事なかれ主義は嫌われる? 4つの心理と職場での改善方法
事なかれ主義とは、波風が立たないように対応することをこといいますが、逃げたり傍観していても問題は解決できませんし、いいことよりも不利になったり消耗したりすることにもつながってしまうもの。この記事では、事なかれ主義の人の心理や職場での改善方法などについて、心理カウンセラーの高見綾さんに解説してもらいました。
日本人は争いごとを好まない気質だと言われています。
気になることがあっても波風が立たないように意見を言わなかったり、今ある問題を見て見ぬふりをしたりしたことがある人は多いのではないでしょうか。
その場は平穏に済ませることができても問題は先送りになるだけで、損をしている気分になったり、我慢が重なったりして疲れてきてしまいます。
このような事なかれ主義になるのはどんな心理からなのか気になりますよね。
事なかれ主義がよくない理由を紹介し、適切に問題解決をしていけるようになるための方法についても解説します。
事なかれ主義の心理
事なかれ主義になるのはどんな心理からなのでしょうか。
主なものを4つ挙げてみました。
(1)当事者意識が薄い
たとえばチームの仕事に問題が起きたとします。
事なかれ主義の人は、自分も当事者のはずなのですが、「ほかの人がいるから対処してくれるだろう」「チームの仕事だけど私の直接の担当じゃないし」と考えてしまう癖があります。
他人任せの意識を持っていて、自分には関係がないと思ってしまう傾向があります。
(2)他人ともめたくない
事なかれ主義の人は、納得いかないことがあったり、自分の意見とちがうようなことがあったりしても、自己主張することを避けます。
自分が意見を言うと相手を否定したような形になって傷つけてしまうのではないかと恐れている人もいますし、他人とぶつかるのは精神的に疲れるので面倒だと思っているケースもあります。
(3)自分を守りたい
私たちには恒常性(体を一定に保とうという働き)という仕組みがあるため、変化していくことが苦手です。
問題が起きても「いつも通り大丈夫だろう」となかったことにしようという心理が働きます。
いつもとちがうことや問題などが起きると、自分の日常が脅かされてしまうと感じ、その恐怖から逃れたいと思います。
特に、傷つくことへの恐れが強い人は、「自分は悪くない」と思いたいので、問題を隠蔽しがちです。
(4)自分には無理だと思っている
問題の内容が複雑で、解決するためには何人もの関係者を巻き込まないといけないようなスケールの大きなものだと、「自分には対応できない」と思います。
また経験値が低くて、どうやって解決していけばいいのか目途が立たない場合も、問題から目をそらしがちになります。
自分の無力さを感じたくない、失敗したくないという気持ちが強いと事なかれ主義になりやすいです。