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弁護士に聞いた!退職ほのめかされたらこう答える!マニュアル

「退職勧奨」って知っていますか?別に辞めようとも思ってもいないのに、会社側の都合で辞職するように誘導することを「退職勧奨」と言います。

退職勧奨ってどこがいけないの?

就職の際、会社側の判断による一方的な雇用と勘違いしている人も多いようですが、実は雇う側と雇われる側の利益が一致した時に、合意によって結ばれる「労働契約」なんです。そのため、この労働契約を解除するには両者の利益上での合意が最優先されます。

突然辞めることになると、経済的な損失も大きく、辞めたくないという意思がある、または意思表示したにも関わらず辞職目的で呼び出したりするのは不当な圧迫で、頻度によっては、民法96条の「強迫」として会社が罰せられることもあるんです。

まず退職勧奨には冷静にNOと言おう

まずは勧告なのか解雇なのかが話し合いの論点です。

「もし、労働契約を解約したいという会社側の意思が強いようだったら、解雇通告文書(通告と退職の日付、解雇理由、通告責任者名等を記入)を出してもらいましょう。こうした文書を出さない場合には、解雇のほのめかし(強要)で、自主的な退職を狙っていることになります」(法テラス 打越さく良弁護士)

そこで、こんな退職勧奨にあった時はどう受け答えすべき?を打越弁護士に解説していただきました。

◎勤務態度を指摘された場合

・例「遅刻が多い。今度遅刻したら辞めてもらうからね」
あなた→「申し訳ありません。遅刻はしないよう努めます」
解説「謝罪し、まだ辞める意思がないことを伝えますが、再度遅刻した場合でも会社側は辞職を強要すべきではなく、他の処分を検討すべきです。他の処分が繰り返されたにも関わらず、どうしても事態が改善されない場合に限り、会社都合で解雇が適用されます」

◎コミュニケーション能力を指摘された場合

・例「君の存在が職場内で浮いている。チームワークをうちは重視するからね」
あなた→「どのようなところが問題なのでしょうか?」
解説「真摯(しんし)に理由を尋ね、スムーズに職務を遂行するための具体的なアドバイスを受けます。このような場合、会社が個人の責任を追及するのではなく、社員教育を施す義務があります。風紀紊乱(ふうきびんらん)等により職場の規律を著しく乱し他の労働者に悪影響を及ぼすような事例以外は、人間関係が解雇、辞職事由に相当するとは思われません」

◎職務能力を指摘された場合

・例「君の営業成績が上がらない。うちも経営が苦しいからね」
あなた→「申し訳ありません。引き続き努力いたします」
解説「多くの企業の就業規則では、解雇事由として、「業務能力が著しく劣りまたは勤務成績が不良のとき」といった文言が掲げられていますが、能力や適正に問題がある場合でも教育訓練や本人の能力に見合った配置をするなど、会社側が措置を尽くすことが先決です。自ら辞職する義務もありません」

◎待遇の変更を強要された場合

・例「売り上げが下がって苦しいんだ。パートに変わってくれる?パートが無理なら 辞めてもらってもいいんだよ」
あなた→「パートは困ります」
解説「経営上の必要に基づき一方的に労働契約を「不利益」に変更することに応じる義務はありません。それに応じないからといって、退職を促されても、応じる義務もありませんので、なかなか聞き入れてもらえない場合は、後日立証できるよう書面で理由を提出してもらいます」

◎上司との人間関係を指摘された場合

・例「どうも上司とのそりが合わないらしいな。上司も使いづらいと言っている。君、どうする?」
あなた→どうすればいいのか逆にアドバイスをもらいます。
解説「上司が部下をいかに教育するかが問われる問題で、この程度のことでは辞職、解雇の事由として相当ではありません。自発的に応じる意思がない限り、応じる義務もありません」

突然、退職に関する話が出ると、ついパニック!自分のいたらなさと解釈して自責の念にかられてしまうこともしばしばですが、このように会社が責任転嫁している場合も多いんです。執拗(しつよう)な退職勧奨は懲罰の対象です。しかし、こんな会社に見切りをつけたいという時は、解雇に応じるという選択肢も!

会社が解雇を決断した場合

(1)解雇予告手当の支払いが必要(2)退職金の算定率が異なり、支給金額が違ってくる(3)失業することで受けとることのできる雇用保険の受給開始日や基本手当の所定給付日数の取り扱いも違ってくる。など、労働者の経済面をサポートする措置がとられます。

「解雇になると次の就職に悪影響があるという印象があるかもしれませんが、懲戒解雇ならともかく、普通解雇であれば悪影響があることはほとんどないでしょう。回答をあせらず無料法律相談などに相談して、より現実的な判断を優先したほうがいいでしょう」(打越弁護士)

労働基準法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とあり、例えば、無断欠勤が続く場合でも、上司や同僚からのいじめを受けていることが原因ならば、懲戒処分自体が違法ということも!自己判断はせず専門家に相談してみましょう。

(安藤のり子)

●監修
弁護士 打越さく良(法テラス本部調査研究室専門員)
法テラスhttp://www.houterasu.or.jp/service/roudou/power_harassment/
サポートダイヤル 0570-078374

※この記事は2013年07月03日に公開されたものです

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