くうねるところにすむところ研究室 #04 キッチンの模様替え
暮らしにまつわるあれやこれやの実験を日夜、繰り返す。食べること、つくること、本を読むこと。全部が繋がって、染み込んで、続いていく毎日が健やかで楽しくなっていってくれたらと願っています。よりよく生きていきたいへなちょこ研究員、チェルシー舞花の連載。
こんにちは、チェルシーです。
くうねるところにすむところ研究室4回目。
あたたかくなってきましたねー。いままで、食べものの話しかしていないぞ、と今さらながらに気がつきました。今回はすむところ、の話。
身の丈にあった、住まい
中村好文『普通の住宅、普通の別荘』。
シャーロックホームズのように、一筋縄では解決できそうにない難問が舞い込む建築家・中村好文の今まで建ててきた家のこと。
300ページのハードカバー。中村さんの手がけた個人住宅を写真家の雨宮秀也さんがそこに流れる空気感まで見事に切り取っていて、見応えがあります。繰り返し手にとっている一冊。
『私が無意識のうちに目指していたのは、人々が目を瞠り、誰もが話題にせずにはいられない「特別なもの」ではなく、気張りもしないし、気取りもしない。背伸びもしないし、萎縮もしない。無理もしないし、無駄もしない。それでいてまっすぐに背筋の通った「普通のもの」でした。』———まえがきより
すべての家が、シンとした透明な空気とあたたかさに包まれている感じ。
建築家として、後世に名を残してやるぞという意気込みで固められた建築ではなく、そこに住む人や家族の暮らしの動きにあわせて、そっとそこに建っているような。それでいて茶目っ気があって、チャーミング。中村さんの人柄がじわじわと細部に滲み出ている感じ。
実際に家を建てた人からの言葉もあって、往復書簡を覗きみてるようでもあり。
私なら、なんてお願いするだろうか。
キッチンは、道具が全部手の届くとこにあって、日の当たる縁側がほしい。隠れ家みたいな読書スペースがあったら最高だなー。暖炉やオンドルもいいなあ。
「身の丈にあった、住まい」を繰り返し解く、中村さんの佇まいがとても好き。
あとはこの本で知った、たくさんの入口。
吉村順三、アールト、コルビュジエの「小さな家」、古道具の店「坂田」、鴨長明の方丈記、ヘンリー・D・ソローのキャビン、篁光太郎の炭焼き小屋……。
そして、中でも「ほー」とさせられたのは中村さんの建築事務所のスタッフが休暇を過ごすための小屋「LEMM HUT(レム ヒュッテ)」。屋根で集めた水を生活用水に使い、ソーラーパネルと風力によって発電して、必要なすべての電力を賄う。エネルギー自給自走の実験をしているんだそう。
働く小屋。
気分一新してみる
さて、ここいらで今の自分の部屋を心地よくするのは、どうですかね。と、あちこちを見回して思案する。
今のキッチンの床、なんというか、肌色って感じでなんかヘンテコだし、すぐへこんでしまうし、こぼした汚れは取りにくい。
それならと手洗いできるマットが敷いてある状態。
マットが汚れたら風呂場でじゃぶじゃぶ洗い、ベランダまですかさず運んで、ダラダラと濡れた床をタオルでふいていったりきたり、なんてことに疲れてきた。
試行錯誤していたんですが、ついにここらで気分一新。床材のシートを買いました。
模様替えの実験
雑誌の企画で、壁紙を貼るワークショップに参加して、簡単に壁紙を貼れると知ったのも手伝って、部屋の模様替えって案外と気軽に始められるのかも、と思っていたところで。
アメリカのおばあちゃん家のキッチンみたいな床になる。やった。
筒状にくるくるっと巻いて届きました。私が買ったのは80×90cmのもの。
切って貼って、つなげていきます。面積の計算、久しぶりにしました。
シートの裏に強力両面テープ、その上にマスキングテープを重ねて、キッチンの床にはマスキングテープの粘着面がつくようにしています。意外としっかり頑丈につくし、引っ越しのときに頭を悩ませる現状復帰もなんのその。
マスキングテープなので、軽やかに剥がせます。
ペタペタと単純に貼ったらよかったんですが、意外と見えないところに小さな段差があったり、パネルシートの柄がかっちり合うように、端をまっすぐ2mm切るなどの微調整をはじめてしまったので、2日かかってしまった。
はー、つかれたー。でも掃除しやすくなって、大変満足。
それでは、ここらへんで。
次もやっぱり、ごはん
中村さんが本の中で、「料理は人生を何倍も愉しくする生活技術だよ」と言っていたので、次もやっぱり、ごはんの話になりそうです。
では。
(チェルシー舞花)
※この記事は2018年04月11日に公開されたものです