「彼女に冷たくされた」とき、男性が思うこと
彼氏にイラッとしたときや、彼氏の愛情を量りたいとき。わざと冷たく接してしまうことはありませんか? しかし、やりすぎると逆効果になってしまう場合があります。この記事では、ロマンチックプランナーの朧さんに「彼女に冷たくされたときの男性心理」を解説してもらいました。
マイナビウーマン読者のみなさま、こんにちは。
ロマンチックプランナーの朧です。
まさか前回のふざけた原稿から2回目があるとは思わなかったんですが、今回は「彼女に冷たくされた」ときの男性心理について書け、とのオーダーです。
このお題、けっこう難しいと思いました。
というのも、恋人に冷たくされるような状況はもちろん多種多様だからです。
たぶん意味もなく恋人に冷たくされた瞬間の心理は、顔文字で表すとこんな感じではないでしょうか。
うっ(゚´Д`゚)゜。
これ以上でもこれ以下でもなく、男性心理もクソもありません。人間としてあたりまえの反応です。
と、早々に結論してしまうと身も蓋もない(原稿料がもらえない)ので、今回は女性側があえて「彼女に冷たくされた」を駆け引きとして使う場合の“適量”と“用法”について考えます。
いい感じにマイナビウーマンらしい趣旨と実用性になってきましたね。
果たして、恋人を悲しみで制裁することに意味や使いどころはあるのでしょうか。
キューブラー=ロスの5段階モデル
ところで――
精神医学では「悲しみ」や「ショック」を受けたときの感情の動きを「否認」→「怒り」→「取引」→「抑鬱」→「受容」の5つの段階に分けて捉えるそうです。
5段階モデルは、もともと病床にあるひとが死を受容するターミナルケアの文脈で使われていた概念なんですが、精神的なショックや悲しみから立ち直る過程でもよく引用されるものです。
詳細は適当にググってもらうとして、簡単に構造を説明します。
(1)まず最初に「否認」
たとえば大切なお皿を割ってしまったようなとき、その事実やお皿自体の価値を否定したくなる感情の動きです。
(2)次に「怒り」
受け入れがたい事実をまえに、自分や他者に原因や責任を見出して怒りによる反発で事実に対峙しようとする感情の動きです。
(3)次に「取引」
割ってしまったお皿を取り戻そうとして、あれこれ悪あがきを考えてしまう感情の動きです。
(4)次に「抑鬱」
割ってしまった皿を取り戻せないことを悟り、ひたすら悲しみに沈んでいる状態です。
(5)そして最後に「受容」
すべての悲しみを受け容れ、静かな諦念にいたった状態です。
たとえば、理由もなく「彼女に冷たくされた」ようなケースも、男性側の感情はこのようなプロセスを辿って収束(場合によっては終息)へ向かいます。
なので、女性側が男女の駆け引きの一手として「彼女に冷たくされた」を用いる場合、このプロセスを慎重に見極めたうえで彼氏をシバキ上げる必要があるわけです。
モデルケースから読み解く5段階モデル
今回はわかりやすいモデルケースを使って考えてみます。
週末の夜はだいたい彼氏と過ごすことにしていたAちゃん(31)。
今週は得意先との会食があり彼氏との予定をキャンセルしてしまいましたが、思ったより早く会食が終わり彼氏に連絡したものの、まったく電話が繋がりません。
しかし翌日、共通の知り合いのインスタのストーリーズに、クラブで女の子たちとウェイウェイお楽しみしている彼氏の姿が……。
とはいえ、 ここでいきなりキレるのもプライドが許しません。
そして月曜の朝、まだふつふつと静かな怒りが燃えるなか、彼氏から届いた「今週もお仕事がんばろうね~」という呑気なLINEに既読無視をかましたところから「彼女に冷たくされた」の状況開始です。
非常にありがちな設定ですが、今回はこの設定で彼氏のリアクションとあるべき対応を前述の5段階モデルに沿って読み解いていきましょう。
(1)まず最初の「否認」
これはクラブでウェイウェイかましていた件に対する“罪状認否”ではなく、男性側の「彼女に冷たくされている」状況に対する心理的な否認です。
このときに送られてくるLINEはたとえば、
「あれ、どうしたの~? 今日は忙しい??」
「そういえば、クリムト展そろそろ終わりそうだって」
など、若干の違和感を抱きながらもこちらの不機嫌に気づかないふり(=否認)をしているやつです。
もちろんここで態度を軟化させてはいけません。
彼女を差し置いてクラブあそびなどは言語道断、ハコによっては極刑も視野に入る重罪です。
ここはあくまでもこちらの不機嫌に気づかせたうえ、向こうからの歩み寄りを待ちましょう。
この圧倒的な戦術的優位こそ「彼女に冷たくされた」の強みです。
まれに本当に不機嫌に気づいていない鈍感な男もいますが、そのときはもう少し冷蔵庫で冷やした「彼女に冷たくされた」を繰り出していきましょう。
(2)次に「怒り」
いわゆる「痴話喧嘩」と呼ばれる状況に突入する段階です。
「なんかずっと既読無視されているけど、俺なんかしたっけ??」
