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空前の編み物ブーム!ノルウェーの最新デザイントレンド―2014年の注目キーワードは「1814」

ノルウェーで開催されたファッション展示会

2月にノルウェーの首都オスロでは、ファッション・コンフェランス「ノルウェジアン・ファッション・ハブ」が開催されました。今後のノルウェーのデザイントレンドについて、業界関係者によるトークショーと展示会を実施。

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雪国らしいぽかぽかと暖かい素材を使用したモデルが目立ちました。

今回は、ノルウェーの最新デザイントレンドを「素材とモチーフ」に焦点を当てて、お届けします。

長年愛されているノルディック柄

ノルウェーらしい模様といえば「ノルディック柄」。お土産屋さんでノルディック柄のセーターなどを購入する旅行者も多いですね。飽きることがないデザインなので、長く愛用することができます。時代・世代問わず人気のノルディック柄を、カバン、ぬいぐるみなどに反映させた作品が目立ちました。

ノルウェーのテキスタイル分野を盛り上げる団体Flettverk/フレットヴェルクは、地域の職人やデザイナーとコラボして、さまざまな作品を世に送り出しています。日本人の心もぎゅっとつかむ、かわいらしいデザインです。

ノルウェーのFlettverk/フレットヴェルクによる、カラフルな素材をつなぎ合わせたブランケットとぬいぐるみ

今、注目されているのは、デビューしたばかりのバックパック・ブランド「ビンデスボッレ/Bindesboll」。100%ウールを使用し、工場で捨てられた布を再利用。なんとも素敵なノルディック柄で、同じデザインの商品はひとつもなく、「自分だけのオリジナル・バック」を見つけることができます。

ノルウェーのバックパック・ブランド「ビンデスボッレ/Bindesboll」のバッグ

ぽかぽか温かい、ノルウェー産ウールに再注目

ノルウェーの全人口約500万人よりも、生息数が多いとされている「羊」。実はノルウェーは豊富な羊毛で恵まれています。

空前の「編み物ブーム」が起きているノルウェーでは、毛糸専門店も数多く存在します

Tone Skaardal TobiassonさんとIngunn Grimstad Kleppさんは、「国産羊毛をデザイナーに活用してもらおう」という「ヴァイキング・ウール」プロジェクトのメンバー。「ノルウェーでは空前の編み物ブームが起きているが、輸入品ばかりで、国産ウールは積極的に使用されていませんでした。

しかし、最近になってやっと、デザイナーが国産ウールに着目しはじめています」と語ります。

プロジェクトの大きな目標は、ノルウェーのアイコンである「海賊ヴァイキング」と「ノルウェー産ウール」の融合。「男らしいヴァイキング」に、「ふかふかと柔らかいウールファッション」のイメージはこれまでありませんでしたが、「ノルウェーのデザイナーたちが、もっとヴァイキングのインスピレーションを受けた作品を送り出せるようにサポートしたい」と2人は述べます。

ノルウェーのヴァイキング時代の装飾品からインスピレーションを受けたアクセサリー

2014年の注目ファッション・キーワードは「1814」

雪国では室内で過ごす時間が多いために、空間の雰囲気を少しでも明るくしようと、元気の出るビタミンカラーが採用されることが多いようです。

ノルウェーのファッション面でも同じ傾向が見られ、明るい毛糸素材は人気があります

「1814」という数字は、ノルウェーに詳しい人なら誰もがピンとくるはず。5月17日はノルウェーの大事な憲法記念日。1814年に制定後、今年は200周年記念という節目の年です。

憲法記念日200周年ということもあり、ファッション界においても、「ノルウェーのアイデンティティ」を模索する動きが起きていると語るのは、首都オスロにある歴史博物館で働くMarianne Vedelerさん。

ヴァイキング時代や鉄器時代に使用されていた鉄や銅のオーナメントを、現代のアクセサリーに使用するなど、昔らしい手作り感と素材を、新しいカタチで復活させようという試みが見られます。

ノルウェーの昔らしさと現代のよさを、上手にアレンジできる才能を持つデザイナーが求められています

ぬくもりある木製品と布素材のブレンド

自然大国であるノルウェーでは、木製家具が昔から親しまれています。「木材×柔らかい布素材」の組み合わせにチャレンジする作品も多く見られました。

木製チェアの上にかかっているのは、動物の毛を使用した薄いクッション

大きな木製ネックレス。遊び心があふれています

雪国では防寒具が必要不可欠

最後に、「ノルウェーらしい防寒アクセサリーだな」と思った作品をひとつ紹介します。

ノルウェーの冷気から頭から首まで守ることのできる防寒具。寒い冬も、ここまで装備すれば怖いものなし!?

北欧はオーロラも観測できるほどの雪国。首都オスロでも、冬になるとマイナス10~15度を観測します。肺に冷気が入ると呼吸困難になるために、マフラーで口元を覆うことが一般的。この写真の防寒具は、露出される肌をトータルで守ることができます。

雪国に住むデザイナーだからこそ、思いつくデザインですね。

(文・写真/鐙麻樹)

著者プロフィール

鐙麻樹(あぶみ あさき)。上智大学フランス語学科2008年卒業。オスロ大学メディア学学科2012年卒業。同大学大学院メディア学修士課程在学中。ジャーナリスト、フォトグラファーとして、雑誌、WEB、旅行ガイドブックを中心にノルウェー現地から数多くの原稿や写真を寄稿。6カ国語の海外ニュース翻訳家、メディア/企業コーディネーター兼アドバイザーとしても幅広く活動中。
ホームページ http://www.asakiabumi.com/
All Aboutノルウェーガイド http://allabout.co.jp/gm/gp/1080/
地球の歩き方オスロ特派員ブログ http://tokuhain.arukikata.co.jp/oslo/

※この記事は2014年04月04日に公開されたものです

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