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春先の肌トラブルは、花粉が原因の可能性も。花粉皮膚炎の症状と対策

畑菜穂子

横関博雄

鼻水や目のかゆみに悩まされる花粉症。近頃では肌荒れに悩む人も増えているとか。花粉皮膚炎の症状や予防法について、東京医科歯科大学皮膚科の横関博雄先生に聞きました。

花粉皮膚炎を予防するポイント

花粉皮膚炎を予防するポイント

■健康な肌はスギ花粉をブロックできる

「花粉皮膚炎は、花粉が直接肌に触れることが原因と考えられています。多くはスギ花粉によって起こるため、『スギ花粉皮膚炎』とも言われています。顔や眼の周り、首に蕁麻疹のような赤い発疹が出るのが特徴です。かゆみを生じたり、肌がヒリヒリしたように感じるケースもあります。スギ花粉が飛散する春先と、11〜12月には注意が必要ですね」(横関先生)

花粉皮膚炎患者の9割以上が若い女性が占めているそう。化粧のノリが悪いことで肌トラブルに気づくことも少なくないようです。

「スギ花粉の分子は大きいため、皮膚のバリア機能が正常に保たれていれば、角質層を通過できないはずです。ところが、過度の石けんの使用など何らかの理由で肌のバリア機能が壊されると、スギ花粉の皮膚への進入をブロックすることができなくなり、花粉皮膚炎を発症するリスクが高まります」(横関先生)

また、花粉皮膚炎とよく似た症状を示すものに「アレルギー性接触皮膚炎」や「刺激性皮膚炎」があります。皮脂の分泌が多い頭皮や鼻周りに起こりやすい「脂漏性皮膚炎」も、季節の変わり目に悪化しやすいとか。

「『花粉が飛ぶ時期だけ発症するかどうか』がひとつの目安になります。また、顔がかゆくなったり、眼の周りがかさつくなどの自覚症状があるときは、アレルゲンの可能性が疑われる化粧品や点眼薬などの薬品などを使うのをやめ、症状の変化を確認することも大切です。原因を見極めるにはパッチテストが必要なため、早めに皮膚科を受診しましょう」(横関先生)

■スギ花粉が肌に触れないようにする

花粉皮膚炎だとわかったら、抗ヒスタミン薬による花粉症の治療を行うほか、ステロイド外用剤やタクロリムス軟膏などのアトピー性皮膚炎の治療薬で肌の症状を抑えます。スギ花粉が直接肌につかないようにすることも、症状の改善・予防に役立つそう。

「外出する際に、マスクやストールなどで肌の露出部分を少なくするなどスタンダードな花粉対策が効果的です。帰宅時にはシャワーを浴び、顔や首、頭の花粉を洗い流しましょう。また、直接肌に触れる可能性がある下着やシーツなどは花粉がつかないよう、できるだけ家の中に干してください」(横関先生)

花粉皮膚炎を予防するには皮膚のバリア機能を整えることも大切だとか。

「とくに気をつけたいのが、石けんの主成分である界面活性剤です。洗浄力が強い半面、肌のバリア機能を低下させてしまうというデメリットがあります。界面活性剤を使った洗顔料やシャンプーの使いすぎに気をつけてください。また、肌が乾燥するとバリア機能が低下しやすくなるため、こまめな保湿を心がけることが大切です」(横関先生)

春先は何かと肌のトラブルに悩まされる季節。できる限り花粉を寄せつけない工夫をして、スギ花粉の飛散シーズンを乗り切りましょう。

(取材協力:横関博雄、文:畑菜穂子+ガールズ健康ラボ)

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.12)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2015年04月09日に公開されたものです

畑菜穂子

フリーライター。ガールズ健康ラボ所属。テレビ情報誌のアシスタント、編集プロダクション勤務を経てフリーに。研究テーマは80年代の子ども番組「パックンたまご!」とおかっぱ男子。一児の母で子どもの健康やスキンケアにも興味があります。Twitter/@haricona

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横関博雄

東京医科歯科大学医学部皮膚科主任教授。日本アレルギー学会指導医、日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会理事なども務める。東京医科歯科大学皮膚科では、皮膚アレルギー専門外来や膠原病外来のほかにも、皮膚腫瘍外来やフットケア外来など、最先端の治療ができる専門外来の充実を目指している。

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