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人とちがうことをしたほうがおもろい。NONSTYLE井上裕介のポジ人生 #Lifeview

あこがれの人、がんばってる人、共感できる人。それと、ただ単純に好きだなって思える人。そんな誰かの決断が、自分の決断をあと押ししてくれることってある。20~30代のマイナビウーマン読者と同世代の編集部が「今話を聞いてみたい!」と思う人物に会って、その人の生き方を切り取るインタビュー連載【Lifeview(ライフビュー)】。

NONSTYLE井上裕介さんはかっこいい。
お世辞でも、冗談でもない。約30分にもわたる取材を終えて、私は心の底からときめいた。

自分から「漫才をやめよう」とは絶対に言わない

「20代前半のときに、借金が300万円くらいあったんですよ。ふくれあがった理由は、ベタにギャンブル、生活費、先輩は後輩に奢るという芸人界の意味わからんルール(笑)。当時は給料もびっくりするほど安かったので、まったく金がない状況でした。幸い、漫才のショーレースで賞金を獲れて、借金は返済できましたけどね」

十数名のスタッフがぎゅうぎゅうに詰まった、とある取材現場。テレビで聞くよりもずっと野太い声で、井上さんは唐突に過去の借金話をはじめた。「これはヤバい話を引き出してしまったかもしれない」と私は一瞬ひるんだ(現場の空気もシュッとなった気がした)が、井上さんは豪快に笑いながら話を続けてくれた。

「そんなつらいこともありましたけど、絶対に漫才コンビは解散しないって決めてました。俺が石田(相方)を漫才に誘って、引きずり込んだから。あいつが『やめよう』って言ったらやめるかもしれないけど、俺から言うことは絶対にないです」

NONSTYLEといえば、全国にその名を知らない人はいないであろう人気漫才コンビ。井上さんの“ナルシストなブサイクキャラ”が大ウケしたのが、つい最近のことのように思える。

「2008年のM-1グランプリで優勝したあと、これからもテレビに出続けるには個性が大事だと気づいて、自分の見た目をネタにする芸風に変えたんです。俺らにとって第一優先はウケることやから、抵抗とかはなかったかな。それやったらスベるほうが嫌ですよね(笑)」

とはいえ、井上さんは“よしもとイチのモテ男”としても知られている。ブサイクキャラなのに、モテる? 私はこの取材を通して、その不思議なギャップも紐解いてみたかった。

M-1二連覇を目指したのは、誰もやっていないことだったから

NONSTYLEが大ブレイクした最中、ひとつだけ不思議なことがあった。漫才界の誰もがうらやむ“M-1王者”という肩書きを手にした彼らは、それで満足することなく、翌年も同じステージに挑戦したのだ。優勝したコンビが2年連続で出場するのは、M-1の歴史上初めてのことだった。

「プレッシャー? もちろんありましたよ(笑)。でも、誰もやっていなかったことがやりたかった。『今まで優勝したコンビがやってないことって何やろ?』って考えたときに、浮かんだんです。これをやったら歴史に名を残せると思ったから」

2008年M-1王者の、2009年の結果は3位だった。井上さんは当時を振り返って「挑戦したはいいものの、やっぱり心の余裕がなかった」とうつむき顔で語る。そんなプレッシャーを覚悟しながらも、彼は「誰もやったことがないことをやる」という道を選んだのだ。

悪口を言われても、空気洗浄機のようにキレイにして返す

「誰もやったことがないことをやる」という信念は、彼自身のSNSでも同様にあった。

「昔、Twitterに一般の方から誹謗中傷コメントが来て、喧嘩している芸能人が多かったんですよ。俺のところにもたくさん来ましたね(笑)。でもそんなとき『じゃあ人がやっていないことをやろう』と思って、あえてポジティブな返しをするようにしたんです。悪口をいったん俺の中で受け入れて、空気清浄機のようにキレイにして返す」

「バーカ、シネ、カス」というコメントが届けば、「この文章を作っている時間で、誰かにやさしくできますよ!」と返す。「井上おもしろくない」と言われたら、「俺じゃなくて石田をおもしろいって思ってくれたら、それでいいよ!」と返信する。この斬新な切り返しがネット上で話題を呼び、井上さんのポジティブマインド指南書まで出版された。

「もともとポジティブな性格ではあったけど。言ってしまえば、これもM-1と同じですよね。みんながやっていないことのほうが、話題にもなるし、おもろいし」

人とちがうことをするなんて、相当勇気がいると思う。それで失敗するかもしれない。世間から白い目で見られるかもしれない。当たり前のように大学に入って、就職して、いつもレールからギリギリ外れないくらいの道を歩いている私にとっては、その考え方がうらやましくて仕方なかった。くしゃっとした満面の笑顔を向ける井上さんが、ものすごくかっこよく見えた。

つい正直に「かっこいいですよね」と本音を伝えたら、「じゃあ今夜どう?」と冗談を言われて、思わずついていきそうになった。危ない危ない。ブサイク芸人である彼が“よしもとイチのモテ男”と呼ばれる所以が、この30分間でわかったような気がした。

(編集・文:高橋ちさと/マイナビウーマン編集部、撮影:前田立)

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