【ぐっどうぃる博士×朝井麻由美 彼の不可解な行動4】ケンカばかりするのはイヤ! 彼氏に「話し合いがしたい」と言うと逃げられるのはなぜ?
男性と女性では脳に違いがあるために、考え方や行動が異なるとよく言われています。理解不能な彼氏の行動や、好きな男性の態度は、単なる脳の違いによるものなのか、それとも何か隠された事情があるのか? そんなわけで、オトコが本当に考えていることを知るため、おひとり様代表・朝井麻由美さんが恋愛カウンセラーのぐっどうぃる博士に疑問をぶつけます!
今回の相談者:シーナさん(31歳、金融・証券、事務系専門職)
彼氏と話し合いをしたいのに、逃げられたり黙りこくられたりでうまくいきません。過去には、「話し合いをしたい」と言ったことが原因で別れたこともあります。話し合いのできる男性はどうやって見つければ良いのでしょう?
“彼氏が話し合いに応じてくれない”理由は得しないから!
朝井麻由美(以下朝井):恋人との「話し合い」で、男性が逃げるということですが、この「話し合い」は、彼氏とのお付き合いでの問題を解決するためのものですよね。例えば、あんまり連絡をくれなくて寂しいから、「一日に連絡を取る回数はどうする?」と相談の場を設ける、とか。
ぐっどうぃる博士(以下博士):そうでしょうね。
朝井:なぜ、“彼氏が話し合いに応じてくれない”ということが起こるのでしょう?
博士:一言で言えば、話し合いをしたところで、男性に何の得もないからです。
朝井:というと?
博士:第一回目でも言いましたが、タラ・パーカー=ポープ著『夫婦ゲンカで男はなぜ黙るのか』(NHK出版)には、「研究によれば、夫婦げんかの80パーセントは妻がはじめる」と書いてあります。
僕の感覚でも、話し合いの多くは、女性がもちかけてきます。
朝井:ん? 待ってください。「話し合い」と「喧嘩」は別物ではないですか? むしろ、「今後、喧嘩をしないための話し合い」なのではないでしょうか……?
博士:いい質問ですね。その本の同じページにこう書かれています。「夫か妻か、どちらかが会話をはじめなければならないとしたら、話を切り出すのは たいていの場合妻である」。また同じページに「女性のほうが、問題を解決しようとして感情に訴えるリスクをとりやすい」とも書かれています。
これを簡単にまとめると、夫婦においては、たいていの場合女性から「話し合い」を始める。そしてそれは、「今後、喧嘩をしないための話し合い」かもしれませんが、結局のところ、妻が感情的になっていて、それが喧嘩の種を作っていることが多いということです。
朝井:なるほど。
博士:僕が思うに、女性が持ちかける話し合いの内容は、結局のところ「もっと会ってほしい」「もっと連絡がほしい」「部屋を片付けてほしい」「正社員になってほしい」「結婚を考えてほしい」「ムダ遣いはしないでほしい」「もう少しおしゃれになってほしい」「デートの時間に遅れないでほしい」など、応じたところで男にとって何の得もない、女性が自分の欲求を満たすためだけのものです。
朝井:うーん。つまり、「話し合い」を持ちかけているのではなく、多くの場合、「ダメ出し」をしているということですね。
博士:彼女にしてみれば、恋人なら当然すべきことをしてほしいと言っているだけだったり、男ならあるいは大人なら普通にできることをしてほしいと言っているだけだったりするのでしょう。でも、こんな話し合いなら、男性は逃げ出すか、別れを選ぶでしょうね。
朝井:たしか第一回で、女性は恋人と「きちんとしたパートナーになること」を望んでいて、男性は女性に「日常や現実を忘れるためだけの存在」を望んでいるから、「きちんと相手に向き合わない」ということが起きるとおっしゃっていましたね。
博士:そう考えています。多分、相談の女性も相手にきちんとしたパートナーになってほしいと望んでいるのでしょう。
実は、話し合いに応じる男性にも要注意!?
