもいかず、つらいものですよね。この記事では、職場での無視が発生する原因・理と人間関係別の対処法について、外資系OLコラムニストのぱぴこさんに教えてもらいました。
みなさん、毎日職場に行くのは楽しみですか? 私は楽しみではありません。過去は学校に行くのも理由もなく「めんどう」と思うタイプだったので当然かもしれません。
理由がなくても「行きたくない」と思う人もいるのですから、明らかに「嫌なこと」がある場合は絶対に行きたくありませんよね。
今回はそんな「職場で無視されている気がする」という悩みを抱えるパーソンに対するコラムになります。そんな職場、まじで行きたくないんですけどね……。
職場での無視はけっこうあることなのか?
「職場で無視」という場面がある時点で「ただのいじめやんけ」「パワハラじゃん」という気持ちが沸き上がり、「職場を変えたほうがいいのでは?」と思います。実際、職場で無視されるのはよくあることなのでしょうか。
「職場での無視」という陰湿な行為は、厚生労働省で規定される職場のパワーハラスメントにおける、「職場のパワーハラスメントの6類型」の1つである「3)人間関係からの切り離し」に該当します。
裁判例や個別労働関係紛争処理事案に基づいた、6類型は以下のように規定されています。
1)身体的な攻撃:暴行・傷害
2)精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3)人間関係からの切り離し:隔離・仲間外し・無視
4)過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5)過小な要求:業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6)個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること
(参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126546.html)
職場での無視に悩む人は多い
上記規定を踏まえた上で、厚生労働省の平成28年度調査『職場のパワーハラスメントに関する実態調査について』を確認してみましょう。
パワーハラスメントに関する相談内容(複数回答)
1)身体的な攻撃(14.6%)
2)精神的な攻撃(73.5%)
3)人間関係からの切り離し(26.5%)
4)過大な要求(21.2%)
5)過小な要求(8.7%)
6)個の侵害(17.5%)
7)その他(5.9%)
(参照:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000165752.pdf)
パワハラ相談の中で最も相談件数が多い事例は、「2) 精神的な攻撃」の73.5%が圧倒的ではありますが、「無視」が含まれる「3) 人間関係からの切り離し」も26.5%とパワハラ相談の中でよくあることであると見て取れます。
職場でのいじめ経験者は56%。「無視」は典型的な手段
「職場で無視なんて幼稚なことがあるのか?」と若干の疑問を持っていました。
しかし、上記調査とは別に、2014年に実施された 日本法規情報 法律問題意識調査レポート『職場いじめに関する意識調査』においても、職場のいじめを受けたことがあると答えた人は全体の56%。そのうちの8割が『いじめの内容は「言葉の暴力、仲間外れ、陰口、無視」が80%』と回答しており、典型的な手段であることが見て取れます。
(参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000006827.html)
職場で無視される理由や原因
前出の、厚生労働省の平成28年度調査『職場のパワーハラスメントに関する実態調査について』の中で、男性より女性の比率が高いものとして「人間関係からの切り離し」、「個の侵害」が上げられており、男性よりも女性のパワハラにおいて「無視」という手段が取られやすいことがわかります。
また、関係性においては、「上司から部下」「先輩から後輩」「正社員から正社員以外」といった、立場が上のものから下のものへのハラスメントが大多数を占めています。
なぜ「無視」が発生してしまうのか、やるほうが悪いと切って捨てたいですが、一応確認しましょう。
(1)何かが気に食わない
「何かってなに!?」とはなると思いますが、だいたいのパワハラきっかけはパワハラをする側の気持ちで決まります。
「仕事が遅い(と感じる)」「能力が低い(と感じる)」「コミュニケーションの質が悪い(と感じる)」「態度が悪い(と感じる)」などが原因です。
毎日の叱責の中にヒントがある場合もありますが、無視されるほどのことに原因がないならば、だいたい「何かが気に食わない」が発端です。
(2)何かで気分を害した
「何か」シリーズですが、人間関係とはほんのちょっとの「そんなつもりがない自慢」や「そんなつもりがない一言」で、一気にひびが入るものです。
自分が何も気にしてないから言ったコメントが、誰かのコンプレックスで、結果として無視されるようになった……ということは十分にあり得ます。
(3)単純に態度が悪い
自己責任起因の原因も考えましょう。手段として「無視」が適切ではありませんが、無視された側の態度や言動があまりにも常識から外れており、無視している側がほとほと嫌になって相手にしなくなったパターンです。
この場合は、基本的には自分の行動に非があるため、無視している人に謝る&態度の改善をするしかありません。
とはいえ、再度強調しておきたいことですが、何かしら「無視される側」がきっかけになったり、配慮が足りなかった場面があったとしても、「無視する」手段を取った瞬間にそれは「いじめ」であり「パワハラ」です。
気にしないのが一番? 職場で無視されるときの対処法とは
ここまで長々と書いたように、職場での無視は「いじめ」であり「パワハラ」なので、しかるべき機関や人事に対してエスカレーションするのが適切です。
しかし、会社の規模や制度上、申告者が不利になってしまうことは考えられるので、外部機関に相談しながら、会社の実態や人事部を信用できるかなどを確認するのが安全です。
また、「無視」という手段に周囲が出るほど、職場環境が悪いのであれば、環境を変える努力(転職)をするのが、物理的にも嫌な職場や人間関係から離れられる点でよいとは思います。
ただし、これも地域や周辺規模によっては職場を変えることでも逃れられない場合もあるため、まずは自分だけで思いつめないように、適切な外部機関への相談という手段をとることをオススメします。
誰からの無視であっても、できることは決まっています。
1. 原因を考える
2.周囲に相談し、対象者との仲を取りもってもらうなどの関係改善をはかる
3.原因がわからない、または状況が改善されないならばしかるべき外部機関、及び人事等にエスカレーションする
4.転職など、物理的に職場から離れる
上司から部下の場合
パワハラ相談で最も多いのは「上司から部下」へのものです。
労基上問題があるため、上記で記載したように、外部機関や社内規定に沿って解決ができるかを探りながら、その上司が「誰にでもそうなのか」「自分にだけなのか」などの情報を集めましょう。
同僚や後輩から無視される場合
同僚や後輩から無視される場合は、上司よりは距離が近い分、何かしらの行動が引き金になり「無視」という行動が引き起こされた可能性が高くなります。
原因を確認し、関係改善がはかれるのであれば、そのように行動しましょう。
パートやバイトなど雇用形態が違う人の場合
雇用形態が違う場合は、その事実そのもので理由なく「無視」という手段を取られる場合があります。
周囲への相談や、雇用形態による差異からくる「上下」がネックになっていないかなどを中心に、解決策を探りましょう。
仕事で無視されていてつらいあなたへ
繰り返しになりますが、どんな理由であれ「無視」という手段に出た瞬間に、それはいじめでありパワハラです。職場も人間で構成されている以上、人間関係のもつれやコミュニケーション不足でぎくしゃくする部分はあります。
しかし、上記を幼稚な手段で「わからせよう」とするのは、間違いであり、つらい思いをする側が攻められるべき理由はありません。
渦中にいる時は、非常につらくて苦しいと思いますが、精神的にもまいらないように、外部の意見や専門家の意見を聞いて、間違った判断で追い詰められないようにしてください。
今回は以上です。
(ぱぴこ)
※画像はイメージです
※この記事は2019年12月25日に公開されたものです