家に泊まりにきた彼ママが「やらかしたこと」 #彼ママ事件簿
「彼ママ」……それは幸せな結婚をつかむために、必ず攻略しなければいけない壁。いわばラスボス。知られざる彼ママの生態や攻略法を知って、彼とのゴールインを目指そう! 彼氏だいちゅき乙女・ぴぴ子(27歳)が、毎回ひとりゲストを招き、彼ママとの間に起きた珍事件を教えてもらいます。
登場人物
ぴぴ子(27歳):付き合って3カ月目の彼氏が盲目的に好きすぎる乙女。いつか結婚できると信じてプロポーズを待ち続けている。素直で愛嬌があるが、たまに失言をしてしまう一面も。
今回のゲスト・すなお(26歳):ぴぴ子の大学時代の後輩。仕事はペットトリマー。謙虚すぎる性格から、高校卒業アルバムの「謙虚だと思う人ランキング」1位に輝いた過去を持つ。
ぴぴ子:マイナビウーマン読者のみなさま、こんにちは♪ ぴぴ子です。来月はバレンタインですね。市販品もいいけど、ぴぴ子はやっぱり手作り派! ということで、彼にとびきりのチョコを作る予定です。フフフ。
すなお:あの、ぴぴ子さん……。この棺桶はいったいなんですか?
ぴぴ子:棺桶だなんてひどーい! これはバレンタインチョコレート用の型だよ。等身大の私の全身サイズで特注したの。
すなお:えっ、そうだったんですね。棺桶とか失礼なこと言ってごめんなさい……。
ぴぴ子:私の型をとってチョコレートにしようと思うんだけど、どうかな。彼、喜んでくれると思う?
すなお:えっ⁉ あ、そうですね……。
ぴぴ子:だよね~! すなおちゃんは彼氏にどんなチョコをあげる予定なの?
すなお:私はクッキーを焼く予定です。
ぴぴ子:へ~! 彼、クッキー好きなんだね。
すなお:いえ……チョコだと溶けて手や服が汚れるかもしれないので。
ぴぴ子:えぇ~そんな理由で⁉ すなおちゃん、大事なのは「キ・モ・チ」だよ。気持ちがあれば、手や服が汚れようと彼も喜んでくれるよ!
すなお:キモチ……。そうですね。気持ちをうまく伝えていれば、今ごろ彼とギクシャクしていなかったかもしれないです。
ぴぴ子:あら、喧嘩中なの?
すなお:はい。年末年始、彼ママが原因の大事件が起きてから、ずっと彼が冷たくて。
ぴぴ子:彼ママめ、愛し合う2人の仲を引き裂くなんて! いったい何をされたの?
すなお:私、去年から彼と同棲をはじめたんです。お互い年末年始は仕事なので帰省せず、2人で年を越す予定でした。そんなとき、彼ママが遠方から遊びにくることになって……。彼から「俺たちの家に泊めてもいいかな?」って聞かれたんです。
ぴぴ子:彼ママが同棲中の家に泊まりにくるのかぁ。ぴぴ子だったら承諾できないかも。
すなお:そうですよね。でも、断ったら彼に嫌われちゃうかなって……。
ぴぴ子:う~ん、その気持ちもわかる。
すなお:彼ママとは、まぁまぁ仲がよかったんです。何度か実家にお邪魔したとき、私のことをかわいがってくれて。
ぴぴ子:すなおちゃん、謙虚だもんね。
すなお:だから、彼ママのことを考えたらホテル代もかかるし、1泊くらいならいいかなと思って承諾しました。でも、駅に彼ママを迎えに行ったとき「今日から8泊9日お世話になります。よろしくね」って言われて……! 実は12月29日から1月6日まで、ずっと泊まるって話だったみたい。
ぴぴ子:1泊と8泊とじゃワケがちがうわよ! 彼はなんて?
すなお:「タダでおいしいごはん作ってもらえるし、別にいいじゃん」って。
ぴぴ子:なんなのそれ!? 彼はいいかもしれないけど、気をつかうこっちの身にもなってほしいわよね。
すなお:今思えば、本当に盲点でした。
ぴぴ子:すなおちゃん……。
すなお:家中に虫除けを撒いて虫の侵入を防いでいたのに、まさか彼ママという虫に侵入されるなんて……。
ぴぴ子:彼ママを虫にたとえるのはやめて! それで、結局どうなったの?
すなお:渋々ですが、3人で9日間暮らすことにしました。でも、日を追うごとに彼ママの嫌なところが目についてきて。たとえば、洗面台に落ちた髪の毛を処理しないとか、お風呂上がりにババシャツ姿で歩き回るとか。
ぴぴ子:あー、地味に気になるやつ。
すなお:それだけじゃありません。とある日の早朝、布団で仰向けになってウトウトしている私の顔の上をババシャツ姿でまたがれたときは、おいしそうな料理を眺めているときに目の端に虫を見つけた瞬間と同じ心地がして、一気に目が覚めました。
ぴぴ子:すなおちゃんの中で、虫同然の存在になってしまったのね……。
すなお:いちばん迷惑だったのが、7日目の夜。仕事で疲れた私は、彼氏と彼ママよりも早く寝ることにしたんです。2人にも「先に寝ますね」と伝えて、寝室に入って布団にダイブしたそのとき。隣の部屋から、大音量のヘビーメタルが……!!
ぴぴ子:深夜にヘビメタ!? ロックにもほどがある!!
すなお:実は、彼と彼ママは大の音楽好き。特にヘビーメタルが好きなんです。だからって、私が寝ようとしているときに大音量で流しはじめるなんて……!
ぴぴ子:さすがにそれは怒ったわよね?
すなお:はい。私も記憶が曖昧なんですが、何分待っても音楽が鳴りやまず、怒りが頂点に達して「うるせえええええ!!」と隣の部屋に押しかけて叫びました。寝転がって音楽を聴いていた2人は飛び起きて呆然。あとで、彼に「あんなに血走った目のすなおは見たことがない」と震えた声で言われました。
ぴぴ子:血走った目で叫ぶすなおちゃん、ちょっと見てみたい。
すなお:「ババシャツ顔またぎ」は私だけに迷惑がかかるのでいいですけど、深夜の騒音は近所にも迷惑がかかりますからね。2人は私に謝って、音楽を止めてくれました。……でもその一件があってから、彼が冷たいんです。
ぴぴ子:冷たいというか、すなおちゃんの意外なギャップに怯えているんじゃない?
すなお:はあ、私が我慢すればよかったのかなあ。
ぴぴ子:間違ったことを指摘したわけじゃないし、気にする必要ないよ。こんなときこそ「キモチ」を伝えなきゃ!
すなお:キモチ……。
ぴぴ子:ちょうどバレンタインも近いし、すなおちゃんの気持ちをチョコに込めてみたら?
すなお:たしかにそうですね。ちょっと落ち込んでいたんですが、大事なことに気づけました。チョコレートで私の気持ちを伝えてみます!
ぴぴ子:うんうん!
すなお:ババシャツで顔をまたがれたときの私の気持ちを「虫型のチョコ」に込めて……彼ママに贈ります!
ぴぴ子:気持ちを伝えるって、そっち!?
すなお:はい。彼ママだからって、いつも言いたいことを我慢していたので!
ぴぴ子:バレンタインの主旨ってなんだっけ……。読者のみなさんは、すなおちゃんの真似はしないで、素敵なバレンタインを過ごしてくださいね~!
(文:パンジー薫、イラスト:まめ)
※登場人物の設定は一部フィクションです
※この記事は2019年01月20日に公開されたものです