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自己実現とは? 心理学における定義や自己実現を叶える方法

小日向るり子

自己実現とは、本来の自分であり続けることです。今回は心理カウンセラーの小日向るり子さんに、自己実現とは何なのか、マズローの欲求5段階説や事例とともに分かりやすく解説してもらいます。また、自己実現欲求を満たす方法もあわせて紹介します。

「自己実現」。この言葉を聞いたことはありますか?

自己実現とはもともと心理学用語ですが、現在では学術用語としてより「幸せな生き方」「憧れの生活」など心の充足度を表す際に使われています。

今回は、幸福の代名詞ともなっている「自己実現」に焦点をあて、その意味や自己実現の方法について解説してみたいと思います。

そもそも自己実現とは?

まずは、自己実現の意味を押さえていきましょう。

自己実現の意味

まずは、辞書で「自己実現」という言葉の意味を調べてみましょう。

じこ‐じつげん【自己実現】

1 《self-realization》自己が本来もっている真の絶対的な自我を完全に実現すること。普遍的、絶対的自我の実現が究極の目的であり、それに導く行為が正しい行為だとする、T=H=グリーンやブラッドリーなどの倫理説。グリーンは、これが人生の究極目的であるとした。自我実現。

2 転じて、自分の目的、理想の実現に向けて努力し、成し遂げること。「―を夢見る」「第二の人生では地域への貢献を通じて―を目指す」

(出典:小学館『デジタル大辞泉』)

自己実現の意味を辞書などで調べても、難しい言葉で説明がされているかもしれません。そのため、「結局のところよく分からない」という人も多いはずです。

自己実現とは、簡単に言えば「夢や目標を決めて、それを実現するよう動くこと」でしょう。心理学的な意味合いは、また後述していきます。

自己実現の類語

言葉の意味をより鮮明にイメージするため、類語を見ていきましょう。自己実現の類語には、以下のような言葉が挙げられます。

・自己発展
・自己研鑽
・自己改革
・自己啓発

己をより良い方向に発展させ、磨いていくといったニュアンスの言葉たちが、近い意味を持っているということです。

「自己実現的」という使い方をする場合も

名詞「自己実現」に、接尾辞「的」をつけて「自己実現的」という使い方をする場合もあります。

心理学における「自己実現」の定義

そもそも自己実現とは、アメリカの心理学者であるアブラハム・ハロルド・マズローが「人間の動機付けに関する理論」という論文の中で発表した人間の5大欲求の最後の欲求として提唱された概念です。

マズローの欲求5段階説とは?

五段階欲求と自己実現とは?

マズローは、人間には下位から

1.生理的欲求(食欲・睡眠・性欲など生命を維持するために必要な欲求)
2.安全欲求(住居・収入など安心して生活するために必要な欲求)
3.所属と愛の欲求(家族・仲間など集団に属したい、他者と関わりたいという欲求)
4.承認欲求(自分を認めたい、他者から認めてもらいたいという欲求)
5.自己実現欲求(ありのままの自分で創造的な活動をしたいという欲求)

という5つの欲求があり、心の充足にはこれら5つの欲求を順番に満たしていくことが大切だと提唱しました。

つまり、自己実現とは「自分らしい生き方」のことであり、最終段階としてこの「自己実現欲求を満たせるように生きること」が幸せにつながっていくのです。

Check!:マズローの欲求5段階説とは? 例&モチベーションの高め方

5段階欲求や自己実現をわかりやすく例えると?

欲求の解説だけではわかりづらいかもしれませんね。ここからは「働く女性」を例にして5段階欲求を表現してみましょう。

働く女性の具体例

1.生理的欲求……睡眠、食欲に問題がなく就業規則通りの勤務ができている
2.安全欲求……収入があり実際に生活できている
3.所属と愛の欲求……相談できる仲間、支え合える恋人や家族の存在がある
4.承認欲求……昇給昇格、表彰、褒められる、自己肯定ができる
5.自己実現欲求……自分らしく生きることができる、充実した時間を過ごしている

働くことの直接的な意味は「お金を稼ぐこと」ですが、ではなぜお金を稼ぐのかを考えてみてください。その理由が「家賃を払うため」であれば、今のあなたは2の安全欲求レベルにいます。

その状態で、5の自己実現を目指しても難しいということ。まずは家賃を見直す、実家に戻る、など対策を講じて安全欲求を満たす必要があります。

それぞれの課題を段階的にクリアしていき、4段階が整ったタイミングで、はじめて5段階目にある自己実現と向き合うべきフェーズがやってくるのです。

Check!:承認欲求とは? 承認欲求が強い人の特徴と対処法

「欠乏動機」と「成長動機」の違いとは?

マズローは、1~4までの欲求を「欠乏動機」としています。

欠乏動機とは、満たすための動機が「それが足りないと不満足という気持ちになってしまう」ことにあります。家賃が払えないから働く、いいね!の数が減ると嫌だからアップし続ける、などは欠乏動機です。

しかし、5の自己実現欲求だけは「成長動機」であるとしました。

成長動機とは他者や周りの環境関係なく、「自分自身がそれをすることで本来の自分になれるからする」ということです。

そして、その状態を維持することが成長につながり、成長し続けることでさらに心地良い状態を作るという好循環をもたらします。他者や環境に依存することなく、自分だけの「心地良い」を追求できるのが自己実現だといえるのです。

自己実現欲求がないのは変?

中には「好きなことを仕事にしたい」「自分らしい働き方をしたい」などの自己実現欲求がないことに悩んでいる人もいるかもしれません。

「安定した収入が欲しい」などの欠乏動機があっても、成長動機である自己実現欲求がない……という人、それはあなた以外にもいるはず。決しておかしいことではありません。

もしくは、今のあなたは1~4までの欲求のステップを満たしている最中なのかもしれません。

1つずつ欲求を満たしていくことでいずれ自己実現欲求が芽生えてくる可能性もあるでしょう。

▶次のページでは、自己実現するための方法を紹介します。

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