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奇想天外な建物を建てるときのハードル「あべのハルカスは高さ制限の緩和が行われたおかげで実現できた」

スペインに「サグラダ・ファミリア」という、天才建築家アントニ・ガウディのデザインした(未完の)奇想天外な建物があります(2026年に完成予定)。このような建物を日本で建てるとしたら、どんな苦労があるでしょうか?

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中堅不動産ディベロッパーの営業マンに伺いました。

建築基準法、航空法、消防法……

――サグラダ・ファミリアみたいな奇想天外な建物を建てるとすると、どんなハードルをクリアしないといけないでしょうか?

サグラダ・ファミリアは……全然完成しない建物ですよね。

――工期が長いことで法的な規制はありますか?

それはないですが……。ご自分でお金を出して建てるのでしたら、いつまでも完成しなくても誰にも文句は言われないと思います。

まず、当たり前ですが「建築基準法」に合致した建物でなくてはなりません。耐震基準などもきちんとクリアしている必要がありますから。もし、例に出されている「サグラダ・ファミリア」のような建築物を想定しているなら、航空法の規制も受けます。

――どういうことでしょうか。

航空機の飛行の邪魔にならないようにしなければなりません。どこに建てるかによりますが、もし空港の近くだと高さが削られるかもしれませんね。

例えば、大阪で高層ビルが多く建設されていますが、これは航空法の規制が緩和されたことも影響しているのです。

――日本一高い300mの「あべのハルカス」は大阪にありますね。

はい。空港の近くにビルを建設する場合は高さ制限を受けます。あべのハルカスは高さ制限の緩和が行われたおかげで実現できたという側面もあるのです(容積制限が緩和されたことも大きく影響しています)。

――他に制限がかかるものはありますか?

消防法による制限もあります。消防設備の設置義務などですね。

――ずいぶんクリアしないといけないんですね。

地方自治体による規制も!

地方自治体の条例による制限もありますよ。京都市が全国的に有名ですが、例えば「景観に関する規定」がある所があります。そこに建築する場合、景観を損ねるものと判断されると建築が許可されません。

漫画家・楳図かずお先生のご自宅が近所の方の反対に遭って裁判になったことがありました。もし景観規制の厳しい他の地域だったら、建築許可が出なかった可能性はありますね。

――他にはどんな規制がありますか?

規模によって駐車場や駐輪場の設置義務を設けている自治体もあります。

――形がサグラダ・ファミリアで、「全部自宅」ということでしたら設置しなくてもいいんですよね。

その場合は規制は受けないですが、それでも駐車場と駐輪場ぐらいは設けた方がいいと思いますよ(笑)。それはともかく、構造計算などもきちんと行って、自治体に「確認申請」を行い、そこで許可をもらって初めて着工できます。

もし本当にサグラダ・ファミリアを建てるとなると、許可が出るまでかなり時間がかかると思いますよ。

というわけでございました。奇想天外な建物を建てるのはかなり面倒なことのようです。お金があればチャレンジしてみたいものですね。

(C)Canaan

(高橋モータース@dcp)

※この記事は2013年11月13日に公開されたものです

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