お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

仕事の不安で眠れない? 解消する方法を心理カウンセラーが解説

小日向るり子

三浦一紀

会社に行くのがツラい、仕事がうまくいかない……。働いていれば、不安で押しつぶされそうになる夜もありますよね。できれば仕事から離れてリフレッシュしたいところですが、働かなければ生きていけないという現実があります。そこで、仕事の不安を解消して気持ちよく働くためのコツを、心理カウンセラーの小日向るり子さんに教えてもらいました。

仕事の不安にどう向き合う? ケース別不安解消法

仕事の不安と一口に言っても、さまざまなパターンがあると思います。そこで、代表的な仕事上の不安について、小日向さんからアドバイスをもらいました。

周囲の人間が気になるケース

自分はがんばっているつもりでも、同僚のほうが成績がよかったり評価されていると感じたりすると、不安になってしまいますよね。そのほかでも、社外の友だちなどの話を聞くと、自分の状況と比較して不安になることもあります。このようなときはどうすればいいのでしょうか。

自分としっかり向き合ってみる

「周囲が気になる」というタイプの人は、仕事以外のことにおいてもまわりの目が気になることが多く、誰かと比較して落ち込むことも多くあります。このような思考になる理由は、自分の軸が確立されていないから。自分の軸を確立するためには、「自分はどういった人格であるか」を分析し、それを受け入れるか、改善するかという作業をしていく必要があります。

たとえば、周囲が気になるという心理の底には、以下2つのいずれかの感情が隠れています。

(1)人に負けたくないという勝ち負けの心理
(2)自分は劣っているという自己肯定感の低さ

(1)のタイプは「同僚に負けるはずはない」と思っているので、(2)のタイプとは真逆の性格、つまり、感情として「不安」という形で表れていても、深層には真逆の心理が隠れているのです。まずは、自分の感情はどのような性質によるものなのかということを分析します。そして、その思考を受け入れたほうがよいのか、改善したほうがよいのかを検証していきます。

(1)のタイプの場合、人より優位に立ちたいという心が仕事のモチベーションになることも多いため、この性質そのものは大切にすべきだと言えます。しかし、この性質が強すぎることが苦悩につながっているのであれば、改善が必要です。必要ない部分にも勝敗意識を持ち込んでいるということはありませんか?

(2)のタイプの場合、すべてが劣っているということはありえません。なぜなら、仕事で収入を得ているということは、社会に貢献しているということだからです。しかし、自信が持てないという不安が拭えないのは、仕事において自分の強みを見い出せていない可能性があります。自分の強みは謙遜せずに、きちんと認めてあげましょう。強みはわかっているけれども悩んでしまうという場合は、今の会社では活かす場所がないと感じているのかもしれません。それならば転職すべきという結論になります。

周囲の人間が気になるという不安は漠然とした感情ですが、自分の心としっかり向き合うことで解消していけるものです。ひとりで解決するのが難しい場合は、専門家と一緒に解消していくという方法もオススメです。

うまくいかないのではないかと不安になるケース

自分ではベストの力を出しているつもりでも、成果が出ないのではないかと不安になることも。また、周囲から見たら十分な結果が残せているのに、自分で不十分だと感じて不安になるということもあります。このような場合はどうしたらいいのでしょうか。

自分が完璧主義者であることを認める

このタイプは、完璧主義者に多く見られます。「私は完璧主義者ではない!」という人ほど完璧主義者であるということはよくあることです。自分ではベストを出したと思っているのに常に不安が拭えない人は、まず自分が完璧主義者、あるいはその傾向があるということを認めましょう。

完璧主義者であることは自分自身も疲れますが、実は周囲の人たちも疲弊させてしまいます。「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉があるように、特に会社においては何事も「すぎる」ことは、協調性を乱すことにつながりかねません。仕事においても完璧を求めすぎる姿勢は緩和していくべきです。

解決策としては、まず完璧主義思考を仕事に向けるのではなく、「時間」に向けてみてください。たとえば「今日は19時で退社する」と決めたら、仕事が途中でも必ず19時で退社をするのです。会社で一斉定時退社日がある場合は、それ以外にも週1日は自分で退社時間を決める日を作るなど、無理のないところからはじめてみましょう。仕事の完璧さを退社時間の完璧さに転換していくのです。そうすると、次第に仕事における力の抜き加減がわかってきて、バランスが取れてきます。

また、完璧主義者の人は、仕事が終わった際にやり足りなかった10%に目を向けて、そこを完成させようとしてしまいます。そうではなく、やりきった90%に意識を向けて、それを自分自身で認める癖をつけていきましょう。

怒られるのが怖いケース

仕事でミスをした場合に、上司に責められるのではないかという不安が押し寄せ、結果的に仕事でベストが出せないということもよくあります。怒られないようにしていたつもりが、結果的に怒られてしまうことにつながるというのは悪循環ですね。このような場合の対処法はどういうものでしょうか。

「上司に怒られてもいい」と自分に許可を出す

これは心理学用語の「予期不安」の一種と考えられます。予期不安とは、起こっていない未来の不安におびえることです。予期不安が大きくなりすぎると、本来のパフォーマンスを発揮できなかったり、悪化すると、やるべきことすらできなくなってしまったりすることもあります。

そんなときに考え方を変えるマジックワードがあります。それは「上司に怒られてもいい」という言葉です。「怒られたらダメだ」と自分に禁止令を出すことで、ますます不安が大きくなっていくもの。なので、逆に「怒られてもいい」と自分に許可を出してあげるのです。

上司に怒られるということに限らず、自分自身に「ダメ」という禁止令を出し続けることは精神衛生上よくありません。不安感情が強い人は、特に自分自身に対して「いいよ、OKだよ」という言葉をかける習慣をつけてください。怒られてもいいのですから、実際に怒られてもOKなのです。そう考えれば、仕事が終わったら好きなことをする前向きな気力もわいてくるでしょう。言葉はパワーです。ネガティブな言葉ばかりを自分に投げかけていては、私生活を楽しむパワーがどんどんなくなってしまいます。ポジティブワードをかけ続けてあげることを意識して生活しましょう。

将来への不安があるケース

女性が仕事を続けていく上で、結婚や出産といった人生のイベントはもちろん、会社内での出世など、将来について不安を感じることは多々あると思います。このような将来の不安を打ち消す方法はあるのでしょうか?

将来の不安は「今」解決しなければならない

まず、将来に対して不安があるということは、「今」解決しなければならない課題があるということを理解してください。たとえば「今の仕事は満足だけど、必ず数年後に転勤がある。そのとき付き合っている彼との結婚はどうなるのか」「昇進すると給与は上がるし、さらにやりがいのある業務につくことができる。しかし、忙しくなるので出産のタイミングが難しくなる」といった不安は、先延ばしにしても解決するものではなく、むしろ不安が大きくなっていくばかりです。つまり、不安が自意識として現れたときが、解決のために動くべきときだということ。したがって、まずは「この不安を解決するために動く」という覚悟を決めてください。

実は、覚悟した時点で不安の半分はなくなっています。残り半分の不安の解決策として、パートナーや夫、家族といった話し合うべき人がいる場合は、その人に話をしましょう。自分自身の出世など、自分一人で決断できるものは自分自身を見つめてください。友人や信頼できる同僚、カウンセラーといった第三者に相談するのはその後です。ネットなどで情報を集めたり質問したりするのはあくまで参考程度に。むしろ、人の意見に振り回される傾向にある人は、絶対にしないでください。不安解決のために向き合う人は誰か、その当事者を見極めてしっかり向き合うことが大切です。

次ページ:不安は解決しなければ残ってしまう

SHARE