600匹のクワガタと、ひとりの芸人が住むところ #彼がおうちに帰ったら
職場のデスクはキレイなのに家の中は汚いとか、仕事ではよく話すのにプライベートでは無口とか。外で見せる姿と、おうちで見せる姿には必ずギャップがあるもの。
前回に引き続き、今回は若手お笑い芸人のおうちに潜入! 写真で見る感じ、なかなかカッコよかったし、ワクワクが止まらない! さて、早速イケメンのお部屋にお邪魔しちゃいましょう。
「ただいま。……こんな感じでいいっすか?」
あれあれ? 本当にお笑い芸人? めちゃくちゃ静かすぎる! しかも写真で見た雰囲気と大分ちがうような……?
趣味はコレクション。お部屋にはカードや野球グッズなどがたくさん
お笑い芸人ってことは、さぞかしお部屋は特徴的なはず……って、物がめちゃくちゃ多い。この壁に飾ってあるこのカードは……遊戯王?
「遊戯王のカードが大好きなんです! この絵柄はもはや芸術だと思いませんか?」
急に元気になった! そしてキャラも濃い! 芸術的センスは私にはわかりませんが、その勢いでいきましょう。カード以外にも、アニメのタオルや野球のポスターなども貼ってありますね。昔から物を集めることが好きなんですか?
「できるだけ物を捨てたくないんですよね。もらったものや買ったものは全部取っておくから、保管用の部屋を別に作りたいくらい……」
それは物を捨てられない人がよく使う言葉です。ていうか、タバコの吸い殻くらいせめて捨てて。灰皿がパンパンだよ!
芸人らしいものをやっと発見
あ! 見てくれと言わんばかりに、堂々と置いてある「ネタ帳」発見! かなりびっしり書かれていますね……。はじめて芸人らしい姿を見ましたよ。ネタは、三森さんが考えているんですか?
「全部自分が考えています。でも相方がなかなかセリフを覚えてくれないんですよ」
え、芸人としてかなり致命的じゃないですか!
「本当は覚えてほしいんですけどね(苦笑)」
それでお笑いが成り立ってるのがすごい。
約600匹のクワガタ・カブトムシとの共存生活
それより、この部屋少し暑くないですか?
「この部屋、冷房がないんですよ。夏は40度くらいにもなるので、本当に過酷。隣の部屋が比較的涼しいので、移動しましょうか」
暑さに弱いので、お言葉に甘えさせていただきます。でもなんだろう。なぜかさっきから鳥肌が止まらない。体が危険信号を発しているような。
「ここがクワガタとカブトムシを育てているお部屋です」
……!?
とんでもない数いますよね?
「幼虫も入れたら、600匹とかいますよ。成長段階もそれぞれちがうので、ラベルで管理しています。もともと小学生のときからクワガタとかカブトムシが好きで、大人になってひとり暮らしをはじめたときに、ペットがほしくて飼っちゃいましたね」
600匹!?
いやいや! 絶対こんなにいらないから‼
「最初にクワガタの幼虫を飼いだしたら、驚くことに100匹繁殖しちゃって。幼虫を管理していたら次々と増えてしまったんです。もともと都内の1Kに住んでいましたが、クワガタたちが増えるにつれ、自分の寝るスペースがなくなり、今の2DKの家に引っ越しました」
ジワジワと侵略されている……。恐るべし、虫の繁殖力。ちなみに、これ1匹いくらですか?
「その子は今一番気にかけている子で、『フルストルファーオウゴンオニ』です。1匹約10万円近くしますね」
えっ? 今なんて?
「はじめて購入するときは躊躇しましたけど、今は10万円でも抵抗ありません」
高すぎ‼ 10万円のクワガタを手に乗せるくらいなら、私は10万円の札束を握りしめたい!
そういえばずっと気になっていたんですけど、天井にはりついているコレって……?
「コバエキャッチャーです」
今、小さい“なにか”が、口の中にブーンと飛び込んできた気が……。
「気をつけてくださいね」
1匹32万円の虫を買ったことも。彼と虫の共存生活
「慣れって怖いんですよ。お金に余裕が出てきて、1匹32万円くらいのクワガタを買ったこともあります。今までクワガタに使った総額は、100万くらいかな……」
うん、慣れって怖い! だって、私もだんだん驚かなくなってきたから。むしろここまでくるとおもしろいくらい。冷静に言いますけど、32万円は一般的なお給料以上。三森さんは一体いくら稼いでいるんですか?
「バイト代は、月12万円くらい。生活に困ったらクワガタたちを売って、お互い支え合っています。たとえば10万円のクワガタ・カブトムシを繁殖させて、幼虫3匹を1万円で売るとか! つまり30匹売れば、元は帰ってきます」
ペットを売りさばいているよ、この人。本業のお笑いでは、どれくらい稼いでいるんですか?
「5,000円もらったらめちゃくちゃお給料稼いだ! っていう感覚なので、全然稼いでないですよ。お笑いだけで生活できるのが一番いいんですけど(笑)。
え!? もはやお給料というより、おこづかいに近いですよ。絶対、虫を買ってる場合じゃないですって。
「正直苦しいけど、芸人が楽しいので続けています。でもあの600匹のクワガタたちが、僕を地上波TVに出させてくれたんですよ」
虫たちがお金を稼いで、虫たちがお笑いを後押ししてる。もはや、クワガタが一家の大黒柱じゃん!
(文・取材:マイナビウーマン編集部、撮影:前田立)
※この記事は2018年11月27日に公開されたものです