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医学博士に聞く! 寝る前にピッタリのカフェインレスコーヒー、味や効果ってどうなの?

栗原久

夜、なかなか寝つけない、途中で目が覚めてしまう、眠っても眠った気がしない…。厚労省の調査では、日本人の5人に1人が睡眠で悩んでいるという調査結果が出ています。そんななか、一般的に、コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェイン飲料を寝る前に摂取すると、カフェインの覚醒作用で眠れなくなることから、できるだけ控えることが推奨されています。

けれど、きっとみなさんのなかには「コーヒーが大好き!」という人も多いことでしょう。ぐっすり眠るために制限されると、ストレスがたまってしまうものです。そんなときは、コーヒー好きでも我慢しなくていいカフェインレスコーヒーが活用できそうですが、その効果や活用法、飲み方のコツなどは気になるところです。

そこで、カフェインに詳しい、東京福祉大学医学博士 神経行動薬理学 栗原久教授に、カフェインレスコーヒーにまつわる素朴な疑問をぶつけてみました!

カフェインレスコーヒーのデメリットはない? 素朴な疑問を医学博士が解決!

カフェインレスコーヒーと普通のカフェイン入りコーヒーの違いを教えてください。

「カフェインレスコーヒーとはカフェインを90%以上カットしたコーヒーのことで、デカフェとも呼ばれています。水に浸すなど特殊な方法でカフェインを取り除いた豆で淹れたコーヒーで、いまはスーパーや大手コーヒーショップなどでも見かけることが多いです」(栗原教授)

カフェインレスコーヒーは、カフェイン入りコーヒーと味と香り、おいしさは変わらないのですか?

「カフェインレスコーヒーは味が薄い、おいしくないなどのイメージがありますが、そんなことはありません。カフェインは無臭で、やや苦味がある成分ですが、その他の苦味成分は残るので、カフェインを取り除いても味や香りが大きく変わることはありません。
最近は味覚を数値化する機械がありますが、銘柄の同じカフェイン入りコーヒーとカフェインレスコーヒーを測っても、味にほとんど差がないという試験結果もあるようです」(栗原教授)

カフェインレスコーヒーは、どんな人におすすめなのでしょうか?

「カフェインレスコーヒーは、妊産婦や高齢の方に特におすすめです。EFSA(欧州食品安全機関)の報告では妊産婦の方でも200mg(コーヒー3杯程度)までは問題ないとされています。一方、短期間にかつ過剰にカフェインを摂りすぎると、胎児や乳児に影響する可能性もあるので、カフェインレスであれば安心して飲むことができます。
また高齢の方については特に睡眠時にメリットがあります。人間は年を重ねるとだんだん眠りが浅くなっていくものなので、睡眠前にカフェインを摂るとさらに眠りが浅くなってしまう恐れがあります。カフェインレスを選んでおくと、眠りへの影響の心配がなくなるので、コーヒー好きの高齢者にはおすすめです。
そういった意味では、カフェインレスコーヒーは睡眠を妨げないので、一般の方にとっても、寝る前におすすめの飲み物です」(栗原教授)

カフェインレスコーヒーのデメリットを教えてください。

「味、健康への影響など、デメリットといえるものは特にありません」(栗原教授)

不眠の人にピッタリ!? カフェインレスコーヒーの睡眠への効果

先ほど高齢者の部分でも触れられましたが、栗原教授によれば、カフェインレスコーヒーは、眠りに良い効果をもたらす作用もあるそうです。

「カフェインレスコーヒーには、当然、覚醒作用をもたらすカフェインが入っていないため、寝る直前に飲んでも眠れなくなることは少ないでしょう。また、コーヒーの香りにはリラックス効果があり、脳がリラックスしていることを表すα波が出ている状態が実験でも確認されています。カフェインレスコーヒーなら入眠に支障をきたさないだけでなく、香りも通常のコーヒーと変わらないので、例えば夕食後の飲み物に選べば、よりリラックスできると思います。
またカフェインを取り除くだけなので、カフェイン以外の成分である“コーヒーポリフェノール”によるものと考えられている、“糖尿病リスクの低減効果”はなくなることがないといわれています」(栗原教授)

これで解決!カフェインレスコーヒーの上手な飲み方

普段、カフェインの入った通常のコーヒーを、昼間の眠気覚ましに愛飲している人も多いはず。そこで、栗原教授自身も実践しているという、カフェイン入りコーヒーとカフェインレスコーヒーを、昼間に上手に飲む方法をうかがいました。

「体内に入ったカフェインの半減期はおよそ4時間です。カフェイン入りコーヒーを普段好んで飲んでいる方は、寝る4時間前、例えば夕方18時以降はカフェインレスコーヒーに切り替えると、夜の眠りへの影響が小さくなります。私自身も、昼間は通常のコーヒー、夕食後はカフェインレスコーヒーと飲み分け生活を実践しています」(栗原教授)

カフェインレスコーヒーは、活用の仕方によっては大いに役立つ飲み物だとわかりました。そのメリットを活用して、上手に生活に取り入れていければいいですね。

(取材協力:栗原久、文:石原 亜香利)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.31)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2015年10月10日に公開されたものです

栗原久

東京福祉大学 医学博士 神経行動薬理学 教授。

2005年に東京福祉大学の教授に就任し、食品や薬品に含まれる成分が人体に与える影響について幅広く研究。コーヒーやチョコレートなどに含まれるカフェインに関する書籍の執筆や、テレビでもコーヒーの専門家として出演。

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