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若者の結婚離れが深刻に? これからの結婚のあり方とは

にらさわあきこ(文筆家、美容研究家)

結婚する必要性は? 今後の結婚との向き合い方とは

とはいえ、「そもそも結婚をする必要があるのか?」と感じる人もいるでしょう。そこで、結婚することのメリットやデメリットが一般にどうとらえられているかを見ていきましょう。

結婚のメリット

多くの既婚・未婚男女を取材してきた印象で言うと、結婚するメリットは、以下の3つだと考える人が多いようです。

自分の家族ができる

「子どもがほしいので結婚したほうがいいのかなあと思う」(36歳・男性)と子どもを結婚の動機に挙げる人が大多数ですが、「将来のことを考えるとずっとひとりは嫌」(28歳・女性)という声も多いです。

一人前になれる

一昔前に言われていたような「結婚してやっと一人前」という世間的な評価というよりは、自分自身が「なんのために生きるのか、働くのかを体感できた」というようなイメージを言う人が多いです。

精神的に安定する

「家族がいる安心感は何物にも代えがたい」(36歳・女性)、「今までキリキリしていたのが嘘のように安定した」(37歳・女性)という意見に代表される「心の平穏」や「安心感」などのことです。

結婚のデメリット

続いてデメリットを見てみると、以下の3つがよく挙げられます。

時間の自由が失われる

「時間の自由」とは、「仕事で1日を費やして、土日は趣味や勉強をしたいけれど、結婚するとそれができなくなる」(25歳・男性)というように、「好きなことができなくなる」「自由に時間配分ができなくなる」ことへの怖れです。

経済的な自由が失われる

「趣味にお金が使えなくなる」(38歳・男性)「結婚したら都心に住めなくなる(通勤が大変になる)」(25歳・女性)という声のほか、「コスパ意識」から結婚を避けようとする人たちもいるようです。ただし、これらは「経済的に安定したら結婚したい」という思いの裏返しでもあって、「いつかは結婚したい」と考える男女が多いこともつけ加えておきましょう。

子育てが大変

結婚率が高かった時代に比べると、核家族化や女性の社会進出が進んだことから、「子どもを育てる大変さ」を挙げる人は相当数います。実は結婚したい理由のメインは、昔から「子どもがほしいから」が1位です。しかし、今どきは「子どもを育てる大変さ」をさまざまなメディアで見知っている人が多いだけに、「仕事を辞めなければならないかもしれない」が、「収入も多くはないし……」と子育てを結婚のデメリットととらえる気持ちが芽生えやすいのかもしれません。

今後の結婚のあり方とは

現実の社会状況を見ていると、結婚離れが進んでいくのは先進国に共通する大きな流れで、抗えるものではない気がします。ただ、結婚の形態や、結婚に代わる「つながりのあり方」を模索する人は増えてきていますし、その息吹も聞こえはじめています。たとえば、結婚の形態で言えば、何度も結婚する人が増えていたり(2015年の国勢調査では全婚姻数のおよそ3割が、片方または両方の再婚)、事実婚や同性婚を選ぶ人、未婚のままシングルマザーの道を選ぶ人たちも数を増しています。

また、結婚という形でなくても、単純に「人と暮らす」ということで言えば、シェアハウスはこの5年でぐんと増えてきていますし、ひとり暮らしを経た後に実家に戻るシングル男女も実は増加しています。
さらに、50代以上の結婚は未婚・再婚共に増えてきていますから、今後は、これまでの概念にとらわれない「つながり方」や「結婚のあり方」を選ぶ人が増えていくのかもしれません。

次ページ:個人の認識が結婚離れを変えてゆく

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