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「家族のあり方は自分たちで決める」、“主夫”について考えるワークショップ開催

男性が家事や育児を担う“主夫”に関心がある独身の男女のためのイベント「『主夫志望男子』と『働き女子』のための『ハッピーワークショップ』」がこのほど、ポプラ社(東京都新宿区)で開催されました。専業主夫家庭の夫婦によるトークショーも行われ、主夫に関心のある独身の男女が集まり、リアルな主夫家庭の話に耳を傾けました。 

トークショーを行ったのは専業主夫歴18年の佐久間修一さん(48)ときよ子さん(40)夫婦。夫婦そろってのトークショーは初めてということで、この日は3歳の息子もステージに上がり、家族3人でトークショーに臨みました。

18年前、病気になったことをきっかけに専業主夫になったという修一さんは、専業主夫になった当時を「男性が働かない状態がよく思われていなかった。『穀潰し』と言われたこともある」と振り返り「(主夫になろうと)気持ちをすぐに切り替えたわけではない。やっぱり男は働くもんだという考えが頭にあった。主夫になって2年間くらいは妻を送り出したあとにスーツを着て家事をしていた」と葛藤があったことを明かしました。

修一さんの気持ちが切り替わったのは「妻が優秀で収入が上がり、自分が働くことを模索するよりはこの人のバックアップに徹したほうが収入も上がるのではと思った」ことといい、「それで髪も金髪にしました。妻のバックアップに徹しようと決意した証です」と自慢の頭を見せて会場の笑いを誘っていました。

一方、妻のきよ子さんは「(修一さんが病気になって別れを切り出されたときも)離婚という選択肢はなかった」と話していました。

トークショーを終えた修一さんは「家族のあり方は自分で決めていいっていうふうに、『こういうふうにあるべき』とか『こうあらなければならない』というのは終わっている。自分たちの家族のあり方を自分たちで決められて、決めたことに対してまわりからああだこうだ言われることのない時代になればいいと思う」と希望を語りました。

イベントを開催した主夫のネットワーク「主夫の友」CEOで兼業主夫の堀込泰三さんは「夫も兼業主夫で妻も兼業主婦という家庭を増やしていきたい。お互いに押し付けあうのではなく、どちらも自分ごととして家事をやるのが大事。夫婦どちらか片方に負担がいくとやらされているようにしか感じない。お互いが自分ごととして家事をやることで感謝の気持ちが出てくると思う」とコメント。

「主夫の友」メンバーの兼業主夫歴7年の放送作家・杉山ジョージさんも「自分が主夫であるかどうか」は「意識の問題」と指摘し「主夫を名乗るまでは家事を手伝っている感覚で、どうしてこんなに家事を手伝っているんだろうって思ってたけれど、自分が“主”って思ったら妻に『家事をちょっと手伝って』と言えるようになった」と話し、家事や子育てについて当事者意識を持つことを訴えていました。

イベントに参加した20代の女性は「大学で家族社会学を勉強して、家族の多様性に関心がある。いろいろな家族の形があっていいし、いろいろな生き方が受けいれられる社会になれば」と話し、20代の男性も「いろいろな選択肢があって、選んだ選択肢に対してまわりも非難するのではなく『がんばれよ』と応援したり、わかり合えない部分があることをみんながわかっている社会がいいですね」と感想を語っていました。

イベントは、「女性の社会進出を3割増やすなら、男性の家庭進出も3割増やす」ことを掲げる主夫のネットワーク「秘密結社 主夫の友」が、慶應義塾大学SDMハッピーワークショップとポプラ社の協力のもと開催。今回のイベントの内容は、ジャーナリスト、相模女子大学客員教授で「主夫の友」顧問も務める白河桃子さんのポプラ新書新刊『「専業主夫」になりたい男たち」(2016年1月刊行予定)に一部収録される予定です。

(堀池沙知子/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2015年11月09日に公開されたものです

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