ビジネスシーンで「アウトプット」というキーワードがピックアップされる機会がありますが、そもそも「アウトプット」がどういうものなのかよく理解していないという人もいるかもしれません。
ビジネスにおけるアウトプットの意味や方法とは? 今回は、キャリアカウンセラーの小野勝弘さんにくわしく解説しもらいました。
■アウトプットの意味とは?
ビジネスのアウトプットとは、その人が発揮した「成果・評価・数字」を指します。
キャリアにおいては、「以前と比較したとき自分がどれだけ成長できたか」「自分が見据えている目的・目標にどれほどアプローチできたのか」。それらをアウトプットと捉えるのがふさわしいでしょう。
というのも、アウトプットは同じ状況であっても、個々によって解釈や受け取り方がちがってくるためです。
数字でわかる成果から「やり遂げた!」と自分を褒める人もいれば、数字は上がっても「目標には達していない」と不満を抱く人もいます。
さらに踏み込んで言えば、目に見える数字を上げるとともに、それぞれの働きがいにもつながること。それが、アウトプットの根底と捉えることができます。
◇アウトプットに繋がる「インプット」とは?
ビジネスにおけるインプットとは、ビジネスの目的を果たすために知識を取り入れることを指す場合が多いでしょう。
その知識とは、問題そのものの解決手段であったり、チームビルディング(目的・目標達成のためのチームを作ること)であったり、資格の取得であったりします。
一方、このほかにキャリアコンサルティングの視点からすると「内的な動機」に気がつくことこそが、大事なインプットであるとも考えられます。
内的な動機といわれてもピンとこないかもしれませんが、つまり自分は何を目指しているのか、何をやりたいのか、このようなことに目を向けるのです。
ビジネスでは自分自身を充実させるために、自分のやりがいをインプットすることが重要ともいえます。
■仕事におけるアウトプットの重要性
では、アウトプットはビジネスにおいてなぜ重要視されるのでしょうか?
◇ライフプランの軸が作られる
必ずしもそうなるわけではありませんが、社会に出て活躍している女性たちには、結婚をしたり、出産をしたり、ライフプランに大きな変化が訪れることも珍しくありません。
働く女性のアウトプットは、このような結婚・出産などのライフプランとは切っても切り離せないものであるといえます。
それはなぜか。
アウトプットを意識して自己効力感(自分の可能性の認知)を高めていくこと。これがライフプランに左右されず、女性がキャリアを構築するために必要となってくるからです。
現状では、このようなライフプランの変化によってキャリアを断念せざるを得なくなっているケースもあります。だからこそ、自身にできることを見つめ直しておく必要があるでしょう。
☆自己効力感とは?
先ほど説明した自己効力感が何かよくわからないという人向けに、この言葉をもう少しくわしく解説していきます。
よくあるシチュエーションを紹介しましょう。
結婚まで事務の仕事をしてきて、同じ給料をもらっている2人の女性がいるとします。
ひとりは「毎日事務の仕事をしておりました」、もうひとりは「事務作業でしたが、ほかのスタッフは平均100件だったところを、私は150件処理していました」とアピールしました。この場合、後者の女性のほうが誰からも認められるというのはいうまでもありません。
このように、自分自身をきちんとアウトプットして、そこから得た事実を自分自身の言葉にできるのは、周囲から認められることはもちろんですが、自分自身を認めることにもつながります。そしてそれこそが自己効力感になるのです。
さらには、そこから自分のやりたいことが見えてくるはずです。
■仕事におけるアウトプットの方法
上手なアウトプットは、自身のライフプランにも大きな影響を与えるということ。では、具体的にその方法を見ていきましょう。
◇(1)アウトプットの目的を言語化する
「言語化する」というと、文章にしてしたためるイメージが浮かんでくるかもしれません。
しかし、文字にするという表面的なことではなく、ここでは自分自身の言葉で伝わるようにすると意味合いになります。どのような目的のために働いているのか、ここで成果をあげることにどんな意味があるのか、このようなことがわかっていないとアウトプットが難しくなります。
自分の心のうちにとどめるのではなく、言葉にしたほうが自分にとっても咀嚼しやすいはず。だからこそ、言語化することが大切なのですね。
◇(2)メモを残す
メモをとることはアウトプットとして効果的です。
たとえば、自分自身が研修や実地で経験したことをアウトプットに移そうとする場合、どこか記憶が抜けてしまっているのではないか、そもそもこの通りにできるのか不安になり、一歩が踏み出せなくなりがち。
そのときのメモを確認することができれば、内容を忘れることもないですし、経験したことを追体験することも可能になります。
◇(3)周囲を巻き込む
アウトプットは個人でやるものという概念にとらわれる必要はありません。
仕事に関わらないプライベートなアウトプットであれば、似た目標を持つ人とコンタクトをとって一緒に取り組んでもいいでしょう。
仕事で結果を出したいのなら、社内のスタッフと連携してアウトプットをしてみるのも効果的。声を掛け合うことでよりよい仕事ができるのはもちろんですが、「手伝って」と言えることこそ、成長した証でもあるのです。
◇(4)目標とゴールは明確にする
目標とゴールの概念は似ていますが同じではありません。ゴールとはより具体的な数値を意味します。
「ある目標のために数値をここまでアップさせたい」、というように明確にしてみてください。アウトプットをするときに一目瞭然となるのは数値。どれだけ自分の成長を実感していようとも、他者から数値をみて失敗ととられるのであればそれは失敗です。
このように目標とゴールを分けて明確に決めておけば、周囲の人たちも評価しやすくなります。また、達成時に自己成長と現実をきちんと自身でも認識できるようにもなるのです。
◇(5)アウトプットから学ぶ
アウトプットから、さらにインプットの項目を見つけだすことも重要。つまり、成果を学びにチェンジするということです。
プラスになるアウトプットはプラスになるインプットでもあります。
自現在のゴールにしばられることなく、長期的な視点で見据えることが大切です。したがってアウトプットして終わりではなく、同時にインプットの意識を持ち続けることをおすすめします。
アウトプットをしてキャリアとライフプランを見つめ直そう
仕事の中でアウトプットすることで、自分自身のキャリアアップを図れることがわかりました。
このアウトプットは女性のライフプランとも密接な関係にあります。結婚・出産を迎えるにあたって、アウトプットをしているかいないかでは、その後のキャリアが大きくちがってくるでしょう。
キャリアにおいても人生においても、自分自身の目標を達成できるように、インプットとアウトプットを繰り返して自分を徹底的に見つめること。それこそが自分自身の成長と成功につながるはずです。
(文:小野勝弘、構成:藤奈子)
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