「ちょっと話があるんだけどいい??」
男性側は、なぜあなたが冷たい態度なのか少しキレ気味に説明を求めてくるはずです。
こうなればしめたもので、なぜ彼が「彼女に冷たくされた」のか、ここぞとばかりに並べ上げましょう。
第一段階では相手の歩み寄りを「待つ」消極的なスタンスでしたが、第二段階ではわけもわからず感情的になりかけている相手に対してしっかりと言い分を準備して「迎え撃てる」ところがポイントです。
この優位は計り知れません。
ふだんは言い負けがちなひとにも逆ギレのカウンターボーナスが味方をします。
ここで相手を許して勝ちを拾うこともできますが、まだまだあなたの機嫌は直りません。
その場合はもう少しリスクをとって次の段階に進むことになります。
(3)第三段階の「取引」
彼氏の怒りを退けたうえ、さらに譲歩まで引き出したい場合はこの段階までシバキ上げたいところです。
聞けば、週末のクラブ活動は取引先に誘われてどうしても断れなかったとのこと。しかし、そのような代理店のヤリチンみたいな言い訳は決して許してはいけません。
「わかった、俺が悪かった。もう二度とクラブには行きません」
「ごめんね、もう絶対Aちゃん(31)を不安にさせるようなことはしないよ……」
このように思惑通りの言質を引き出せればしめたものですが、第三段階の「取引」はつまり「割ってしまったお皿をどうしても取り戻したい心理状態」なので、そこには当然、相手からの譲歩を引き出すための「取引材料」の存在が前提となります。
さきほどリスクと申し上げたのはそこで、要するに別れをチラつかせるなどの禁じ手を使うことになるわけです。
(4)第四段階の「抑鬱」
この段階はもう、喪失や悲しみを「避けがたいもの」と認識して全力で雨に打たれている状態です。
ここまでシバキ上げると、さすがに彼氏もお通夜みたいな顔でポエムツイートを垂れ流しているはず。
大好きな人に酔って寂しくなって電話をかけたら、どうやら彼女の心をえぐるとても酷いことを言ってしまったらしく絶縁されてしまった、クソなのは何を言ったか会話の記憶が全くないこと、100%俺が悪いんだけど完全に覚えがない、俺みたいな人間は誰かを愛さずに孤独に死んでいくのが一番いいんだと思う
? はるゆき (@haru_yuki_i) June 16, 2019
こんな感じのやつですね。痛すぎてとても見ていられないやつです。
制裁としては明らかに“適量”をこえています。
相手の譲歩さえまったく容認できない、という場合をのぞいて、「彼女に冷たくされた」でここまでシバキ上げる理由も“用法”もありません。
けれどもこの「抑鬱」の段階は、実は悪用することもできます。
それは、相手を自分に依存させたい場合です。
度を超えた制裁を与えて許すことは、「相手の尊厳を破壊しながら同時に救済者にもなる」ということで、要するに悪質で巧妙なマインドコントロールです。
彼氏側に助言するのは本記事の趣旨とは違いますが、これは男女を問わず、すみやかに(5)の「受容」に進むべき段階です。
(5)最終段階「受容」
この段階までくると、完全に相手の気持ちは離れているので「彼女に冷たくされた」が成立しません。
端的にいうと、相手を振った状態です。~Fin~
わざと彼氏に冷たくする意味
以上、モデルケースを使って「彼女に冷たくされた」を5段階モデルに沿って読み解きましたが、お気づきでしょうか。
あなた側から見た「彼女に冷たくされた」の“適量”と“用法”は、一貫して強者側の目線で書かれています。
意図的に彼氏に用いる「彼女に冷たくされた」はつまり、気持ちの高低差を利用した地形戦なんですね。戦術的には。
効果的だからこそ封じなければならない。
そもそも優位だったものが、さらに優位をとること――。
これがわざと彼氏に冷たくする意味です。そして、まったく無意味です。
くだらない駆け引きするんじゃねえよ
いや、いいと思うんですよ?
ちょっと機嫌を損ねてへそを曲げてしまう女の子。かわいいですよね。大好きです。
ただ、そのような振る舞いが許されるのは「四捨五入して二十歳になる女子まで」という法令も忘れてはいけません。
マイナビウーマン読者のボリュームゾーンを占める誇り高いアラサー女性には決して許されない振る舞いなのです。
とはいえ、どうしても、先週金曜から音信不通のクズ彼氏には言いたいことがある。
わかります。ほんとうによくわかります。
そのような場合は? そのような場合はどうすればいいのか?
音信不通のクズ彼氏には、言葉が通じないことも多々あります。
しかしそれでも、わざと冷たくするような駆け引きは無用です。
言いたいことをそのまま、言えばいいのです。
ただし、感情で語るのではなく、感情を語ること。
あなたがクラブで女の子と遊んでいたこと、やきもちを焼いています。
自分の感情を率直に言語化できることが、アラサーの女性に期待される「嗜み」なのかもしれませんね。
(朧)
※画像はイメージです
※この記事は2019年06月27日に公開されたものです