【妊娠出産のウソ&ホント】出産を経験したら生理痛がなくなるってホント?
将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!
妊娠から出産まで生理がなくなり、産後しばらくして再開するというのは、多くの女性が知っていることですが、先輩ママからは「生理痛がなくなった」「軽くなった」なんて声を聞くことも。生理トラブルを抱えている未婚女性にはうれしい情報ではありますが、本当のところはどうなのでしょうか? 今回は、産後の生理にまつわるウソ&ホントに迫りました!
本日の「ソボクな疑問」
Q.出産を経験したら生理痛がなくなるってホント?
<読者の声>
・生理痛が軽くなると聞いたことがある。(25歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・婦人科系の悩みが解消されると聞いたことがあります。(29歳/小売店/販売職・サービス系)
・貧血がなくなり、リズムよく生理がくるようになる。(31歳/情報・IT/技術職)
・母は生理が軽くなったらしい。(31歳/学校・教育関連/秘書・アシスタント職)
尾西先生のアンサーは!?
答えは……
「う~ん」です!
たしかに出産を機に「生理痛がなくなった」という声はよく聞きます。しかし一方で、「ひどくなった」という人もいるんです。また、生理の量が増える人もいれば、減る人もいるなど、出産後の生理の様子には個人差があります。
生理痛が軽減されるメカニズムとしては、2つの要因が挙げられます。ひとつは、出産によって子宮の入り口=月経血の出口が広がるため。生理がはじまると、不必要な子宮内膜が月経血となって体外に押し出されるのですが、その際に起こる子宮の収縮が生理痛です。つまり、出産で入り口が広がると出血もスムーズになるので、収縮も少なくて済みます。その結果、産後に生理痛がなくなったと感じるのです。
もうひとつは、出産の際にゆるんだ骨盤が自然と正しい位置に戻ったためだと考えられます。でも逆に、出産後に授乳や抱っこで不自然な体勢を続けることで骨盤が歪んでしまい、生理痛がひどくなる人もいます。
生理の量も、やはり人によってまちまち。生理が再開する時期には個人差があり、早い人は2~3カ月で再開します。その時期はまだ子宮が大きいままですから、量が多くなる可能性があります。また、もともと量が少なかった人は妊娠・出産によってホルモンが整い、人並みの量になったゆえに、増えたと感じることもあるでしょう。一方、少なくなったと感じる人は、授乳中で排卵がない状態なのかもしれません。その場合は、授乳をやめて排卵が戻ってきたタイミングで、妊娠前と同じ量に戻ります。
「婦人科系の悩みが解消される」という読者の声についても、病気によってよくなるものもあれば、変わらなかったり、むしろ悪くなったりするものもあるため、一概に解消されるとは言えません。たとえば子宮内膜症は、妊娠中のホルモンの変化で症状が軽減されることはありますが、子宮筋腫は、悪化することはあっても、よくなることはありません。
そして「貧血がなくなり、リズムがよくなる」という意見ですが、これは妊娠によって生活スタイルが変わったことが関係していることもあります。それは、ダイエットのしすぎや、ストレスの多い生活を送っていた人が、妊娠を機に健康に気を使い、規則正しい生活に変えた結果、貧血や生理不順が改善されたということ。逆に、子育てのストレスで痩せたり疲労がたまったりして、生理が乱れてしまう人もいます。
このように、出産によって生理の調子が変わることは多々ありますので、産後、自分の生理に変化があるかないかを確認することが重要。ですから、未婚女性も妊娠前から自分の生理の量や周期、また婦人科系の病気がないかどうかなど、コンディションを知っておくようにしましょう。
(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.19)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※次回の更新は7月9日(土)です。お楽しみに!
※この記事は2016年07月02日に公開されたものです