朝井:ただ、それってつまり、男性は、女性に自分の落ち度を指摘されてムッとして、向き合わずに逃げる、ということですよね。
博士:正確には「落ち度」ではなく、「女性からみた落ち度」ですね。
ちなみに、話し合いに応じる男性もいるにはいますが、目の前の男性が話し合いに応じているように見えても、安心できません。
朝井:話し合いができたとしてもダメなんですか? 八方ふさがりですね。
博士:恋愛経験の少ない男性が、目の前の女性に執着している時、その女性の期待に答えようと頑張ることがあります。話し合いに応じ、全ての欲求を満たそうとするわけです。
これまで遅刻していたなら、遅刻はしなくなり、連絡があまりなかったなら、連絡をたくさんし、汚かった部屋はきれいに片付ける。
朝井:素晴らしいですね。
博士:ここで起きがちなことは二つ。一つは、さらに女性が彼への要求をエスカレートさせるというもの。もっと楽しい会話をしてとか、ゴミの分別をちゃんとしてとか、もう少しおしゃれしてほしいとか。
あるいは、男性によっては、時間がたつと元どおりになってしまう。つまりは再びデートに遅刻をし、連絡が減り、部屋も散らかってくることがある。このようなことが起きると、また女性に「話し合いで決めたのに、何でできないの?」と責められる。
朝井:なるほど。ですが、この場合、「話し合って決めた約束」を破ったのは男性側です。明らかに男性が不義理をしています。
博士:おっしゃる通りなのですが、もともとこの男性は、遅刻をしないことや、連絡を頻繁にすること、部屋を片付けることができないわけです。また、心の底では、それらを重要とも思っていない。だから放っておくと自然に元に戻ってしまう。
恋人同士の約束というのは、「相手に無理にさせられた」という感覚があると僕は思っています。約束をしないという選択肢が男性に与えられていないのです。
いずれにしろ、男性からすれば、頑張りに頑張りぬいても、彼女に認められず、ダメ出しをされていくと、ついに「俺は彼女を幸せにできない」「俺は男として無能だ」「ほかの完璧な男と付き合った方いいんじゃないか?」と考えて、彼女と距離を置いたり、話し合いに応じなくなったり、彼女に別れを告げるということが起きる。
朝井:めんどくさ……!
博士:恋愛ではこういうことがよくあるのですが、この一連の流れの初期の段階なら、「話し合いができる男性」と女性は思いそうですよね?
やがて、彼女はその男性に突然振られるわけですが、まだその女性は気づいていない。あるいは男性が惰性で付き合っていても、「この人は結婚相手ではないな」と思ったりする。この人と結婚すれば、牢獄にはいるようなものだなと感じますからね。そうなると結婚という段階になったときに振られるわけです。
朝井:なるほど。
博士:そのような「話し合い」で辛い経験をした男性は多いのですが、彼らは次の恋愛では、話し合いを避けるようになる。「話し合いを持とう」と言ってくる女性を、怖いと思ったりする。
「話し合いができる男性」はセックス至上主義の可能性も
朝井:想像以上にメンタルが豆腐なんですね。では、男性ときちんと話し合うのは、一切合切あきらめるしかないのでしょうか? 話し合いができる男性は存在しないんですか?
博士:まったくいないわけではありません。それは、恋愛関係や、女性についてきちんと研究している男性。たとえば、ジョン・グレイ博士などによる「男女の違い」について書かれた本を読むと、女性からの話し合いへの対処法が書かれています。
男性は、女性が何か言ってくると、責められているのだと感じ、防衛体制に入ります。そして言い合いになってしまう。でも女性は決して男性を責めているわけではありません。男性に不満があったとしても、その不満を全て吐き出せば、彼の良いところを思い出し、男性の望む落ち着いた話ができるというようなことが多くの例とともに書かれています。
朝井:それが男女の違いかどうかは別にして、男性がパートナーである女性をよく知ろうと努力すれば、「話し合い」をうまくいかせるでしょうね。
博士:ええ、そう思います。
ちなみに、アービンジャー インスティチュートによって書かれた書籍『自分の小さな「箱」から脱出する方法』では、人が争いになるのは、相手の言葉を攻撃と受け取ることから始まるというようなことが、わかりやすく書かれています。そういう意味では、相手の言葉を攻撃と受け取るというのは、男女の違いではないかもしれませんね。
朝井:そうですね。逆に女性も、男性から何か指摘されたら、言い方によっては「攻撃」と感じて傷つくことがあるかもしれません。そう考えると、冒頭の相談者さんも、話し合いの持ち掛け方や言い方などで、話し合いをうまくいかせる努力ができるように思ったのですが、いかがでしょうか?
博士:ええ、その通りだと思います。
男性側の話に戻りますが、じゃあ、「話し合いができる男性」とはどういう男性なのか。これは、「恋愛で2度と味わいたくない痛い経験をしたにもかかわらず、まだ女性と付き合いたいと考えている男性」とか、「話し合いを持ちかけてくるうっとうしい女性を、どうしても思い通りにしたい男性」でしょうね。そこにはセックス至上主義の男性も多く含まれるでしょう。
朝井:出ましたね。博士の論にしばしば出てくる、セックス至上主義の男性。
博士:セックス至上主義の男性は、女性にモテることや、女性と体の関係を持つことのためなら、努力を努力とも思わない男性です。
朝井:ということは、女好きで浮気症の男が、女性から見て、「きちんと話し合いができる男性」ということですかね?
