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【妊娠出産のウソ&ホント】1度帝王切開したら、自然分娩はできないってホント?

尾西芳子(産婦人科専門医)

ヨダヒロコ/六識

将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!

「帝王切開で赤ちゃんを産んだら、次の分娩も自動的に帝王切開になる」というのはよく聞く話。だけど中には「自然分娩をしたことがある」という人も……。だけど、いきんだタイミングで傷がひらく危険性はないの? 実際のところはどうなのでしょうか。今回は、そんな帝王切開にまつわるウソ&ホントに迫りました!

本日の「ソボクな疑問」

Q.1度帝王切開したら、自然分娩ができないってホント?

<読者の声>

・自然分娩でいきんだら、帝王切開の傷がひらいてしまいそう……。(26歳/情報・IT/事務系専門職)
・ひとり目が帝王切開だと、次も帝王切開だと聞いた。(27歳/運輸・倉庫/販売職・サービス系)
・自分の母親は、帝王切開で私を産んだが、弟は自然分娩だった。(29歳/機械・精密機器/技術職)
・帝王切開後、年月が経てば可能だと思う。(31歳/金融・証券/事務系専門職)

尾西先生のアンサーは!?

答えは……
ホントです!

基本的にはできません。なぜなら、帝王切開をすると子宮の切った部分が弱くなってしまうので、分娩の際、子宮の収縮に耐えられず、そこから赤ちゃんの手や足が飛び出してしまう「子宮破裂」を起こす危険性があるからです。実際、子宮破裂まではせずとも、2人目や3人目の帝王切開でおなかを切ると、傷のある部分から赤ちゃんの頭や羊膜が透けて見えていることもよくあります。

また、子宮破裂は、妊娠中に胎児が大きくなる圧に耐えられず起こることも。妊娠30週を超えてくると、緊急で運ばれてくる方もいます。ですから、帝王切開の場合は、出産予定日より早く、妊娠37~38週で行うことがほとんどです。

そして、帝王切開をした部分は手術すればするほど薄くなっていくので、より子宮破裂の危険性は高まります。さらにおなかも、一回切ると腸などと癒着してしまい、次回の手術が行いにくくなることもあります。そういった理由で、帝王切開での出産は3人までと決まっています。ですから、3人目を出産した方については、これ以上妊娠しないように、事前に同意を得て、手術のときに一緒に卵管をくくってしまうこともあります。

ただ「自分の母親は、帝王切開で私を産んだが、弟は自然分娩だった」というコメントにあるとおり、たしかに、帝王切開後に自然分娩をするケースはゼロではないのです。「TOLAC(トーラック)」といって、自然分娩にチャレンジさせてくれる病院もあります。それが可能なのは、分娩室の隣に手術室があるなど、かなりの緊急時に対応できる施設に限られています。

ちなみに、おなかの傷に関しては、いきんだときに傷口がひらくということは基本的にありませんので、ご安心を。ひとり目は帝王切開だったけれど子どもは4人以上ほしいなど、どうしても自然分娩をしたい場合は、リスクを踏まえた上で、出産方法を考えてみてください。

(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2016年12月24日に公開されたものです

尾西芳子(産婦人科専門医)

高輪台レディースクリニック副院長

日本産科婦人科学会会員
日本女性医学学会会員(専門医)
日本産婦人科乳腺学会会員

神戸大学国際文化学部卒業後、山口大学医学部学士編入学。慈恵医大病院、日本赤十字社医療センター、済生会中津病院の勤務を経て、都内の産婦人科クリニック勤務。2017年7月、高輪台にて開業。

妊娠・出産から、婦人科がんの手術、不妊治療と広く学び「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と女性のすべての悩みに応えることのできる女性のかかりつけ医を目指す。モデルの経験を活かし、美と健康に関する知識も豊富。Webの連載をはじめ、TV、雑誌、講演会で活躍中。

オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/

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ヨダヒロコ/六識

女性向けライフスタイル情報誌&Webサイトの編集者を経て、 2013年に制作プロダクション「六識」をスタート。「働く女性が笑顔でいられる生き方を応援したい」という想いで、グルメや美容、マネー、恋愛・結婚をテーマにした記事の構成~執筆を行う。2児の母として、時短グッズの情報収集に余念がない。仕事・家事・育児に追われる日々の中、月に一度のネイルが癒しに。

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