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なぜ彼は笑わないの? 「笑わない人」の心理とつきあい方

平松隆円(化粧心理学者)

よくしゃべりよく笑う女性に比べると、男性は寡黙で、感情表現があまり得意ではないという人は少なくありません。なかでもあまり笑わない人というのは、何を考えているのかがイマイチわからない。だからこちらもなんとなく近寄りがたく感じて、どう接すればいいのか迷ってしまう。でも、彼が笑わない理由がわかれば、その苦手意識も多少は払拭されるかもしれません。化粧心理学者の平松隆円さんと一緒に、“笑わない人”の内面をのぞいてみましょう。

「笑う」のは、霊長類であるサルやチンパンジー、そしてヒトにのみ、みられる行動と考えられています。

笑顔は人の魅力の源泉のひとつですが、世の男性の中には、“笑うことが苦手”な人や、そもそも“笑わない”という人も少なくありません。これには日本特有の背景も関連しているのかもしれません。

“男は三年に片頬”というサムライ文化

笑わない人

“男は三年に片頰”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「男がいつも笑っていると威厳が損なわれるので、めったに笑わないほうがよい」(『デジタル大辞泉』小学館)、“男は三年に一度だけ笑う”という武士の美学です。

日本のように年功序列や学歴序列が強い“タテ型社会”では、笑うことが抑制されるといわれています。 笑いには「快の笑い」「社交の笑い」「緊張緩和の笑い」などがありますが、序列が重視される縦型社会では、「社交の笑い」が必要ないんです。

“笑わない”は、やっぱりネガティブな印象に

笑わない人

冒頭で、“笑顔が人の魅力の源泉のひとつである”といいましたが、この魅力とは、そのまま好意(好き)に結びつきます。

笑顔の人に対して私たちは、“明るそうな人だな”と、ポジティブな性格を持っていそうだと考えます。反対に、笑わない人に対しては、“気むずかしそう”とか、“近寄りがたい”という印象を持ち、仲良くしたいという気持ちが起こりません

笑わないことは表情に乏しいともいえます。そうなると周囲は、彼が何を考えているのか、どんな感情でいるのかつかめません。

さらに、“もしかしたら怒っているのかな”と、ネガティブにとらえてしまいます。いずれにしても、人間関係(コミュニケーション)において、笑わないことは、あまりいい印象をもたれないでしょう。

なぜ笑わないの? 笑わない男性の心理

笑わない人

こうした日本特有の背景をふまえて、笑わない男性の心理について、くわしく考えていきましょう。

笑顔は、顔の筋肉を動かして作ります。表情を変えるためには表情筋を鍛える必要があるということは、あまり意識されません。モデルやアイドルなど“人に見られる仕事”の人なら、口角を上げる練習をするでしょうが、一般の男性でそれをやっている人はそう多くはないでしょう。

本人は笑顔のつもりでも、顔の筋肉が鍛えられていないために笑顔の表情を作れていない。だから笑っているように見えない、ということがあるんですね。

笑うタイミングがわからない

笑わない人

笑うのが苦手というのは、“どこで笑っていいのかわからない”という問題にも関係します。喜怒哀楽の感情は誰にでもありますが、それをどう表現するかは“後天的に学習されていく”という説があります

社会や文化がちがえば、必ずしも楽しいときやうれしいときに限らず、悲しいときや怒っているときに“笑う”という行動がとられることがあります。子どもの周囲にいる大人が、その社会で適切に笑顔になる状況にないと、どんなタイミングで笑顔になればいいのかわからずに成長してしまうんですね。つまり、笑わない人の周囲には笑う人が少なかった、ということもありうるでしょう。

“快の笑い”のハードルが高い。または“かっこつけ”

笑わない人

笑うことは別に苦手じゃない、笑うタイミングもわかっている、それでも笑わない、という人の場合はどうでしょうか。芸人さんたちの舞台で、観客のほとんどが笑っているのに、なぜか笑わない人がいますが、このタイプは「楽しい」「おもしろい」と感じる“快の笑い”のハードルが高いのかもしれません。

または、笑うことは「かっこわるい」、笑わないほうがクールでかっこいいと思っているのかもしれません。そんな人は、つとめて無表情をキープします。顔には出しませんが、心の中ではゲラゲラ笑っている、なんてこともあるでしょう。

“笑わない人”と、どうやってつきあえばいいの?

笑わない人

これらの“笑わない人”とは、どう接していけばいいのでしょうか。

大事なことは、あなたが“相手が笑わない”ことを気にしないことです。私たちはどうしても、相手の表情を反応として受け止め、コミュニケーションの量や質を変化させます。そうするように育ってきたのだから、当然といえば当然です。

そのため、相手が笑っていないと、「なにか怒らせたんじゃないかな」とか不安になったり、心配になったりします。普段は笑う人が笑っていないのならば心配も当然ですが、いつも“笑わない人”なら、気にすることをやめましょう。笑わない人のほうも、いちいち「大丈夫?」とか「なんかイヤなことあったの?」とか聞かれることに嫌気がさしているかもしれません。

笑顔は練習でつくれる

笑わない人

そうはいっても、笑わないのではなく笑えない、つまり“笑い方がわからない”という人もいます。あなた自身や、あなたのパートナーがそのタイプなら、“笑顔は練習で作れる”ということを覚えてください

先ほど表情筋の話をしましたが、笑顔は心の状態とは関係なく作れるということ。表情筋が鍛えられていなくて笑顔を作れないのであれば、その筋肉を鍛えて笑顔を作ればいいんです。

もうひとつは、笑いのハードルを下げること。ファンケンバーグという研究者が、“ユーモア育成プログラム”ともよべる、笑いのセンスを磨く方法を開発しています。ユーモアについて考え、遊びをとおして楽しい気持ちになることを体験し、恥ずかしいことにチャレンジして笑いを誘うなどの課題に取り組みながら、自分自身を笑えるように訓練し、ユーモアのセンスを身につけていく、というものです。

このように、訓練によって快のハードルを下げたり、笑顔を作ったりすることは可能です。だけど、笑わない人を避けたりしないでくださいね。けっして不愉快で笑わないのではなく、笑えないだけかもしれないんですから。

(平松隆円)

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※画像はイメージです

※この記事は2019年07月12日に公開されたものです

平松隆円(化粧心理学者) (化粧心理学者)

1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、タイ国立チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。日本やタイを拠点に、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。

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