博士:ええ。彼らがその女性を思い通りにしたいと思っている限り、女性が彼らと話し合いをすると「彼は話し合いができる男性だな」と思うでしょう。
朝井:言い換えると、彼らがその女性に興味を失えば、話し合いに応じなくなるってことですか?
博士:はい。その通りです。でも、セックス至上主義の男性は全てが不誠実で浮気性というわけではありません。確かに、セックス至上主義の男性は、女性にモテるため、女性と体の関係を持つため、「世の中の男性たちに羨ましいと言われそうな女性」と付き合うことを使命と考えている男性なのですが、その中に浮気などはせず、一人の女性を大切にしようとする男性もいるのです。
朝井:ほう! 女性の望むことすべてができて、しかも一人の女性を大切にする男性? それって理想的じゃないですか? どこにいるんですか? そんな人。
博士:それは典型的な「勇者の物語」に例えて説明するとわかりやすいかもしれません。
朝井:勇者の物語? ドラクエなどのRPGですか?
博士:ええ、そうです。典型的な勇者の物語を話すと、まず「弱い普通の人」がいます。誰にも相手にされない弱者です。それが長年の辛い修行を経て力を持つ。ここで「未熟な勇者」になります。「未熟な勇者」は、自分の持つ力に自らが魅了され、手当たり次第にその力を試そうとするし、その力によってくる人たちに、横柄な態度で接したりする。「未熟な勇者」は、いわば、その力に振り回されるということです。力によって他人も自分も傷つける。
朝井:勇者のつけた力=「モテスキル」や「女性の扱い」で、手あたり次第にこの力を試そうとして、あらゆる女性に手を出す、ということでしょうか?
博士:そうです。この時期は、自分のためだけにその力を使う時期とも言えるでしょう。
ところが、その力で心から痛い思いをしたり、自分も強く傷ついたりすると気がつきます。「力は自分のために使うべきではない、他人のために使うべきだ」と、あるいは「愛する人のために使うべきだ」かもしれません。そうしないと、自分が孤独になり、何もかも失うからです。そうして「真の勇者」になるわけです。
朝井:つまり、男性には「普通の人」「未熟な勇者」「真の勇者」という3つの時期があるのですね?
博士:そうです。「未熟な勇者」や「真の勇者」になれるのは、多くの場合セックス至上主義の男性ですが、全員が真の勇者になるわけではありません。一生普通の人で終わったり、未熟な勇者で終わる人もいるでしょう。
朝井:だとすると、「未熟な勇者」とうっかり付き合ってしまうと、最悪ですね。
博士:最悪です。
朝井:未熟な勇者と付き合うのはできれば避けたいですが、見抜くコツはありますか?
博士:未熟な勇者は何につけても未熟なので見抜きやすいです。たとえば彼らは「たくさんの女性と付き合うことを自慢」します。モデルと付き合ったことがあるなど、女性をブランドとしてみていて、それを自慢するでしょう。
未熟な勇者は、周りの人が「あの人は女好き」「あの人には近づかないほうが良い」と助言をするでしょう。また、彼らは、「女性慣れしているにもかかわらず、度を超えたサービスで、女性の希望を満たそうとします」。冷静な視点で見れば、病的だと感じるかもしれません。
一方で真の勇者は、落ち着いています。女性慣れはしているし、その女性を大切にするけど、その女性を人生の最優先にしているわけではありません。たくさんの女性と付き合うことを自慢するのは恥ずかしいと思っています。「常に新しい女性を探している」という行動はとっていません。嘘をつかず、見栄を張らず、欠点を隠さず、一方で欠点を女性を落とす道具にもせず、等身大の自分を見せるでしょう。衝動的な行動や、刹那的な振る舞いをせず、長期的な視点を持っています。「最近モテはじめた」というわけではなく、モテてから5年くらいは経っているでしょう。
朝井:真の勇者を見つけると、女性は安心できそうですね。
博士:真の勇者は、それを見抜く大人の女性にモテます。多くの場合、市場に出る前に、同じ職場の女性などに取られてしまうでしょう。
朝井:どうすれば良いのでしょう?
博士:お教えしたいところですが、結構ここまで話すのに長くなってしまいましたね。
朝井:……まさかいつものように、次の機会とか?
博士:ええ、そうなりますね(笑)
【まとめ】
1)話し合いは、たいてい女性が男性を思い通りにするために発せられる。
2)話し合いに答えようとして頑張り、答えきれずに女性から逃げてしまう男性がいる。
3)2の経験をした男性は、女性の話し合いを恐れることが多い。
4)恋愛経験の痛みから女性を大切にすることを学んだ男性(真の勇者)は、女性の話し合いにきちんと応じる男性と言える。
5)真の勇者は女性を大切にするが、最優先にはしない。
(構成:ぐっどうぃる博士、朝井麻由美)
次回は4/26(火)更新予定です。お楽しみに!
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※この記事は2016年04月19日に公開されたものです