3回の暗示で人はウソでも信じてしまう

人は、自分自身で思っているよりもずっと暗示にかかりやすい生き物なんです。だから、一度目、二度目は「そんなことはない」と思っても、同じことを三回繰り返されると「そうかも?」と信じてしまうことがあるのです。
この心理について、詳しく調べてみました。
プラスの言葉は3回繰り返す
プラスの意味の言葉を相手に伝えるときは、3回以上繰り返して言うと、たとえそれが事実ではないとしても相手はそれを絶対的事実であると信じてしまいます。
たとえば「君は自分のことをいつも醜いというけれど、本当は美人なんだよ」と顔を合わせるたびに繰り返し言い続けていると、その女性はだんだん、あれだけ何度も美人だと言ってくれているのだから、本当は私は美人なんじゃないかと思い始めるのです。
記憶の捏造についての実験
ケント州立大学のマリア・ザラゴザは、学生を相手に大変興味深い実験を行っています。まず、255名の学生に強盗をしているシーンが映っているビデオを5分間見せます。
そして、その後、ビデオを見ていた学生たちにビデオの内容について質問していくわけですが、その際、犯人が本当は素手であったにも関わらず「手袋をしていた犯人」という言い方をしたり、ビデオには犬などまったく出てこなかったのに「吠えていた犬がいたと思いますが」と、わざと誤った情報を織り交ぜながら質問をしていったのです。
ザラゴザの実験の結果、人はたった一度だけ暗示をかけるよりも、3回暗示をかけた時のほうが信じやすいということが分かりました。これを利用すれば、「これはこういう結果でしたよね?」などというように相手の記憶を塗り替えていくことができるのです。
信頼もたった三人の嘘で揺らいでしまう
昔の中国に曾参(そうしん)というとても親孝行な息子がいました。ある時、曾参の親類が間違って曾参の母親に「曾参が人を殺してしまった」と伝えてしまったのですが、息子のことを深く信じていた母親はこれを信じませんでした。
ところが、同じことを二度、三度と聞かされるうちにとうとうこの話を信じてしまったということです。どんなに信じがたい話でも、人は何度も聞かされるうちにいつの間にか本当のことだと信じるようになってしまうのですね。
※この記事は2013年09月26日に公開されたものです