アイデアをカタチに！　「ジュエリーデザイナー」のお仕事って？

さまざまな価値観に触れられることが宝物

橋本さんは、2009年に現在の「CONCEPT JEWELRY WORKS」を仲間とともに開業。ウエディングのオーダーメイドジュエリーをはじめ、昔買った古いものや譲り受けた形見をリメイクしたり、パーソナルカラー診断を取り入れたコーディネートの提案なども行っています。大切にしていることは、身につける人とジュエリーの“バランス”なんだそう。

「持っているお洋服やお似合いの色とコーディネートしやすいか、車の運転や荷物を持ったときに支障がないかなど、お客様のファッションやライフスタイルに合った機能性とデザインのバランスを重視しています。やはりデイリーで心地よく使ってもらいたい。デザインを決めるときは、お客様と一緒にアイデアをスケッチしながらイメージを固めていくのですが、もし、お客様が望むデザインがあまり実用的でない場合、『仕事中につけにくいけれど大丈夫ですか？』など、はっきり言うようにしていますね」

つねに相手と真剣に向き合う姿勢は、「ひとりでも多くの人の役に立ちたい」という想いが原動力のよう。

「最近は、男性がプロポーズで渡すためのジュエリーをつくりたいと、エンゲージリングをアトリエに女性に内緒で作りに来ることも多いんですよ。そうした一生のメモリアルな場面に立ち会うわけですから、最終的には経験や能力じゃなく“気持ち”だと思うんです」

そうして、プロポーズ後にカップルで来店してくれたり、「つけ心地がいい」「まわりの人に褒められた」などという声が聞けたりすることがうれしいという橋本さん。

「評価を得るには時間がかかります。でもいろんな世代の方々と出会い、さまざまな価値観に触れられることが私にとっての宝物ですね」

お客さまは、男性やミセス・マダム世代も含む、20代から70代前後までと幅広いため、「アイデアの引き出しとなる情報収集が欠かせない」と橋本さん。情報はつねに変わるもの。だからこそ、今は何が流行っているのかアンテナを張り、最近は自分で洋服を作ってみたり、この春からは茶道をはじめたといいます。貪欲にチャレンジできる行動力の秘訣とは？

「はじめて何かに取り組むとき、たとえば『この本を読んで、知識をつけてからから習い事をしよう』というよりは、『本を読みながら、同時に習い事もしよう！』と、走りながら考えるようにしています。10代で出合った油絵は、偶然性を許容しながら作品にしていくもの。そんなキャンバスに向かうようなワクワク感や想像もしていなかった自分に出会いたくて、いつも原点に返っている気がしています」

既成概念にとらわれず、自分の気持ちに正直でいたいという橋本さん。今後の仕事との付き合い方とは？

「仕事はもちろん大事で、私の場合は四六時中デザインとプライベートが混ざり合っているような状態です。でも、もしも仕事を除いたときに自分に何が残るのかを考えたとき、しっかり自分の軸をもっていたい。仕事とともに自分自身も成長させていきたいですね」

好奇心やワクワク感を失わない橋本さんの笑顔は、ジュエリーのようにキラキラと輝いていました。

※この記事は2013年04月17日に公開されたものです